≪ top ≪ main

CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
はじめから読むページから読むしおりから読む


Act.39 雨が降った日のお話(1/5)
]  [目次へ]  [

悪いと信じちゃう派

今日の天気は、朝のうちから空が雲で覆われていた。

『今日の天気は曇りのち雨。雷を伴った雨となりますので通勤通学、外にお出かけの際は十分にお気をつけて下さい。』

「うわー・・・。今日、雨か。」

まだ雨は降ってないようだが、いつ降り始めてもおかしくない状況。
そんな天気予報を見ながら朝ごはんを済ます志摩。
一人暮らしを始めてから前よりも少々?独り言が増えたが、誰もが通る道なので問題ない?
そうして天気の次は今日の星座占い。順位が良かった順に星座が発表されていくのだが、

『今日の運勢が一番良くないのは牡牛座の貴方。思わぬところでトラブルが。知人に巻き込まれる恐れがあるので気をつけて下さい。』

「うぇえ!?」

なんと牡牛座の運勢は全然良くないと知らされ、思わず声をあげるほどショックが隠せなかった。
なにせ彼は実家にいた頃からなんとなく毎日の日課で見ちゃって、運勢の悪かった時だけ信じてしまうタイプだからだ。

『そんな貴方を助けてくれる幸運のカギは『動物園』です。それでは今日も1日頑張りましょう。』

「何その救済措置!?これから行けと?今日、仕事なのにこれから行けと!?」

占いなんてあんまり好きじゃないのに。
占いなんてあんまり信じていないのに。
こういう時だけ。こういう時だけ教えてくれる救済ポイントまでも最後までしっかり聞いちゃうのだ。



志摩くんの今日の雑務

そんなこんなでチェリーストーンに出勤した志摩は、今日もいつも通りの業務をこなしていた。
夕方になればクロスカルテットの4人も招集。

(わ〜っ。俺も早くみんなと話したいなぁ。)

っと、思っていられたのも束の間。

「じゃあ志摩くんは、会議室の掃除お願い。」

「へっ?」

「ごめん、今日は僕1人で事足りそうだし。週末お偉いさんの来訪あって使うから、今のうちに掃除していてほしいんだ。」

「えー・・・。」

徹夜の命令は、こんな時でも構わずいつだって絶対。
意義を申せれない雑用を押し付けられ、クロスカルテットのみんなと何も話せないまま、渋々と指定された場所へ。
箒やモップや掃除機をいつでも使えるよう、会議室入り口付近に用意して準備完了、お掃除開始。
これが占い通りに。思わぬところでトラブルが起きてしまうとは知らずに・・・。



with アズ

「しまちゃん、いたいた。エヘヘ。様子見に来ちゃった。」

「いらっしゃいアズ。あれ?もう休憩入ったの?」

会議室を掃除中。
徹夜の招集が解散となったのか、ひょっこりとアズがやってきた。

「ううん、違うよ。雨がひどくなってきて電車止まっちゃうといけないから、スケジュールだけ調整して今日は早く終わったの。」

「なるほど。確かエーチとエヴァが電車で来てるんだったな。」

外は雨。バケツに入った水をひっくり返したかのようにザーザーと土砂降っている。
傘を持っていても、これはちょっと外に出歩きたくないレベル。

「ボクもお手伝いしようかな?しまちゃんのお掃除。」

「え!?いやいやいや、いいよ。そんな!」

「いいのいいの。気にしないで。ひまだからやらせて。」

そういうわけでアズは、お迎えの車が来るまで、志摩の仕事を手伝ってくれることに。



モップトラップ

するとそのとき、ドアの向こうからカターンッと何かが倒れた音が聞こえた。

「ん?何の音だ?」

「ボクちょっと見てくるね。」

なんだろう?と、アズがその様子を見に行ってくれたが、

「あ、あれ?開かない!?」

触れてみて、初めて気づくこのトラブル。

「しまちゃん、ドア開かない!」

「ちょっとまって。俺に任せてみて。」

ここの会議室のドアは、スライドタイプ。
だから通常であれば横に開けるだけで開くのだが、今はうんともすんとも動かなくなっていた。

(あ・・・!そういえば俺、モップどこに置いてたっけ?それが倒れて戸をつっかえさせたのか!?)

これはもう自分ら側では開けることが出来ない。イコールそれは、この部屋に閉じ込められたという現状に陥ってしまったのだった。



絶体絶命じゃないピンチ

「ごめんアズ。俺の不注意で、アズまで閉じ込めさせて。」

「気にしないでしまちゃん。こういうことは、その、えっとー・・・、うん。稀によくあることだから。」

まさかこんな形で占い通りに、思わぬトラブルで彼まで巻き込んでしまうとは・・・!
フォローしてくれるアズの言葉が、志摩の心にグサッと突き刺さる。

「大丈夫だよ。誰かと連絡取れれば、直ぐに出られるよ。しまちゃんケータイある?」

「・・・しまった。デスクに置きっぱなしだ。アズはある?」

「ごめんなさい。ボクも荷物持ってこないで来ちゃったから。」

そしてお互いにして外部に連絡を取れる手段を持ち合わせておらず。
絶体絶命と言うほどのピンチではないが、ここからしばらく出られそうにないようだ。

「いやいやいや。アズは謝ることないって!俺の不注意で、アズまで閉じ込めさせたんだから。」

「気にしないでしまちゃん。こういうことはー・・・ってあれ?会話ちょっとだけループした?」



焦がれたシチュエーション

「ボクのお迎えが来て、誰かが探しに来るのを待つしかないね。」

「そう、だね・・・。」

雨が降る中、閉じ込められた一室で。
気になってるあの子と2人きり。

(って、ちょっと待った。何このシチュエーション!?)

突然起きたトラブルによって、アズと志摩だけの現状。
いつかこんな日がくるんじゃないかと、密かに願ってずっと待っていた志摩憧れの大展開。
もちろんこのまま何も起きないわけがなく・・・。

(なのに俺ときたら・・・。)

いつもの癖で思わずそんな未来をほわほわ期待してしまった志摩だったが、この妄想は直ぐに現実へリバース。

「なんで俺は好きじゃなければよく分からない、あんな男とお付き合い始めちゃったんだー!!」

朝陽以外を全て遮断させた前回を思いだし、拳で地団駄するほど今になって改めて後悔するのでした。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む



BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -