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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.41 Eva episode(2)(3/3)
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逸らせれない現実

それからもゆっくりとした時間があっという間に過ぎていく。
あんな事故があったばかりだというのに・・・。
でもいつまでも目を逸らしてはいけない。

「エヴァ。ライブの件なんだけど、さ。」

だから志摩はエヴァと現実を見つめ合う。

「ごめん。兄貴から連絡あって予定は変えられない、らしい。」

「どうしてそこで志摩さんが謝るんですか?」

「いや、だってアリカのライブにはクロスカルテットのデビューも関わってんだ。なのに兄貴は予定を変える気なくて、エヴァ抜いて3人だけでって話になって。本当にごめん。」

「・・・俺の怪我を招いたのは俺自身のせいであって、徹夜さんを責めるのはお門違いです。」

アリカのバースデーライブ。クロスカルテットのデビューを飾る場にエヴァが立てないことを伝えた。
あれだけずっと頑張ってきたのに彼だけ立てない。
目の前まできた白いラインのテープを、メンバーと共に切ることが出来ないのだ。

「3週間・・・ですから。仕方ないです。」

けれどエヴァはその現実にショックを見せることなく、聞く前から受け入れていたようだった。



逸らせれない現実 2

弱い笑顔で、そう語るエヴァ。
そんな彼を見て、ふとGW合宿のことを思い出す。

「悔しくないの?エヴァ。」

「むしろ俺は、これで良かったんだと思います。」

エヴァは前半好調だったのに、後半の伸びで敗れた結果。
アズとキィが選ばれて、自分が選ばれなかったことに、彼は悔しがるどころかホッとしていたのだ。

「エーチとアズから聞いたんだけど。エヴァ、兄貴と何か話したいことがあるんだって?」

そしてエーチとアズも心配していたエヴァと徹夜のこと。
それもずっと引っ掛かっていたから、エヴァ本人に問いただす。

「え、エーチまで?アズは分かりますけど、どうして?」

「どうして?って、エーチもエヴァが心配だったからだと思う。」

「・・・・・・。」

するとエヴァの中で、エーチの件は心当たりなかった模様。



言わせてしまった言の葉

「えっと・・・、もしあれだったら俺からも兄貴に言っておくよ。」

「・・・そう、ですね。」

でもそのおかげで?そのせいで?
エヴァも決心がついたのか。

「そう、でしたよね。志摩さんにも話しておくべきだでした。」

「何をー・・・?」

彼の口から言わせてしまった。

「俺、このまま辞めようと思ってました。クロスカルテット。」

言わさせてしまったのだ。
なぜ徹夜がずっと避けてきたのか知りもしないで。



ずっと前から

「え!?辞めるって、えぇ!?」

もちろんそんな言葉、志摩だって驚きも動揺も隠せない。

「いきなりどうして!?」

「いきなり、ではないです。」

志摩にとってはいきなりだけど、エヴァにとってはそうじゃない。
ずっと前から決めていて悩んでいた種だった。

「ちょっと前に。エーチたちと初めてした合宿のあとの日、レッスン前に俺が1人で来たときもそれを徹夜さんに相談してました。けど途中で途切れてしまったまま今に至ってしまい・・・。」



今までありがとうございました

「でも今回の怪我で改めて決心がつきそうです。クロスカルテットと堀北食堂の両立が出来ませんでしたから。」

それを言わせてしまった以上、エヴァの中で決まってしまったのだろうか。

「それにこのままクロスカルテットを続けていたら、今以上に堀北の方が疎かになってしまいます。」

「エヴァ・・・。」

「今の俺があるのは堀北・・・いえ、リンのおかげであるので。これ以上、リンを裏切ることは出来ません。」

エーチにアズ、キィにエヴァがいてこそのクロスカルテット。
誰も欠けてほしくないその1つが、今まさに欠けようとしていたのだった。

「志摩さんも今までありがとうございました・・・。」



『CRO×QUAR』第41話を
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