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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.21 冷徹サド眼鏡青年の話(1/2)
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忍び込む影

GW合宿の初日終了と共に、日付が明日へ変わり、皆静かに寝静まり草木も眠った丑三つ時。
クロスカルテットの四人が寝袋で寝てるチェリーストーンの一番広い部屋に、人が一人忍び込んでいた。
その人影は、そーっと静かに物音を控えめながら寝袋を開けて、そこで寝ていた人の上に股がってくる。
そしてこんな時間だということを一切気にしないまま、パシャッと強い光を浴びさす。

「!?」

そのせいで目を覚ましたエヴァ。
何事だと思い、眠たい目のまま自分の上に股がるソイツを見た。
なんとそこには、

「・・・ユウ、さん???」

「しーッ。」

リライトの片割れ、ユウの姿が。
ユウはエヴァが騒がないようにさせると、そのまま自分のスマートフォンのカメラで撮影再開。
パシャッ、パシャッとフラッシュも気にしないで、映像を収めていく。

「もう少しサービス増してみるか。」

「あの、何をして?」

「いいからいいから。こっちのことは気にしなくていいから、静かにジッとしてろよ。ちゃんと1割分けるから。」

彼はいったい何を企んでいるのやら。
ユウに求められても、エヴァは眠気が強いせいで全くもって無抵抗。なすがままにされてしまう。
そしてエヴァの次はエーチ。いやクロカルメンバー全員の寝ている姿を気が済むまで撮影すると、何事もなかったように、この部屋を後にした。

「何だったんだろう?ユウ先輩。あんなの撮って何に使うんだろう?」

「さあ?」



冷徹サド

昼間あれだけクロスカルテットのレッスンに付き合っていたというのに、まだまだ起きていたユウ。
事務所の廊下で壁に背をもたれながら、撮影しまくっていた映像を整理していた。

「あれ?何でユウがここにいるんだ?」

するとそこにやってきたアリカとバッタリ鉢合わせ。
アリカは今事務所に着いたばかりのようで、念のために使っていた変装用の小道具を外す。

「リライトも、これから仕事か?」

「・・・・・・。」

「オーイ、こら。聞こえてるなら返事ぐらいしろよ。」

契約したのも、デビューしたのもアリカのが先。
けど年齢はユウのが一つ年上。
だからか、

「座敷わらしが話しかけてきたかと思ったら、マジもんのアリカだった。」

「なッ!?俺、そんなにちっちゃかねえだろ!」

「え、なに。自分、身長そんなにあると思ってんの?頭大丈夫?鏡よく見てちゃんと現実知ったら?」

お互いにして先輩後輩関係の配慮があまりない。いや、ほぼない。いやいや、全然ないお二人さん。
こんな時間でも構わず、アリカ(のコンプレックス)で遊ぶユウだった。

「やっと返事したかと思えば好き放題言いやがって・・・ッ。」



それぞれの仕事

「イブは?一緒じゃないのか。」

「先に帰らせた。今まひるんが送ってってる。」

それでも仲は良く、配慮がない分、二人の会話は気兼ねもないし遠慮もない。

「それにしてもこれから仕事とか、さっすが世界を目指すアリカさんは違うわ。」

「ほぼ観光目的の取材だけどな。朝早くじゃないと間に合わないから、めちゃくちゃな時間に集合かけられただけだ。」

「お互い大変だね。まひるんなんて昼間クロカルの合宿に付き合わせた後、深夜までガッツリ仕事入れてた。いつまで海外ロケのこと怒ってんだが。ホントしつこい。」

「それはお前らが悪いんだろ。」

そうしてアリカが集合かけられた時間までまだ余裕があったので、それまでユウは付き合うことに。
場所もここから移動して、社員の姿がいないことをいいことに、お客様用の接待席を勝手に使いソファーへ座る。

「って、あぁ。クロカルの合宿、今日だったんだ。・・・どおりで。」

「覗きに行くなら今がチャンスだけど、行ったら変態に認定するからね。このど変態。」

「安心しろ。誰も覗きたいなんて思ってねえから。」



ユウの謎ボランティア活動

車移動の旅のお供に買っていた二本のミネラルウォーター。
アリカは、そのうちの一本をユウに譲る。

「ほら、一本やるよ。」

「ちっちゃいのに優しいね。お利口さんだね、ヘタレのくせに。」

「だから誉めながら貶すのやめろって。」

それぞれ自分のタイミングで飲んで、口を潤した。

「で?ユウは一人残って、ここで何してたんだ?」

「ボランティア活動。」

「・・・は?お前がボランティアとか、めちゃくちゃ怪しすぎるだろ。」

そして本題はここから。

「んなことないって。お互いの意見が一致すれば、俺も貴方もみんな幸せ。ハッピーなエンドになれるから。」

「どんな詐欺商法だよ、それ。」

ユウがこんな遅くにまで残ってやっていた謎のボランティア活動。
その話を。いや、その取引をなんとアリカにまで持ちかけてくる。



ユウの取引

「大丈夫、大丈夫。アリカの分もちゃーんとあるから。」

「は?」

貴方と私の意見が一つに一致すれば、お互い幸せになれるユウのボランティア。
持ちかけられたアリカは果たしてハッピーエンドを迎えられるのか。
ユウによる取引で、運命のジャッジが下る。

「っというわけで。これ諭吉一人、これも諭吉一人。これとこれは諭吉二人、ここからここまで諭吉各三人ずつ。とっておきのこれは諭吉十人だけどどうする?」

「なッ!?」

肩を組まれて突然見せられた写真の数々。
全てユウのスマートフォン、データに収められている。
それは進めば進むほど、とんでもない映像ばかりで見てるこの目を疑う。

「おまッ!?何を撮ってんだー!?さっき自分が言ってたこと、よく思い出せ!このど変態野郎!!」

「失礼な。むしろ感謝してほしいね。ヘタレのアリカには拝めれないヤツばかりだから。」

当然、アリカにめちゃくちゃ怒られたが、ユウは反省の「は」の字もなかった。



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