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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.12 志摩とエーチの二人の話(2/3)
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アホ毛は今日も絶好調

「ほら。ここはこの公式通りにー・・・。」

志摩自身、数学は割と得意な方。
自分が高校時代にやった頃とそっくりな問いに懐かしさを覚えながら、一問ずつ丁寧に丁寧に教えていく。
けど、

「えっと、こうでいいの?」

エーチはやっぱり見ていて凄く分かりやすい。

「んー・・・。」

ゆっくりゆっくり、しおしおになっていくアホ毛。

「はぅうぅ〜・・・。」

その最後には枯れてしまい、本体のエーチも苦手な数学を前にして目を回したようだ。



ココア談義

数分の時間を勉強に費やす。
頭の中が数字や記号でいっぱいになり、限界を達したエーチはバタンキュー。
ここらでしばし休憩をすることに。

「あぅうぅ。」

「大丈夫か?エーチ。」

「な、なんとかぁ〜。」

自分にはホットコーヒーを。
エーチにはホットココアを。

「へへへ。志摩ちゃんのココア飲むの、これで二回目だ♪」

「そういえばそうだね。」

「オレ、志摩ちゃんが作ってくれたココアすごく好き。ちょうど自分好みの濃さで凄く飲みやすい。」

「ははは。それはよかった。でもココアって不思議だよね。同じココアなのにお湯の量で結構変わるから。」

「うんうん。それ、それ。濃いめも薄めもダメだから、すごくよく分かるよ。」

苦手科目を頑張ったご褒美に、飴としてのお菓子をあげた。



凍りつく空気

ハッピーになれるスナック菓子をサクサク食べながら、温かいココアを飲んで一息。

「そうだ。オレ志摩ちゃんに数学以外でも訊きたいことあったんだ。」

「ん?」

そしてエーチから受けた質問。

「『オス喰い狼』って、なぁに?」

純粋無垢な笑顔の彼。
まさかの質問に、漂っていた空気も志摩の顔も凍りつく。

「え・・・。」



純粋無垢のプレッシャー

「えーっと?な、なぜゆえそのようなことを?」

エーチからのまさかな質問に戸惑いながら、質問を質問で返す。

「ほら。この間、てっちゃんが志摩ちゃんのことそう呼んでたじゃない?その時、オレ全然分からなくて。」

エーチの笑顔の向こうに『教えて教えて、知りたい知りたい』と訴える、ワクワクとしたオーラを感じる。

「だから教えてほしいなぁって思って。」

「・・・・・・・・・。」

さぁ、どうしよう。



ごめんなさい

「ごめんなさい。本当にごめんなさい。それだけは許して。本当に許して下さい。」

エーチの質問に答えられるわけがないので、ソファーの上に土下座して謝る志摩。
それをエーチに教えるのはまだ早い。全然、凄く、もの凄く早い!!

「えー。教えてよ、志摩ちゃん。」

「い、いや。ダメだって。本当ごめんなさい。謝るからもう許して。」

「えー。謝らなくていいから教えてよ〜。」

けどエーチの好奇心が、志摩の謝罪を許さない。
ブーブー、ブーイングして、意地でも聞き出そうとしてくる。
さて、どうしたものかな。



それだけはダメ

ここで正直に言ったら、エーチからの信頼も失う恐れがある。
けれど彼の好奇心に負けたのか、

「本当にいいの?後悔しても知らないよ?」

「いいよいいよ。何でもいいから教えて。」

何度も何度も念入りに念を押して、遠回しで伝えようとしたが。

「あ、でも下ネタじゃないよね?それ。」

「・・・・・・・・・。」

「オレ、そういうの本当に苦手で。」

その一言により『あ、ダメだ』と、答えても答えなくても同じオチになることが読めてしまった。

「それ。何でもよくないよね?」

「下ネタじゃなかったら、何でもいいよ。」



いつからいたの?

「止めておいた方がいいんじゃないかな?」

「「!!」」

この話をどこから聞いていたのだろう。
いつの間にか事務所に戻っていた徹夜が二人の話に参加。
まさかの救世主として現れる。

「ろくなことがない事に変わりないしね。知っておいて得することもないだろうし。」

けどそれは皮肉にも聞こえ、志摩は気が休めない。

「うーん。そうなの?」

「そんなこと覚える余裕あるのなら、そのペースを数学に譲りなよ。また赤点になったらマズイんだから。」

「う。」

彼は本当に、いつから聞いていたのだろう。



しょぼくれアホ毛

ここでしばしの休憩はおしまい。
徹夜の一言により、数学のテスト直し勉強を再開。
けど、

「・・・・・・・・・。」

知りたかったことを知れなかったせいか。
エーチの機嫌が少しナナメってしまう。
表情や喋り方、仕種等はいつも通りなのだが、アホ毛だけがしょぼくれており非常に正直になっていた。

(ごめんよ、エーチ。)

それはそれで勉強に集中してくれる面では助かったのだが、罪悪感が心に宿り申し訳なくなる志摩だった。



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