「だから、無理だってば。」
「あ。やっぱ駄目?じゃあその次の休みの日とかは?」
「違う。そうじゃない。そういう意味じゃなくて。」
だからオレは、
「篝。聞いてほしいんだ。」
篝が告ってきたあの場所で立ち止まった。
「ん?何を?」
もうここで、おしまいだから・・・。
「オレさ、楽しかったよ。ずっと篝に振り回されっぱなしでムカついたし大変だったけど、楽しかったよ。」
オレはその最後に自分の気持ちを伝えた。
「友達としてなら本当に楽しかった。けどそれ以上は・・・。」
ずっと何かを企んでるって篝を疑っていたオレだったけど、あれからちゃんと考えて導いた自分の思い。
「だからごめん。オレはこれ以上、篝とは付き合えない。」
それをちゃんと口に出して篝に伝えた。
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
オレは、ちゃんと立ててるだろうか。 ちゃんと地面に足は付けているのに震えてて、何故か浮いてる感覚がずっとしていた。
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
そして静かな時間が流れる。 篝はちゃんと理解してくれただろうか。 あの日から始まって三ヶ月が経った今この瞬間、オレにフラれたことを。
「・・・・・・そっか。今日、だったね。」
沈黙が漂った数秒後、ようやく篝は言葉を口にする。
「ごめんごめん。すっかり忘れちゃってたよ。」
「・・・・・・・・・。」
「あっという間だったね。三ヶ月経つの。」
「・・・・・・・・・。」
「あーぁー、やっぱり駄目だったか。俺、すっごく頑張ってたのに。」
その時も、いつもの篝だった。 普通にしてたらフラれるはずのない男がフラれたのに、その間もいつも通りの篝。
「俺もすごく楽しかったよ、この三ヶ月。タカシ先輩といられて。友達以上になれなかったことは悔しいけど、そればかりは仕方ないことだもんね。」
「・・・・・・ごめん。」
「ううん、いいよ。先輩がちゃんと考えて出した答えなら俺もちゃんと頷けるから。」
少しでもヘコむかと思えば、ずっとニコニコとしたまま。 いつもと一緒の篝だった。
「よし!じゃあこれにておしまい!」
「あ・・・。あぁ。」
「タカシ先輩、今までありがとう。俺と付き合ってくれて嬉しかったよ。それじゃあ・・・。」
だからその終わりは、あまりにもアッサリだった。 オレにフラれたのに平然としていたのは、イケメン特有の余裕?それはそれでムカつくけど、篝らしいといえば篝らしい終わらせ方だった。
「さようなら。」
そう言って去って行った篝。 結局、一緒に帰らなかった今日。 オレは一人で通学路を歩いて家に帰った。
そうして、あの三ヶ月間が終わった次の日の今日。 今日もいつも通りの朝が訪れた。
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