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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.60 Birthday of You (1/6)
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夏が終わる1歩手前の日

8月30日。
それは夏が終わる1歩手前の日。
そしてリライトの1人。ユウこと下関 悠の誕生日でもあり、今年で20歳を迎え、晴れて成人の仲間入りを果たす。

「Happy Birthday、ユウ。おめでとうデスー♪」

「どーも。」

そんなユウの誕生会は、リライト専門チャンネルの配信動画、夜の生放送にて。イブからも、スタッフからも、もちろんファンからも盛大に祝われた。
そんな宴も終わって、片付けも済めばお疲れ様して解散。
夜も更けていい時間となったので、イブは真昼の送迎で先に帰らせたけど、ユウはまだ事務所に残ってて戻ってきた真昼と合流。

「ホントにイブ抜きでいいの?」

「イブには申し訳ないですが、これから向かうお店は、20歳未満は入場が出来ないお店ですから。なのでイブも20歳を迎えましたら、また3人で行きましょう。」

「へー。」

真昼からユウへ、こっそりと。
2人だけの打ち上げを誘われていたのだった。

「20禁の店とか。どんだけスケベな店に連れてかれるんだろー?」

「ごめんなさい、ユウ。20禁の表現は間違ってないですが、そういうエッチなお店じゃないです。なのでそっち方向で期待しないで下さい。」



20禁であることは間違ってない

事務所付近でタクシー1台捕まえて、向かった先は真昼御用達のバー、カクテルや洋酒を供する欧米風の酒場に到着。
ここはお酒を嗜む場のお店なので、20歳未満の入場は固く禁じられております。
店内に入ると、バーテンダーである1人の男性が出迎えてくれて、その人は真昼と馴染みのあるようだ。

「お?いらっしゃい、真昼くん。久しぶりだね。前に来たのは春頃だっけ?」

「お久しぶりです、ショーゴさん。夏は忙しいので、どうしても時間が取れなくて・・・。なので今日はほぼ手付かずだった夏のボーナスも持って来ましたから、彼の為にもいっぱい飲ませて下さいね。」

「んー、それはいいけど。お連れのお兄さん男前で若いね。真昼くんに限って絶対抜かりはないと信用してるけど。彼、大丈夫?年齢確認できる公共の身分証持ってる?」

「はい、こちらを拝見どうぞ。今日、20歳になったばかりな子ですので、お手柔らかにお願い致しますね。」

「それはこっちの台詞だから、真昼くん。自分のペースに彼を道連れて潰さないようにね。」

親しく話しながらも、ユウの年齢確認を承認した上で、2人は案内されたカウンター席に肩を並べて座った。

「へー。ここが20禁で、どスケベな店か。どんなエロいことあるんだろー?」

「だからユウ!20禁の表現はあってますが、ここはエッチなお店ではないので、そっち方向で期待しないで下さいっ!!」



真昼の知り合いだからショーゴさん

「ユウにもご紹介しますね。」

そしてさっそく紹介された、真昼と馴染みのあるバーテンダーの男性。
彼の名前は、道重 正午(みちしげ しょうご)。通称『ショーゴさん』。
真昼より年上で、すごく落ち着いてて優しそうな印象だった。

「えっと、ボクもユウくんって呼んでいいのかな?」

「はい。こちらこそ。・・・どうぞ、よろしく。」

ショーゴさんにもユウを。
真昼から紹介されて、こうして名を交わし合う2人。

「ボクの弟が真昼くんと同じ高校の同級生でクラスも同じでね。その伝手でボクと真昼くんは、知り合ったって感じだよ。その頃の真昼くん『鬼強まひるん』って呼ばれてたけど。ユウくん、それは今でも健在中?」

「ですよ。それに付け加えて、常に俺ら嫌がらせ受けてます。」

「あの、ユウもショーゴさんも。僕の話をするのは構いませんが、変な方向にしないでいただけませんか?」

「「だって本当の話だし。」」

「打ち合わせなしで、2人してハモらないで下さい!」

けどユウは珍しく人見知りを発揮させてしまっているのか。
ショーゴさんを見る彼の目は、ちょっと冷たかった。



最初のカクテル

「とりあえず、ユウくんは何のお酒飲んでみたい?ビール?」

「とりあえず、それで。まだどれ飲みたいか。あんまり分からないし。」

「は?ビールは先ほど生放送の解禁儀式として飲んでたじゃないですか。ビールなんて、どの店でも飲めるんですから。せっかくこういうお店に連れて来たんですから、ユウもカクテルメインに飲みましょう?」

「・・・じゃあ美味いヤツで。」

「ほう。薄いのじゃなくていいんだ?じゃあ最初だし真昼くんのと一緒の作るね。」

そうして最初に真昼が注文したお酒は、オレンジ・ブロッサム。
ベースはジンでオレンジジュースを加えた、とってもシンプルなカクテル。
ショーゴさんがタンブラーに注いで、銀の細長いマドラーでステアしたら、2人の前にご提供。

「・・・あ。美味い。ジュースみたいだけど、なんか、さわやか。」

「ね?ジュースみたいで、飲みやすくて美味しいですよね。」

(真昼くん。初っ端から、ユウくんを酔わす気満々でいるな・・・。)

静かに乾杯して、お喋り交えながら、ゆっくりお酒を嗜む。



喫煙出来る唯一のお店

ショーゴさんが勤めるこのバーには、ユウや真昼以外にも、数人だけどもちろんお客さんはいた。
けどほとんどの人が煙草を吸っていて、全面禁煙化が進んでいく世の中で育つユウにとって、ここはちょっと不思議な店内。

「ここって煙草いいんですか?」

「うん。ここも飲食店の部類だけど、レストランやファーストフード、居酒屋とかとは営業の形態が若干違うから。」

尋ねられたショーゴさんは、続けて『ここはお酒やおつまみを楽しみながら、同時に煙草を味わってひと息つくための空間』だと例え、社会のルールに基づいている健全な酒場だよと教えてくれた。
だから煙草を吸える店イコール朝陽向けかと思いきや、

「じゃあここにふかみん連れて来たら喜ぶんじゃない?全面禁煙化が進んで嘆いてたし。」

「うーん・・・、朝陽くんはお酒飲まない方ですから。こういうお店向いてないかと。」

「そうだね。いちおソフトドリンクやノンアルコールも出せなくないけど、ここはお酒を嗜む場だから。ボクとしても、お酒を楽しく飲んで酔ってってほしいかな?」

真昼からもショーゴさんからも否定的なことを言われてしまう。
下戸やお酒が飲めない人にとって、酒場のバーはなかなか難しいお店だと認識する。



20歳を迎えたので

そんな煙草に関して続く話題。

「もしかしてユウくん、煙草に興味あるの?」

「え。」

「せっかく20歳を迎えて、お酒同様。煙草も吸ってよくなったんだから。ボクのでよかったら、お試しで1本吸ってみる?もちろん強制はしないよ。嫌だったら嫌でいいからね。」

「・・・・・・・・・。」

するとショーゴさんからユウへ。
1本の煙草を差し出して来て、やんわりと喫煙への挑戦状が渡される。
これを吸うのも吸わないのもユウ次第の選択肢。

「・・・じゃあ、せっかく、ですから。」

でも何故か、この挑戦を断るのが悔しくて。
ユウは誘われるがまま、その1本受け取り、人差し指と中指で持って口に咥える。

「ショーゴさん、マッチいただけます?」

「ああ、はい。どうぞ。」

そうしてマッチを擦って、真昼が付けた小さな火で、煙草の先端が灯されていく。



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