アリカに好きな子がいるなんて、なんてことだ! こんな話、徹夜の耳に入ったらどうしよう。 むしろ知らせるべきなのかどうか、それすら非常に難しい判断だ。
(あぁぁ・・・!俺はいったいなんてことを知ってしまったんだ。)
そんなショックを受けたままアリカと車に戻った志摩。 もう今日は彼をおとなしく自宅へ送ることだけを考え、次の目的地をカーナビに設定しようとした。その時、
「あ、待って志摩さん。そこじゃない。」
「え?」
後部座席にいるアリカが、運転席と助手席の間からひょっと手を伸ばし、ピッピッピッと勝手に操作してきた。 けれどそこはアリカ宅の住所ではなく、別の場所。 志摩の自宅に近い方向だが、いったいそこに何の用が?
「次はここに向かって。」
「アリカ。寄り道なら、もうこれ以上はしないよ。」
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