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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.63 素直で一途で臆病な想い(3/3)
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志摩だって(いちお)被害者

「そんな俺のことより!志摩さんこそ、いつの間にふかみんと付き合ってたのさ!?」

「え゛!?」

しかしこの話題は、強制変更。
志摩と朝陽のことを、そのままの勢いで問いただしてくる。

「『え゛』じゃねえよ。あん時、思いっきりふかみんとキスしてただろうが!」

「あ、いや、それは、その・・・っ!」

「しかも思いっきり俺に見せつけてきたし、俺をKY(空気読め)扱いまでしやがって!!見られたのがアイツらじゃなくて俺でホントによかったな!!」

しかも夏の慰安旅行で見てしまったアレを。
今まで言えずに溜め込んでいた苦情を、ここぞとばかりに申す。

「それやったの全部、朝陽さんだから。アレは俺も被害者側だーっ!」



曖昧が多い関係

「朝陽さんとは、その・・・付き合ってる仲ではある、よ?一応。」

「一応って、は?なんだよ、その言い方。」

「ごめんなさい。それ以外、他に言いようがなくて。」

志摩と朝陽の関係性。
それは志摩自身でもハッキリとしない部分があるようで、アリカの問いに対して、素直だけど曖昧な答えを返す。

「どういうことだよ、それ。」

もちろんその答えのせいで、アリカを微妙な顔にさせてしまう。

「成り行きというか何というか・・・。加害者は俺で被害者も俺だけど、でもその責任は俺が取らないといけないというか何というか・・・。」

「成り行きィ!?はァ!?なんだそれ?志摩さんはふかみんのこと好きで付き合い始めたんじゃなかったのか!?」

「ごめん、それは言わないで。それを言われると、めっちゃ落ち込みたくなるから言わないで。」

そしてその答えのせいで、志摩も自分と朝陽との関係にズーンッと落ち込む。

「けど朝陽さんのこと嫌いじゃないし、そういう意味で好きになれるよう俺なりに頑張ってはいるよ。あっちに忘れられることが多数あろうが、3股の過去があろうが。一応とは言え、付き合ってる仲ではあるから。」

「なんて言っていいか分かんねえけど、なんだろう。そこで志摩さんに頑張れって言うのは、なんか違う気がする。」



チラチラ見られる視線の先

そんな2人のことは、さておいといて。
アリカの視線は、志摩と話していた間もチラチラと。志摩が現在進行形で食しているエヴァが作ったお弁当に向けられている。

「それが大人の世界っていうやつかもしれないけど。アイツらの前ではホント、気をつけてほしいというか何というか。やっぱアレを実際に見ちゃうと、さ。それなりにショック受ける奴ばかりだろうから。特に志摩さん、アイツらと仲良いし。」

「・・・・・・・・・。」

だからどんな話題よりも、それが気になってきた志摩。
なのでまだ余ってた玉子焼きを、ひょいっと1つ箸で掴み、アリカの口元に差し出す。

「はい、アリカ。あーん。」

「・・・は?」

さっさとこの話題を変えたかったのもあるが、さっき不機嫌にさせてしまったお詫びも兼ねて。



似てるとこは似てる真島兄弟

「志摩さん?これは一体、何の真似?」

アリカの直ぐ目の前にあるエヴァが作った玉子焼き。

「なんかずっと食べたそうに、こっち見てるから。やっぱり食べたいのかなって思って。」

「だからいらないって。さっきもそう言っただろ。」

口ではそう言っているアリカだが、顔をうぐぐとさせている。
なので志摩は、

「ホントにいらない?食べたくないの?エヴァの玉子焼き。」

と。ニッコリな笑顔で、もう一押し。
挑発して、この誘惑に負けさせようとする。

「・・・やっぱ志摩さんって、てっさんの弟だよな。似てるとこは似てて、めっちゃソックリ。」

「え゛。それはヤダな。兄貴とは似てないで全然いいよ。」



美味しいからこそ

その結果、

「で。いるの?いらないの?」

「〜〜〜・・・っ。」

やっとエヴァの玉子焼きを、あーんと一口でパクッと食べてくれたアリカ。
きっと今頃、柔らかな甘みの味が、モグモグしてる彼の口の中で広がってるだろう。

「アリカ、美味しいよね?エヴァの玉子焼き。」

「・・・・・・ああ。」

でもその感想は、自分も好きな味付けで、美味しかったからなのだろうか。

「ホントいいよな〜、志摩さん。エヴァに好かれてて。」

「・・・えっと。」

志摩はアリカに羨ま嫉妬のジェラシーな目で、再びキッと睨まれてしまうのだった。



素直で一途で臆病な想い

そんな彼に、もう一度。

「アリカって、ほんっと。エヴァのこと好きだよね・・・。」

「志摩さん、もうそれ言わないで。認めるから言わないで。あまり誰かに聞かれてたくないから。」

そう言いたくなるほどアリカは、エヴァに真っ直ぐなのだ。
少し羨ましくなるほど・・・。

「そんなに好きなら、エヴァに好きだって言わなくていいの?」

「・・・・・・・・・。」

でもいくら本人が認めて真っ直ぐな想いがあっても、それはそれ。これはこれなのだろうか。

「・・・嫌われたくないから、できない。」

彼から、そんな答えが返ってくる。
相手も男で、こっちも男。
どんなに一途に想ってたって、伝えたらそこで最後。
好きだからこそ、それが怖いのだ。
それは今までの関係を全て壊してしまう言葉でもあるから。

「いいよな〜、志摩さんは。マイナスからのスタートじゃなくて。」

「・・・・・・・・・。」

それには流石の志摩も何も言えなくて、口を閉ざしてしまったのだった。



『CRO×QUAR』の第63話を
読んでいただきありがとうございます!

更新めっちゃ遅くなりました
ごめんなさい・・・
そして来年も『CRO×QUAR』を
よろしくお願い致します!
(来年はもう少し話が進むよ!・・・きっと)



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