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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.59 志摩とリライトたちのお話(2/6)
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人員不足の窮地

譲らない真昼と絶対命令の徹夜。

「でも今日は・・・、ホントに。」

「だーかーらー、駄目だってまひるん。文句あるなら、自己管理出来てなかった自分に言ってよ。」

徹夜の命令は絶対的だから逆らうことは許されない。
それでも首を横に振って真昼は頑に嫌がり、今日の仕事はリライトにとってすごく大事な仕事だから、と。どうしても頷けられない理由がそこにあった。

「お願いです、徹夜先輩。行かせて下さい・・・!どうか。お願い致します!」

「・・・・・・・・・。」

リライトは真昼が専属だから、この責任はとても重い。
徹夜だってアリカの仕事が入ってるから代行は不可能。
絶対命令も譲らない意思も、以前からあった社員不足の窮地に立たされればなす術なし。どうしようもなくなってしまう。



リライトからのご指名

「シマちゃん。俺らのヘルプ、頼める?」

「クロスカルテットは今日、オフデスから。暇、デスよね?」

「い、イブ。この状況で暇(それ)言わないで。」

そしてこの空気を、よんでいるのかいないのか。
遠くで見ていたリライト2人が、揃って志摩をご指名。
「今、暇だろ?」と言われたが、たまっていた雑務の処理をしていただけなので、志摩はその通りすぎて否定する言葉を返せなかった。

(いや、でも、待って!)

けどついさっきまで真昼と徹夜。上司の2人があんなにも葛藤してたんだ。
そんな中でその責を研修の志摩が背負うのは、いくらなんでも荷が重すぎる。

「大丈夫、大丈夫。リライトの仕事は俺らがメインだから。シマちゃんはスタジオ着いたら、あっちの関係者に挨拶してくれればそれだけで大丈夫だから。」

「あとはボクらに任せておけば、シマチャンはNo problem。問題ないデス。」

なのにイブもユウも真昼譲りのように、自分が言葉にしたことを譲らなかった。



乱れの初症状

推してくるリライトを、アワアワと慌てて説得して、この不安に怯える志摩。

「いやいやいやいや、だからって。真昼さんだって、俺なんかじゃ不安要素しかないだろうし。俺も失敗しないなんて言い切れないし、むしろ失敗する率のが高いよ。」

自分以外の人で!と辺りを見渡したが、その視線を逸らされてしまい、真昼や徹夜とは違った意味で窮地に立たされる。
他の社員もみんな自分の仕事があって、我こそは!と代われる者は誰1人いなかった。
その一瞬、志摩の脳裏に走ったノイズ。

「・・・・・・!」

それは懐かしいような、懐かしくないような。
思い出せそうな気がするけど、思い出したくない気もする。

(あ、あれ・・・?なんだっけ?この感じ。・・・どこかで、なんだったっけ?)

たった一瞬だったけど曖昧な記憶が、志摩の心を静かに騒つかせた。
すると、

「真島さん・・・。僕からもお願い、出来ますか?」

「え。・・・えぇ!?」

あんな頑に譲らなかった真昼からもリライト同様、志摩に指名が入った。



真昼からのご指名

「ちょちょちょちょ、待って!真昼さんまで。なんで俺を!」

真昼まで指名した訳は、至って簡単。

「イブとユウの希望が、真島さん。貴方でしたから。」

リライトの2人が志摩を選んだから。
たったそれだけの理由で頷いたと言う。

「あ、いや、でも。俺、絶対失敗しますし!」

「大丈夫です、真島さん。今日くらいは、多少の多までなら僕も大丈夫ですから。」

「それ。真昼さん的に、絶対に許さない感じの言い方になってませんか?」

今回の欠点は自己管理が出来なかった真昼にある。
だから深々と頭を下げて、今日の仕事を。リライトのことを志摩に託した。

「真島さん。どうかリライトを・・・。イブとユウを、よろしくお願い致します。」



年下に下げられる頭

志摩にとって真昼は、職場では先輩の上司。
だけど年齢は年下の男の子。
いつまでも未遂事後をしつっこく怒ってて、そのせいであんまり好かれてなくて、ついさっきだって譲らない強情な意思に負けたばかり。
でもそこまで捨てたプライドに下げられた頭でお願いされれば、志摩も断る術がなくなり、静かに頷く。

「・・・分かりました。」

「あ・・・。ありがとうございます真島さん。」

「ただしちゃんと休んでいて下さいね。それが俺からの条件ですから。」

「・・・はい。」

そして徹夜もその案に乗って、話の軸を決めていく。

「志摩、とりあえず今日休みだったふかみんにも連絡入れて現場に向かわせるから。最低でもそれまでの間、2人をよろしくね。」

「お、おう。」

「それから失敗は誰にでも起きることだから。失敗した時、どう対処してどう次に活かすか。それは失敗しないと勉強にならないから、恐れずに学んでいってね。」

彼も上司として。兄として。珍しくて、らしくないアドバイスを志摩にくれた。



絶対安全運転

話が決まれば、行動は速やかに。

「それではシマチャン。ゴーデス、Let's go〜!」

「うあぁぁ、はいっ!」

ただでさえ時間をロスしてしまっている状態なのだ。
まだ少し余裕はあるとはいえ、待ってはくれないのだから、遅れないようリライトを仕事場に向かわせよう。

「今日はここのスタジオに向かえばいいから。俺らに気ィ遣わず、いつもどおり走らせればいいから。」

「クロスカルテットの曲も入れたCDもありますよ。」

送迎で使ういつもの社用車に、カーナビ設定してくれたのはユウ。
ラジオを音楽に切り替え、志摩の緊張を少しでも紛らわせようとしたのはイブ。
この緊急事態に2人も、後部座席から自分らで出来る限りのことをしてくれていた。

(ん?)

そして出発前に受信した徹夜からのメッセージ。
『せっかくの機会だからリライトのこと、少しでも学んでおきな』と、またらしくないことを言われ、逃れない重荷に覚悟を決めた志摩。
深呼吸して自分を落ち着かせてから、グッと踏んだアクセルで車をゆっくりと走らせた。
もちろん絶対安全な運転を心掛けて。



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