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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.35 志摩とアリカの二人のお話(1/5)
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事務所のソファーにて

5月末週のとある日。
チェリーストーンの社内にて、志摩はとんでもないモノを目撃。

「ぐー・・・、ぐー・・・。」

なんとそこにはアリカの姿が。
事務所のソファーをベッドの代わりにして、グーグーと眠っていらっしゃったのだった。

「あの、兄貴?これはいったい?」

「ん?あぁ、アリカならそのままでいいよ。次の移動までそんなに空き時間ないから寝かしててあげて。」

「え。」

「ね。ウチのナンバーワンとは思えない行動でしょ。本当は慎んでほしいんだけどね、こういうの。せめて仮眠室で寝てくればいいのに。」

「いやいやいや。アイドルをあんな狭い部屋で寝かす方がダメだろ。」

彼に初めて会った時の感動は今でも忘れない。
けどチェリーストーンの天下に座るアイドルの寝顔を、こう易々と拝めるだなんて思っていなかった。



お返事言わせて

それから30分もしないうちにアリカは徹夜と一緒に、次の現場に移動。
志摩は徹夜の代理で、クロスカルテットのレッスン場に。

「それじゃあまたね志摩ちゃん!」

「おう。みんな気を付けて帰れよ!」

そしてみんなを見送って、その時間が終わった直後のこと。志摩の携帯に徹夜から電話がかかってくる。

(ん?なんだ?)

電話番は自分の当番も徹夜の当番も今日じゃないから、彼から電話が掛かってくる用件に検討が付かない。
なので変な用件じゃありませんようにと祈りながら、恐る恐る電話に出る。

「どうした?兄貴。」

『そっち終わった?終わったらお願いしたいことがあるから、直ぐ事務所に戻ってきて。』

「え。」

しかし徹夜との通話は数秒で終了。
こっちがイエスもノーも返答しないうちに、用件を言うだけ言われて切られてしまう。



お返事言わせて 2

徹夜の命令は、いつだって絶対だ。
イエスもノーも言えなかった志摩は仰せのままに。いや、元から終われば戻る予定だったので、仰せのままのように速やかに事務所へ帰ってきた。

「よかった。早めに戻ってきてくれて。」

そしてそこには勿論のように徹夜がいたが、彼の隣にもう一人。
アリカの姿もあった。

「これからちょっと行かないといけない用が出来て、アリカを送ることが出来なくなったから、志摩くんにアリカのこと頼んでもいい?」

「え?」

「それじゃあ僕、急ぐから。今日はもう社用車のまま直帰していいからアリカのことよろしくね。」

「えぇ!?」

徹夜は志摩を見ると早々に頼み事を一方的に頼むと、何処かへと出掛けて行ってしまう。
またもやこっちがイエスもノーも返答しないうちに。

「せめて返事ぐらいさせてくれ。」

「大変だな、志摩さんも。」

けれど彼がアリカを頼むってことは、よっぽど急ぎの用事があったようだ。



アリカと初帰宅

それはともかくとして、こうしてアリカを任された志摩。

(アレ?アリカと2人で帰るだなんて初めてじゃない!?)

チェリーストーンのナンバーワンに座る男、アリカを自宅に送り届けるだなんて、なんて責任重大なミッションなのだろう。
より安全な運転を意識しないと。
彼に傷ひとつでも付けたら、志摩の首なんて彼方の方向へあっという間に吹っ飛ばされてしまう。
それなのに。

「ちょうど良かった、志摩さん。俺、寄りたいとこあるんだけどいい?」

「え!?」

それなのにアリカときたら志摩の心境を一切察せずに、真っ直ぐ帰ることを拒み、寄り道を要求してきた。



他はいいけど、アリカはダメ

寄り道も道草も頑なに断る志摩。

「ダメだよ、寄り道なんて。真っ直ぐ帰るよ。」

「えー!いいじゃん、ちょっとくらい。」

「ダメだよ、ダメ。そのちょっとの油断が命取りになり得る場合だってあるんだから。」

「えぇー!てっさんだと全然寄り道してくれないから、志摩さんならしてくれるって思って、すごく楽しみにしてたのに。」

「その話聞いたら余計に頷けないよ。兄貴がしてないのなら俺も出来ないって。」

こんなワガママぐらい、本当なら二つ返事で頷きたい。
エーチやアズ、キィやエヴァからだったら、間違いなく志摩は直ぐに了承していた。
けれど今回の相手はアリカ。
チェリーストーンナンバーワンを誇ってるアリカ様だ。
他の子と同じ感覚で扱うのはNGで、ご丁重に接するのが義務の一部であろう。

「どーしてもダメ?志摩さん。」

「ダメ。ダメなものはダメ。」



志摩は甘い?

「いいじゃん。俺に付き合ってよ。俺も志摩さんのこと、もっと知りたいしさ。」

「・・・・・・。」

しかし、その言葉で揺らぐ志摩の天秤。
アリカに『付き合って』とか、『もっと自分のこと知りたい』とか言われたら、もう・・・。
世の女性には申し訳ないが、志摩だって嬉しさのあまりブレてしまう。
そしてその結果。

「・・・今回、だけだよ。」

結局、アリカのワガママに頷くことに。

「さっすが志摩さん。やっぱりてっさんとは違って話分かってくれるな。」

やっぱり嬉しさには敵いません。
けれどアリカの中で志摩への印象が甘くなってないか。徹夜にはない抜け目となってしまってないか。
少々、不安を覚える結論だった。

「さあさあ。そうと決まればさっさと行こうぜ志摩さん。」



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