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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.56 夏休み海旅行のお話(後編)(1/3)
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更新も1年ぶりです

気がつけば結構、久しぶりになってしまったこの始まり。
この物語の主人公は俺、真島 志摩。
どっちからでも『ましましま』と読める名前の俺。
『お疲れ様&ありがとう&これからもよろしく』という意味が込められた今回の慰安旅行。
社員は引率者として、俺もアリカ班のみんなと一緒に海へやって来た。が、

「じゃあホテルの方には、まひるんとふかみんがいれば大丈夫だから。そっちのこと頼んだよ。」

「はいっ。お任せ下さい徹夜先輩。」

「・・・へっ?」

その裏側はと言いますか。
その俺側はと言いますか。
1日目。ホテル到着するや否や、さっそく俺と兄の徹夜だけ別行動。

「さて、じゃあ志摩くん。僕らはこれから車レンタルしに行くよ。」

「待て待て待て待て待て!あの2人だけホテルって、俺らは!?」

「んー、レンタカーの車で車泊かな。」

「なんでだーっ!!!!」

「ここから1番近い道の駅に銭湯があったから、お風呂のことは心配しなくていいよ。寝冷え対策に、ブランケットも会社から借りて持ってきてるし。」

最寄のレンタカーの店から、車を借りに行くことに。



オンシーズンの恐怖

ホテルでみんなとキャッキャウフフ。あわよくばのアバンチュールを、『慰安旅行』のスケジュールを聞いたときから、大に期待していた俺。
それを丸ごと兄貴の手によって潰されるなんて、黙っていられるわけないからギャーギャー抗議を申す。
だが、

「志摩くん。オンシーズン中のホテルって、1泊するだけでもすっごく料金掛かるって知ってる?」

「へ。」

「車をレンタルするのも通常時期に比べて割高だけど、2泊3日分の料金でもホテル1泊分に比べたら全然安くてね。僕ら社員分はアリカの寄付金分には含まれてないから、少しでもおさえないといけなくて。」

「だ、だ、だ、だからって!」

兄貴の言い分により俺の抗議なんて、しゅんしゅん小さくされていく。

「ー・・・まあ、どうしてもイヤ言うなら、今からでも部屋取りに行くけど。そのお金、クロスカルテットの資金から出すことになるから。あの4人に怨まれても僕、知らない「俺、車泊大好きです!!」

そしてレンタルした車はボックス型。
座席を倒せばフルフラットなって、横になって寝れちゃうスペースが簡単に出来上がり。
これでエコノミー症候群対策もバッチリ(だからと言って、大の男が2人で寝たら、ちょい狭だけど)。
結局、兄貴と一緒に車泊コースのルートは免れなかったのだった。



車泊晩飯


そういうわけで1日目。
海ではしゃぐみんなをホテルに見送った後の俺らは、ここから最寄りの道の駅へ。そこの銭湯で、それぞれ交代(兄貴が先で、俺が後)で汗を流す。
そして宿泊先となった車へ再び戻ってくると、

「あ、おかえりー。志摩くん。先に食べちゃってるよ。」

既に兄貴が1人で宴会モード。
道の駅の売店で、あれこれそれこれ買った食べ物を車内に並べていたのだ。

「な、何だ?この食い物の量!?」

「これ全部、今日の晩御飯だよ。志摩の分もあるから、好きなの食べていいよ。」

「はぁ!?」

「せっかくここまで来たんだから、道の駅分の名物は食べておかないとね。売り切れあって制覇は難しかったけど。」

その姿は相変わらずと言いますか。
俺(弟)より背が低いくせに、めっちゃ食う兄貴だった。



ガチでオススメ


「・・・兄貴って、いろんな食べ物。いろいろ知ってんだな。」

「ん?うん。せっかくだからね。アリカのツアーの時とか、その地域の名物は絶対に食べ行くかな。気合い入れの差し入れや打ち上げ目的以外でも。」

いつでも車を動かせられるよう酒類は全部ノンアルコール。
1人から2人宴会となった車内。

「志摩もみんなと大阪方向へ行く機会があったら、55●の餃子や肉まんも食べてみるといいよ。あそこのは本当におススメ。通販で取り寄せることも出来るけど、僕は直接お店に行って食べるべきだと思うから。アリカとライブで大阪行った時は絶対買いに行くし。」

「や、やけにその店のこと熱心にススメてくるな。」

「だって本当に美味しかったから。仕事絡みとは言え、そうやって各地で色々食べられるのも、全部アリカのおかげなんだけどね。」

ご飯は名物だらけなので、テレビ番組や雑誌等で見たことがあって初めて食べるものばかり。だけどどこかで食べたことがあるような味で、そこまで冒険感はなかったが、それが逆にホッとした。
 


本日の成果


「そうだ、志摩くん。今日、カメラで撮ったもの見せて。」

「ん?ん。」

モグモグとご飯を食べてる真っ最中、さっそく兄貴の方から。本日、俺が撮った動画の成果をチェックされる。
まだまだ練習してる段階で完全なホームビデオだけど、今回は俺自身だって自信あり。
警備員の目にずっと怯えながらだったけど、水着姿ではしゃぐみんなをバッチリ撮ることが出来たんだ。

「へー。あの4人だけじゃなくて、リライトの2人やアリカも撮っててくれてたんだ。」

「ああ。いい感じに撮れてるだろ?」

「ふーん。」

どうだ!
初心者ながら、結構頑張っただろ?俺。



本日の結果

そんな今日の成果を。
今か今かと待ち構えていたが、

「はい、全消去。」

「んなぁーッ!?!?!?」

兄貴は、たったひとつのボタンで今日1日の頑張りを無に。
何も躊躇いもなく全て消したから、俺も思わず変な声が出てしまう。

「だって思いっきり水着の女性映ってたから。盗撮は良くないよ、志摩くん。」

「背景ー!それ背景だから!確かに一緒に映ったとこあったけど、水着の女の人がメインに映ってるシーンなんてなかっただろ!」

ひどい・・・。というか、むごい。
暑い炎天下の中、俺だって俺なりに頑張ってたのに・・・。

「っていうか、海で動画撮影とか普通に止めてくれない?志摩くんが通報されるだけで、会社の信用も志摩くんの軽率のせいで台無しになるからさ。社員・スタッフ全員、路頭に迷わす気?」

「・・・ごめんなさいでした。」

そしてそのままカメラは没収されてしまったのだった。



真島兄弟の就寝時間

夜は更けていき、就寝時間を。いや、就寝しなくちゃいけない時間を迎える。

「それじゃあ明日も朝早いから。とっとと寝なよ。朝の野菜市でみんなに美味しいスイカ買って行かないと、なんだから。」

「す、スイカ?」

「あと一緒にスプーン買っておかないとね。キィちゃんあたり使いたがると思うし。」

座席を倒してフルフラットになった車内。
これで男2でも寝れちゃうスペースが簡単に出来上がって、これでエコノミー症候群対策もバッチリだー・・・と。確かに述べました。が、

「・・・・・・・・・。」

実際に体験すると、寝そべってる床が固い。痛い。辛い。
なんかゴワゴワする感覚が嫌。なかなか体に馴染んでいかない。
そしてそんな中で落ち着けない1番の原因は、

「ふわぁー・・・。それじゃあおやすみ、志摩くん。」

自分の直ぐ隣で寝ようとする兄貴の存在。
実家ですら同じ室内。同じ空間。こんな至近距離で一緒に寝たことなんてなかったのに・・・。
だからこの状況を余計に気にしてしまい、兄貴に背を向けたまま、絶対に寝返らないよう意識して気をつけた。



真島兄弟の就寝時間 2

外から聞こえる虫の鳴き声。

(・・・さっきまで、こんな煩かったか?)

普段は気にもしないくせに、今日に限って凄く耳に通る。
それ以上に背中から僅かに感じる、自分のじゃない体温が気になって寝付けられない。

「・・・・・・・・・。」

でもそれは俺が意識を過剰にさせてるだけ?

「・・・兄貴。まだ、起きてる?」

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

兄貴に話しかけても反応は何もない。
車内のシーンとした雰囲気は、静かなまま。

(この状況で寝れるって羨ましいな、畜生。)

俺だけがこの状況に落ち着けず、寝たいのに眠れないという無駄な時間を過ごした。



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