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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.47 感謝祭ライブの話(前編)(1/4)
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マイナススタート

チェリーストーン事務所にて。
朝礼が終わった後のこと。
志摩は徹夜と、今後のクロスカルテットについて話し合っていた。

「そっか。エヴァ辞めないでいてくれるんだ。・・・良かった。」

「エヴァも何だかんだ我が強くて堅い子だから。今回は僕でもちょっと焦ったよ。」

クロスカルテットはリーダーのエーチ、アズ、キィ、エヴァ。この4人がいてこそのクロスカルテット。
デビューを果たしてスタートラインを切ったとは言え、それまでも大変だったけど、もっと大変なのはこれから。

「あ、そうそう志摩くん。アリカとリライトのコラボライブでかかった費用、クロスカルテットも持つことになってるからよろしくね。」

「はァ!?!?!?」

「だってそうでしょ?事情がどうであれ、クロスカルテットが僕の許可なく、デビューを延期させたことには代わりないんだから。おかげさまであのライブ赤字だったわけだし、ちょっとはその責を負ってくれないと事務所として凄く困るよ。」

何せクロスカルテットはプラマイゼロではなく、赤字のマイナススタート。
さっそく事務所に借金を抱えた状態で始まってしまっていたのだから。



借金というパワーワード

「はい、これがクロスカルテット分。」

「ひッ!?何でこんなにあんの!?」

「二度と同じことを起こして欲しくないから、戒め込めての金額。」

『借金』という言葉は、漢字2文字、ひらがな5文字。たったそれだけでも背負った重みはズッシリどっさり。聞くだけでも胃がキリキリ痛んでギリギリ絞られる、物凄い強烈なパワーワードだ。

「けどこれでも少ない方だよ。まひるんと話し合ってアリカ4、リライト4、クロスカルテットが2の分配なんだから。」

「うへぇ・・・。」

いきなりそんな現実を突き付けられても正直、心も頭も追い付けられなかった。

「今すぐにって訳じゃないから。先ずは返済目指して頑張ってね。」



闇部分の真実

けれどそのおかげでエーチとエヴァも、高校生なのに借金を負わされていた件を思い出す。
決して忘れていたわけじゃないけど、気軽に出来る話題でもなかったため、あれからも訊けずにいたから、この機会に改めて、おずおずと躊躇いながら尋ねる。

「あのさ、兄貴・・・。」

「ん?」

「・・・エーチとエヴァが事務所に借金抱えてるって話、マジ?」

それはチェリーストーンの芸能事務所に潜む闇の部分。
徹夜は志摩よりも先に、ここで長く働いている身。
なのできっと色々と、事情や訳だって知ってるはず。
そしてそれが何かの間違いだと信じたかったのに、なのにこの男は、

「うん。マジだよ。」

けろっとした顔で『YES』と肯定し、正反対の反応で答えを返してきたのだった。

「2人は1500万ずつ負ってて、そこにさっきの分も合わせて加算されるから。ホントよろしく頼んだよ?志摩くん。」

「・・・・・・マジですか。」



作者もメンタルげっそり

こんな大事な話を、どうして黙ってたんだろう?
エヴァの友人、燐之介から言われてなければ、きっと志摩は知らないまま今の今までを過ごし、これからも知らないままのままでいただろう。
だから何で今まで言わなかったのかと徹夜に問うと、

「だって訊かれなかったから。」

と。けろっとした顔で、またもやそう返ってきてしまった。

「そんな『ボクと契約して魔法少女になってよ』と言ってくる奴と、似たようなこと言うなよ。」

「でも何も訊いてこなかったのは、本当のことだし。」

「けどさー・・・。」

「仕事ってさ、言われるのを待つんじゃなくて、自分から行かないと駄目だよ。そういう態度、姿勢から評価されて、その上で関係性や信用、信頼性を作っていくしかないんだから。消極的でも受け身オンリーは絶対NG。いずれ肩身狭くなって働き辛くなるからね?いいように利用されて仕事押っつけられるか、誰からの助けが入らなくなって孤立化しても、それはもう自分で築かせた結果。自業自得としか言いようがないよ。」

そしてごもっともなことまで言われ、兄としてではなく、上司としてそのまま色々と説教される羽目に合う。
メンタルまでゲッソリ抉るように論じて来ないで、てっちゃん・・・。



超胡散臭い訳

でも志摩が知りたいのは、そんなごもっともな話じゃない。
なんであの2人が借金を。しかもあんな大金を背負ったのか。その訳が知りたいだけ。

「アリカがエーチとエヴァを連れて事務所に遊びに来た日に、ちょっと色々あってね。その時、エーチに僕が持ってた花瓶割られちゃって。で、よりにもよってその花瓶が3000万しちゃって・・・。本当はエーチだけに弁償させるはずだったんだけど、エヴァが庇ってきたから一緒に仲良く半分半分負わせたの。」

「・・・・・・。」

だから改めて、その当時の事を聞かせてくれたのだが、なんというか。

「どうしたの?志摩くん。変な顔して。」

「超胡散臭ぇ・・・っ!」

誰かがハメられるのによく使われる展開すぎて、増した闇の奥深さ。
家族だけど、兄貴だけど、上司だけど、信用も信頼もしてはいけないこのクソ男が主に関わっていたと知れば、余計な疑いが強くなっていく。

「本当にその花瓶、3000万もしたのかよ。桁違ってないか?」

「したよ。お祝いで頂いた骨董品の花瓶だったから。」



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