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イケメンくんと平凡くんが
お付き合い始めました

三ケ月という限定付きで
完結][イケメン×平凡(主人公)][高校生]



EP.4 二人のおもい(2/4)
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「へへへー!先輩ゲット!」

「!?」

お断りする前に、やられちゃったパターン。
向こうのが一歩も二歩も上手で意気込んだ篝の行動は早く、あっという間にオレは奴の腕の中で抱かれていた。
他の生徒も通ってる公衆の面前で。

「ばか・・・ッ!やめろ!オレに抱きつくなーーーッ!」

「ハグだよハグ。愛情表現、愛情表現。スキンシップだよスキンシップ。こっちのが俺の愛情ダイレクトに伝わるでしょ?自分流にアレンジしてみた。」

「ぶざけんな!離れろー!」

コイツが雑誌で得た情報。
それは今月号に特集で書かれていた『愛情表現の仕方』の『ステップ@ さりげないスキンシップ』の内容を参考にしたそうだ。

「ああ・・・。先輩の体温、超気持ち♪こんなことだったら、もっと前からやっておけばよかったね。」

「やめろぉぉおおお!!!」

思えば、この時が始まりだったのかもしれない。
コイツの愛情表現がダイレクト化し、過剰なスキンシップをしてきたのも。
冷静に退けて対処すればよかったのだろうか。
いきなりで驚いたせいもあってギャーギャー騒いでしまい、それが篝にとって望み通りの反応だったらしく、その日から隙あれば狙われ続いていった。




でもそれは、そこまで長続きしなかった。





別の日の昼休み。
その日、教室の掃除当番だったオレ。
当然、同じ当番の奴らにも清掃の役割が当てられ、みんな一人ずつやりたい役割を取っていき、気が付いたら余った物しか選べず一番不人気なゴミ捨てを任される。
教室で箒やモップ、雑巾で床を掃除するより楽な仕事なので文句はない。臭いのがネックだが、それはゴミだから仕方ないことであって、それでもやっぱり楽だから文句はない。
そしてまた幸か不幸か。
そのゴミ置き場のところに篝の姿があり、見つけてしまう。

(・・・げ。)

ダイレクト化した愛情表現のせいで、校内で奴に極力会わないようにと願っていた。
けど同じ学校なんだから学年違っていても、どこかで奴に会ってしまうのも分かっていた。
これこそ本当に偶然で、たまたま。でもゴミを捨ててこなければ教室に戻れないし、同じ当番の人たちにも迷惑がかかる。けど避けられるものなら避けたいし、絶対にコッチに気付いてほしくない。

(『かがりんボッチ説』がオレの中であったんだが、それはオレの中だけだったな。)

そこにいる篝は数人の生徒と楽しそうに談話していた。
男もいて女の子もいて、オレらの学年では見ない顔ばかり揃ってるから、きっと篝の同級生の子たちだろう。
そしてこのゴミ置き場が彼らに当てられている掃除当番の場所なのだろう。
そこから動く気配なく、ぺちゃくちゃ駄弁ってサボっている。
特待クラスが何やってんだと言いたいところでもあるが、彼らだってオレらと一緒の人間。サボるなって強く言えない。オレだってゴミ置き場の掃除なんでサボりたいし、喋って過ごしてサボった過去がある。

(気づかれないようにゴミ捨てて、さっさと戻ろう。)

そんな奴らの隙をついて、オレはこれ以上遅くならないようにゴミ置き場に突入。
サッと行ってサッと帰るだけ。何も難しい話ではない。
大丈夫。だってオレは影の薄い普通で平凡な生徒。
普通にしてても何もないのが特徴。
ゴミ捨てを任されたときだって「ごめーん。斉藤くんいるの気付かなかった。余ってるのでいい?」と言われたぐらいだ。
大丈夫、大丈夫。オレならいける。オレなら出来る。
ほぉ〜ら。ゴミだって物音立てずに静かに捨てられた。ナイス、オレ!さすがオレ!
さて、あとは教室に帰るだけ。

「・・・あれ?タカシ先輩?」

「・・・・・・・・・。」

だったのに。
今のやり取りが全てフラグだったかのように、やっぱり気づかれてしまった。

「本当にタカシ先輩?本当にタカシ先輩だ!」

喋ってた同級生の輪から一人抜け出して、こっちに来る篝。
惜しくも気づかれたが、オレは悪魔でも他人のフリ。
「こんな奴、知らない」オーラーを全身から醸し出す。

「わぁ〜!すっごい偶然だね!これこそ運命いや奇跡だよ!」

だからそんな偶然も運命も奇跡も全力でお断り!!
そしてそんなオーラー如きで凌げられるのなら今頃苦労しない。けど逃げれるのなら全力で逃げ切ってやる。

「わ!?待って、先輩!・・・もう!なんで逃げようとするのさ〜!」

けど追いかけてきた篝にアッサリ捕まり、愛情がダイレクト化。

「当たり前だろ!お前がこういうことするからだ!!」

「あ!今「お前」言った!篝でいいって言ったじゃん!」

イヤイヤ嫌がってもガッチリとホールドされてしまい、篝の腕から逃げられなくなる。

「あああ・・・♪先輩の体温をまさか昼休みで感じられるなんて幸せ♪」

「やめろおおお!」

やめてやめて、本当にやめて。
こっちを白い目で見てる篝の同級生。
そんなオレらの様子に「え?え?え?」と驚き戸惑いながら、この関係を篝に尋ねる。

「かがりん。だれ?その人。」

こっちが向こうを知らないように、向こうだってこっちを知らない。
だから知ってる篝に聞いたが、

「俺の恋人の斉藤 崇。タカシ先輩!たけしじゃないよ。」

「え!?」

なんてことを暴露するから、彼の発言を聞いた人全員(オレ含めて)冷たい冷ややかな空気に包まれる。

「正確に言うと恋人(仮)みたいな感じ?」

「え?嘘だよね、かがりん。」

「変な冗談言うのやめろよ。その人も困ってんじゃん。」

篝の紹介に疑問。いや信じられない、信じてない彼ら。
一人二人の女の子は笑ってなかったが、他の子は何かの笑い話だと思っているようだ。
オレも自分自身の生活が、これで崩壊しかねない危機なるものを感じ「困ってんだ、助けてくれ」と、彼らに合わせようとした。
が、



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