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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.56 夏休み海旅行のお話(後編)(3/3)
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いきなりで、突然で、


「んぐっ!?」

朝陽さんに口付けされた唇。
突然でビックリして直ぐに離れたけど、確かに重なってた一瞬。

「な・・・っ!いきなり何してんだー!?」

「何って、チューだよ。キスされただけじゃ分からなかった?」

「いやいやいや。そういうこと言ってるわけじゃなくてっ!」

「ん〜?じゃあどういうこと?したくなったから、した。そう答えればいいの?」

された俺は、めっちゃ焦ってテンパったが、してきた朝陽さんが至って平常。いつもと何も変わらずニコニコと余裕綽々。

「あれ?期待してたんじゃないの?あわよくば〜なアバンチュール。」

「ばか!・・・っ、やめ!ストップ、ストップ!」



目撃者

けどロックオンしてきた朝陽さんは、すっかりその気に。
簡単に逃れることが出来ず、真っ赤な顔で焦りっぱなしな俺。

(攻めは俺なのに〜!)

とか、心で叫んでる場合じゃない。

「とにかく、やめ・・・やめろって!こんなとこ誰かに見られたらー・・・!」

その途端、近づいて来た足音が止まる音が後ろから。

「え・・・。」

海辺に差したパラソル下のこんな場所で。
みんな以外にも色んな人達がいて、誰かの目に見られることすら構ってなかったから、やっぱりと予想がついた展開。

「ちょ、志摩さんたち今、何して・・・ッ!?」

よりにもよってアリカに、見られていたのだった。



封じられる言い訳

アリカは今のを、バッチリ見てしまっていたのか。
信じられない表情で俺らを見ている。

「・・・・・・・・・。」

弁解するなら、今この場で。
これを逃したらアリカからエーチたちみんなに広まって、俺の立場がなくなってしまう。

「あ、あ、あ。アリカ、今のは、その・・・っ!」

それを恐れた俺は、真っ赤だった顔を真っ青にさせて、なんとか言い逃れようとした。
だがその口は、

「んんんっ!?」

朝陽さんによって奪われ、また塞がれてしまう。
しかもアリカに見せつけて。



朝陽の挑発


「コラ!まてまてまてー!ふかみんストップ!」

構わず続行する2人に、ハッとしたアリカ。
慌てて俺ら。いや、主に片方を止めに入った途端、やっと俺から離れた朝陽さんは、

「アリカ・・・、KY。」

その言葉を、やや強く発す。

「え・・・?」



朝陽の挑発 2


「19にもなった男が、イチャついてる現場見て、慌てて茶々入れにくんじゃないの。」

見られたことも邪魔されたことも、本当は全然気にしてないくせに続くお説教。
まさか朝陽さんに『KY(空気読め)』を言われるとは思わなかったのか、アリカは体を一瞬だけ竦ませる。

「そこは黙って、見て見ぬフリするとこでしょうが。」

「だ、だったとしても、もうちょっと場所を!エーチたちだっているわけだし!」

「もー、うるさいなあ。」

思わず反論したが、朝陽さんが言葉を強くするせいで脆く。それどころか、

「何、羨ましいの?ならヘタってないで、アリカもエヴァにしてきたらいいじゃん。綺麗事ばかり並べてないでさ、醜くて貪欲な部分も晒したらいいじゃん。」

「・・・ッ!」

まるで挑発するかのように、流し目で煽てしまう。
しかしそこには反論ないのか。

「・・・邪魔して、悪かったな。」

アリカは一息吐いて、この場を去って行った。



願わくば・・・

そんな2人のやりとりに、ずっと間に入れずにいた俺。
おかげで何にも出来なかったけど、アリカが去ったことにより分かったことがひとつある。

「朝陽・・・、さん。アリカがこっち来てるの分かってて。分かってた上で、さっき俺にキスしたんですか?」

「だってヘタレすぎるのって、なんか見ててムカつかない?やるか・やらないかの2択で、いつまでもふよふよしててさ。」

「アリカの純と朝陽さんの不純を一緒にしないで下さい。」

始まりは、どこから。
終わりは、どこまで。
それを知る由はないようだが、朝陽さんの企みにまんまと利用されていたのだ。

「性から愛を切り離すこと出来るけど、愛から性は切り離すこと出来ないのが人間の性だからね〜。」

「は?」

願わくば奴による挑発が、アリカに影響されてませんように。



行きも帰りも

だけどそれは願ったこととは、逆方向に叶ってしまったのか。

「あららー?アリちゃん、帰りもご機嫌ナナメ〜?」

「・・・うっせぇよ。」

慰安旅行最終日。
帰りのバスでアリカは行きと同様、帰りまでも不満顔。
その目線の先すら一緒の方向。

「アズはともかく。エヴァって案外、車で寝ちゃうタイプなんだね。」

「スー・・・Zzz。」

「グー・・・Zzz。」

隣同士で肩を寄せあって仲良く平和に寝ている彼らを見ていた。

「・・・・・・・・・。」

けど俺は、そんなアリカが気になって気になって仕方なくて、心配が隠せずハラハラ。
今回は『慰安旅行』のはずなのに、その終わりすら空気が淀んでしまい、ちゃんと彼らを労えたのか。よく分からないまま幕が閉じたのであった。



『CRO×QUAR』第56話を
読んでいただきありがとうございます

ほぼ1年ぶりの更新です
お久しぶりぶりでございます(汗)
休止していた間も、この56話は
ちまちまと書いては消して
あるシーンで葛藤してやっぱやめてを
割と長い期間繰り返しておりました
ので、ほぼ1年かけて書いたお話と
なっております
そんなに重要な話じゃないのに!

とりあえず今回をもちまして
『CRO×QUAR』も更新復活&再開です
また今後ともよろしくお願いいたします!!


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