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イケメンくんと平凡くんが
お付き合い始めました

三ケ月という限定付きで
完結][イケメン×平凡(主人公)][高校生]



EP.5 二人のおわり(2/4)
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いつだってニコニコで頭いいくせにヘラヘラしてて、せっかくの外見も残念なことにさせてしまってる。
オレのことだって一つ差だけど年上なのに、相変わらずタメ口だし敬ってる感は会った当初からゼロ。
けどそんな今までも本気だったって言ってた。
だからだろうか。そんな今になって改めて浮上してきた疑問。最初の時にも思ったけど、なんで篝はオレを。

「あのさ、篝。」

「うん?」

「ひょっとしてなんだけど。オレ、お前に何かしてた?今とかじゃなくて少し前とか一年前。入学の時とか。」

「え?」

もしかしたらオレは篝に告られる前に篝と何かしらで接触してたのだろうか。そこで何かあって、きっと篝をそうさせてしまったのかもしれない?
それが知りたくなって、その当時のことを問いただす。

「んー?ぶっちゃけて言うと入学当初どころか、最近まで先輩のこと知らなかったよ。」

「じゃあ入試の時とかは?当時、篝が体調不良で役員だったオレが介抱した的なこととかされてない?」

「入試?・・・は俺、推薦だったし風邪なんて引いてなかったと思うよ。先輩、その時何か役員やってたんだ?知らなかったよ。」

「いや、ごめん。やった記憶全然なかったわ。変なこと聞いてごめん・・・。」

例えばのよくあるエピソードで色々聞いてみたが、全部バツ。過去にそれをやった覚えないし、以前に篝と会ったことなければ口も聞いたこともない。
そもそも俺自身だって、篝のことを名前だけなら聞いたことがあり珍しいから覚えてたぐらい。
そんな程度で、どこで篝に惚れられたのか分からない。
けど「誰でもよかった」ら、昨日のようなことにはならないはず…?

「先輩。」

「なんだ?」

「知りたいの?俺が先輩を好きになった理由。」

「〜〜〜・・・っ。」

「そんな遠回さなくても、直で言えばいいのに。『なんでオレのこと好きになったの?』って。」

それを色々、探っていたが、訊かれて言わされた篝にモロバレで気づかれてしまう。

「いや。言った聞いた。告られた直後に、なんでオレって。そしたら男と付き合ってみたかったって。そんなんだったらオレじゃなくても・・・。」

「んー、そんなこと言った俺?」

「言った。自分言ったこと覚えとけよ。頭いいんだから。」

だから今度はもっと直接的に問いただす。と、

「だってあの日、結構テンパってたから。言ったでしょ?俺、焦るとダメだって。それにー・・・。」

それを答えると共に抱きつかれて、ぎゅっと愛情をダイレクトに表現。
登校中の通学路だから周りに他の生徒もいるのに、それすらお構いなし。

「あれが人生初めての告白だったし、誰でもよくて先輩に告ったわけじゃないから。これだけは信じてほしい、かな。」

「な・・・!ばか。そんなこと平然と言うな!てか抱きつくなー!」

「訊いてきたの先輩でしょ。照れた?照れた?」

「うるさーい!離れろ!」

そのせいで篝の発言は全て茶化しに変わってしまう。

「うーん。いちおちゃんとした理由っぽいことはあるけど、言うと先輩絶対怒るからなぁ〜。」

「なんでオレが怒る前提なんだよ。言えよ、今!」

「や〜だ。」

いったいどこまで本気で、どこまで冗談なのか。
奴のそんな言動が、それを困惑させるから今も前もいつだって見抜けなかった。










刻々と進んでいく時間。
今日が昨日になって、明日が今日に変わっていく日付。
三ヶ月という時間は、短いと思っていたのにとても長かった。けどゆっくりと確かに一つの季節が次の季節へと移り巡ってきた今。
とても長いと感じていたのに、経てばあっという間。あっという間に期限の三ヶ月目が訪れる。

『一緒に帰ろ〜』

その日、篝からのメッセージがオレの携帯電話に受信された。
期限の三ヶ月は今日。
けど、それはいつも誘われる文句と全く一緒。
今日が何の日なのか忘れてしまってる。いや、気づいてない感じだった。
だからオレは、

『わかった』

と。一言だけ返信した。
いつも返事しないのに今日だけ返すことにした。
オレはちゃんと覚えてる。それが伝わっていてほしいから。

「先輩、先輩!タカシ先輩ーっ!」

そうして訪れた放課後。
昇降口のところで篝が先に待っていてオレの姿が見えると、パタパタと大きく手を振りながらそう呼んでくる。

「うるさい。そんなに大きな声で呼ばなくても、ちゃんと聞こえるから。」

「えっへへへ〜♪だって嬉しかったんだもん。先輩から返信貰えるなんて。いつものように即読でおしまいじゃなくて。」

やはり篝は今日が何の日か分かっていない様子。
たった一言返しただけなのに嬉しそうな顔ではにかんでて、そのままオレの隣を並んで歩く。

「ねぇ、先輩。」

「ん?」

「今度の日曜日ってまた予備校?ちょっとでも時間作れない?」

「・・・ごめん。無理。」

「ほら。先輩ずっと受験勉強で忙しいでしょ?たまには息抜きしようよ。あれから先輩と全然遊んでないし、俺もつまんないよー。」

一歩、一歩。そしてまた一歩。
近づいていく終わりの時間。いや、違う。
篝が気づいてないから、オレが終わりを告げなきゃいけないんだ。



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