≪ top ≪ main

CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
はじめから読むページから読むしおりから読む


Act.39 雨が降った日のお話(3/5)
]  [目次へ]  [

アズのお願い事

アズから志摩へ語られるお話。

「あのね。それでねボク、しまちゃんにお願いごとがあるんだ。」

「俺にお願いごと?」

「うん・・・。」

それはこんなときだからこそ。
2人しかいない今だからこそ話せる話なのか。
いつもに増してアズは真剣な眼差しで、志摩を見ていた。

「・・・しまちゃんにしか頼れそうにないから。」

「え?なになに!?」

もちろんそんなことを改まって言われたら、気にしないはずがない。
だから志摩は、ついアズのお願いごとに聞いてしまう。

「あのね、しまちゃんからもてっちゃんにお願いしてほしいの。えばとお話ししてって。」

「・・・えっ?」

以前、エーチから『アズからエヴァのことで何か言われても、まだ聞かないで』と。
絶対の絶対で、アズよりも先にお願いされていたはずだったのに。



2つのお願い

「えっと・・・?」

アズのお願いを聞いてから、エーチのお願いを思い出した志摩。
しまったと後悔しても、聞いた以上はもう遅い。

「えばがね、てっちゃんとお話したいことがあるんだって。でもずっと取り合ってくれてないみたいで、自分のこと避けられてるんじゃないかって疑い始めちゃってて。」

「兄貴がエヴァを?」

「おかげでここのところ。ううん、ずっと前から調子がおかしいの。だからしまちゃんからもてっちゃんにお願いしてほしいの。ちゃんとえばとお話させてって。」

けれどおかげで気づけたことがひとつ。

「話って、何の?」

「分からない。でもえば酷く悩んじゃってたから。」

エーチもアズも2人して、自分のお願いにエヴァを関わらせていたのだ。



思い出せない何か

そんなアズのお願いを聞いて、志摩は自分が何かを忘れていることに、ふと思い出す。

「・・・・・・。」

しかしその何かが思い出せない。
喉元まできてる気がするのに、そこで詰まって出てこない。
なんだろう。
何かを頼まれていたような・・・?そんな気がする。
でもやっぱり何かが思い出せない。

「なんか、ごめん。兄貴が皆に迷惑かけてるみたいで。」

「ううん、いいの。迷惑なんて思ってないよ。ボクはただ、えばが心配・・・だから。」

「そっか。」

自分の知らないところで。
自分が気付いてないところで、いったい何が起きているのだろう。



どちらかではなく当事者たちに

2つのお願い事は、どちらか片方しか聞けない。
エーチとアズ、どっちのお願いを聞くべき?

(兄貴も兄貴で何やってんだ。)

とにかくこれは2人のどっちかではなく。エヴァや徹夜、当人たちから事情を伺っておくべきだろう。
そして志摩からもアズに質問しようとしたとき、

「アズはー・・・。」

「!」

ドアの向こうからガタガタッと、戸を動かそうとする音が聞こえた。

「あ、あれ?なにこれ?モップが・・・っ。」

そっちを見ると誰かの人影が映っており、平和に閉じ込められたこの状況に、ようやく救い手がやってくる。

「よかった。誰か来てくれたみたい。」

だからこっちからも応答しようと、志摩が立ち上がり動いた途端ー・・・。



騒がしい救世主

「もう、・・・かん切れ。」

アズ方向から何かを小さく呟く声が聞こえたような聞こえなかったような。

「うん?アズ、今何か言った?」

「え、何が?」

「いや。今何か言ってなかった?」

「なんのこと?しまちゃん。ボク何も言ってないよ。」

けどそれは志摩の気のせい?勘違い?
アズはきょとんと不思議そうな顔をして、首を傾げていた。

(気のせい・・・ならいいか。)

気のせいなら気のせい。
勘違いなら勘違いでいいか。

「ましクンいるー?いるんでしょー?ましクーン!ましクーーン!!」

「煩い!いるから!いいからここを早く開けてくれ!」

ドアの向こうにいる人間が騒がしく呼ぶせいで、それどころじゃなくなってきたし・・・。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む



BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -