≪ top ≪ main

CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
はじめから読むページから読むしおりから読む


Act.42 Eva episode(3)(2/4)
]  [目次へ]  [

迎えた7月7日

しかし日付は、どんどん過ぎていく。
ゆっくりなはずなのに、このときばかりはとても早く思えた。
だってエヴァをそのまま置き去りにするかのように、6月の水無月から7月の文月へと移り変わっていったから。
そして捻挫の具合は順調に回復してるが完治には間に合わないまま、ついに7月7日。アリカが19歳となった誕生日を迎えた。

「わぁ。お客さんすっごくいっぱい。これ全部あんちゃんの?」

「ものの見事に女性が多い!」

アリカバースデーライブの会場は、満員御礼。客席は全てアリカファンの方々に埋め尽くされている。
ドキドキとバクバク。
この緊張する気持ちを音で例えるなら、どんな音がいいんだろう。



ライブの後に待つ現実

ずっとこの日を待っていた7月7日。
クロスカルテットも今晩ここでデビューを飾り、晴れ舞台となる。

「アズ、キィちゃん。」

だけど直ぐに現実を見なくちゃいけない。
メンバーに伝えなければいけない。

「・・・アリカ先輩のライブが終わったら大事な話があるから。エヴァのことで。」

「大事な話って?何だよ、エッチ。」

「えいちゃん。えばに何かあったの?」

楽屋に控えていたクロスカルテットの3人は、ここで最後の気合い入れ。

「終わったらちゃんと話すから。今は、今だけはアリカ先輩のライブに集中して、オレたちもアリカ先輩の誕生日多いに祝おう!」

デビューの場を3人で立つ決意を。
エーチが円陣つくって中心となり改めて覚悟する。



同じ世界に

支度できたアリカがクロスカルテットを迎えに、楽屋へ顔を出してきた。
徹夜は別の場所にいるのか、姿を見せてきたのはアリカ1人だけ。

「準備出来たか?お前ら。」

「はい。オレたちを、クロスカルテットを。アリカ先輩と同じ世界に連れていって下さい。」

開演まで残り数分。
もうまもなくアリカのバースデーライブが始まろうとしている。
それはアリカ自身が一番よく知っているはずなのに、

「なあ、エーチ。お前これでいいのか?」

その寸前で、エーチに確かめてきた。

「え。」

「だから本当にこれでいいのかって訊いてんの。」



本当にこれでいいのか

「いいも何も仕方ないよ。てっちゃんに言われてる以上、もうどうにも・・・。アリカ先輩だって分かるでしょ?」

「そりゃてっさんもやり手だからな。エーチらより付き合い長いから、そこは言われなくても分かってる。」

それは徹夜がこの場にいない今だからなのか。

「もう一度聞く。クロスカルテットのリーダーとして答えろ。」

アリカは問う。
エーチに、ではなく。
クロスカルテットのリーダーとして。

「いいのか?これで本当に。」

彼の本心を。

「・・・いいわけ、ないよ。」

本当の気持ちを吐かせた。



誰よりも

「全然いいわけない!嫌だよ!」

エーチはずっと堪えていたのだ。
徹夜から先に言われたあの日から。
アズやキィに3人だけでと伝えた日。
そして歌もダンスも全てエヴァが抜かれたバージョンで完成されたときも。

「このままオレらだけで出たら、エヴァを置いていっちゃう!本当にエヴァがいなくなっちゃう!」

誰よりも平気なふりして。
誰よりも我慢して。
誰よりも受け入れていなかったんだ。

「オレらは4人でクロスカルテット。そこから誰かが欠けそうになってるのにいいわけないよ!そんなの嫌だよ・・・っ!」

エーチはずっと堪えていたのだった。



リーダーの答え

「だと思った。てっさんたちより付き合い長いから、エーチの本音聞けて安心したわ。」

するとアリカは、そうボソッと口にしながらホッとした息を吐く。
わしゃわしゃとエーチの頭を撫でて、あの日からずっと萎れたままのアホ毛を元の位置に戻させる。
彼はどうしてもそれが気になっていたようだ。

「けどエーチ。リーダーとしての答え=クロスカルテットの総意として受け止めていいのか?」

「・・・・・・。」

けどクロスカルテットのリーダーはエーチだけど、メンバーは彼だけではない。
だからエーチはアズとキィに向かって頭を深く深く下げた。

「アズ、キィちゃん。ごめん!俺やっぱりエヴァを待ちたい。エヴァを待ってみんなで、4人でステージに立ってスタートを切りたい。本当にごめん。こんな寸前でリーダーの俺がこんなこと言って・・・。」

2人だってこの日のために、厳しいレッスンを一緒に越えてきた仲間。
エヴァを抜かされたバージョンで完成されたモノを水の泡にさせて、自分の発言が1人のために2人まで巻き込むのだから。



クロスカルテット三方向の総意

でもそれは、

「いいよ、えいちゃん。謝らなくても。」

「本当だよ、こんな寸前まで隠してただなんて。もっと早く僕らにも言えばいいのに。」

アズもキィも反対がないようだ。

「ボクもえばを待ちたい。みんなで揃ってないと寂しいから。」

「僕もいいよ。3人で出ちゃったらスリーウェイトリオになって、クロスでもカルテットでもなくなっちゃうし。」

2人とも静かに頷き、リーダーに賛成。
クロスカルテットの三方向、東・西・南からの総意として1つに集まった。

「ありがとう・・・っ。アズ、キィちゃん。」

『エヴァを待つ』とー・・・。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む



BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -