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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.35 志摩とアリカの二人のお話(4/5)
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次の目的地

アリカに好きな子がいるなんて、なんてことだ!
こんな話、徹夜の耳に入ったらどうしよう。
むしろ知らせるべきなのかどうか、それすら非常に難しい判断だ。

(あぁぁ・・・!俺はいったいなんてことを知ってしまったんだ。)

そんなショックを受けたままアリカと車に戻った志摩。
もう今日は彼をおとなしく自宅へ送ることだけを考え、次の目的地をカーナビに設定しようとした。その時、

「あ、待って志摩さん。そこじゃない。」

「え?」

後部座席にいるアリカが、運転席と助手席の間からひょっと手を伸ばし、ピッピッピッと勝手に操作してきた。
けれどそこはアリカ宅の住所ではなく、別の場所。
志摩の自宅に近い方向だが、いったいそこに何の用が?

「次はここに向かって。」

「アリカ。寄り道なら、もうこれ以上はしないよ。」



アリカの出身校:栗ノ木

アリカが設定した目的地は住宅街、店があったとしてもコンビニ程度。
もしさっきの話がここに繋がっているのだとしたら、そんなこと黙って許すわけにはいかない。
その羊を好きな子に渡す栄光な架け橋になってはいけない。

「違う違う。俺の実家、この辺りなんだって。実家まで送ってくれたら、あとはそれでいいから。」

「え〜。本当に?」

「嘘じゃないって!だったらエーチに確認してみろって。アイツと俺、中学から学校一緒だから。」

「嘘ッ!?」

それを疑った先で改めて知るアリカの出身校。

「中学からってことは、え!?じゃあアリカも高校は栗ノ木!?」

「嘘だと疑うのならエーチやエヴァ、栗ノ木の校長やクソ教頭らに今すぐにでも問い合わせてもらっていいぜ。」

「いや、ごめん。そこまで疑ったつもりはなかったんだけど、そうだったのか。知らなかった。」

アリカもエーチやエヴァと一緒、栗ノ木高校の生徒だったことを教えてくれた。



次の目的地:アリカの実家?

エーチたちと親しかったのは事務所の後輩というだけはなく、学校の後輩でもあったからなのか。
言われてみれば納得。
そういえば前にアリカと初めて対面したあの日もそうだったけど。初めての合宿最終日の時も、特にエーチとの会話の距離が近かったことを思い出す。

「てっさんから、あまり俺のこと知らされてなかったんだね。」

「うん、ごめん。あまりアリカのこと教えてもらってなくて。」

そこまで納得出来れば、もう十分だ。
徹夜の指示とは異なるが、言われた通りに自宅ではなく実家に送ってあげよう。

「てっきり好きな子の家に向かって、その羊を渡しに行くのかと思ったんだ。ごめんね、変に疑って。」

「え、あ、ああぁ、うん。イイヨイイヨ、キニシナイデ。」

「なんで急にカタコト?」

「え!?俺、今、カタコトになってた?気のせいだって気のせい。志摩さんの気のせい。」



到着したのは・・・

ゲームセンターから車を走らせて数分後。カーナビに道案内された通りに走行し、ようやく目的地に到着。

「・・・実家?」

しかしそこは小さなアパートの真ん前。
アリカの家族構成を詳しく知らないけど、もし父親に母親、子は彼だけの3人だったとしてもちょっと手狭なのでは?
どちらかといえば志摩の自宅アパートに近い構造な気がする。
けれど勿論その周辺にも一軒家はあるので、そのアパートがアリカの実家だと決めつけてはいけない。

「アリカ着いたよ。」

「・・・ここからなんだよな、あとは。」

「アリカ?」

アリカが目指させた目的地に着いたのに、その本人は上の空。ブツブツと呟いて何かを企てているようだった。



アリカの閃いた企み

「アリカ、着いたよ。おーい。」

「あ。あぁ・・・ごめん。アポなしだから怒られなさそうな理由、考えてて。」

「実家に帰るなら理由なんて要らないでしょ。普通に『ただいま』だけでいいでしょ。」

何度目かの呼び掛けで、アリカはやっと返事をしてくれた。
でも車から降りようとする気配がない。

「ん?どうしたアリカ。」

「・・・・・・。」

「アリカ?」

「あ!そっか!その手があった!そこのアパート、そこが来客用の駐車場だから、そこに停めたら黙って俺に付いてきて!」

「え!?」

そして志摩の顔を見てハッと閃き、思い付いた企てを実行しようと試みる。



繋げてしまった架け橋

やっぱりアリカは、このアパートに用があったんだ!
すっかり。いや、しっかり騙された志摩は繋げてしまった栄光の架け橋を取り壊そうとした。

「ちょっと!さっき実家って言ったよね?ここ、アリカの実家じゃないよね!?」

「いいから車停めたら俺に付いてきて!志摩さんいた方が心強いから!」

「あ!アリカ、ダメ!ちょっと待って!」

しかしアリカはそれを掻い潜るかのように1人先に車から出てしまい、自分の荷物と共に先ほど獲得した羊の縫いぐるみを抱えて、目的地通りだったアパートへと真っ直ぐ向かって行った。

(ぎゃー!まずい!早くとめないと!)



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