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サンフラワーへようこそ

同じアパートに住む大学生たちのお話
完結][大学生][季節柄][コメディ]



EP.7 夏のハプニング祭り(3/3)
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二人は一緒だから

「ご、ごめんなさい。でも・・・!」

大きな声で震えていたユーキ。

「ヒナ先輩もレイ先輩も、二人一緒にいたから!ユーヤが連絡しなくても大丈夫だから!」

珍しく吐かれるユーキのタメ口を静かに聞くユーヤ。

「だから・・・ッ・・・!」

「ユーキ。」

奪い返そうとした手は目的を放棄し、

「・・・驚かせちゃって、ごめんね。」

怯えさせたユーキをポンポンと頭を撫でて宥めた。



引いていく手

「そう、だね。ユーキの言うとおり、二人一緒にいたのなら大丈夫、だよな。」

そしてユーキの手を引き、自分がここに来た道で一緒に戻っていく。

「二人でいこっか。花火見に。射的のおっちゃんがついでに穴場スポット教えてくれたんだ。」

「・・・ユーヤ?」

「ごめんね、ユーキ。ショックがないように色々と仄めかしていたんだけど、ちゃんと伝えることが出来なくて、気付かせることが出来なくて。黙ったままでいて。」

掴まれた手は強くなかったけど、振りほどけなかったユーキ。
引かれるまま彼についていく。

「早かれ遅かれ、いずれはユーキも気づくって分かってたことだったのに。」

「ユーヤは知ってたんですね、二人のこと。」

「・・・うん。オレはユーキより一年先、サンフラワーにいたから。ユーキが知らないことも知ってるよ。」

後ろは絶対に振り向かないように。



それぞれの思い

射的のおっちゃんが言う穴場スポットとは、いったい何のことだったのだろう?
オススメを商売台詞しすぎたせいなのか。
ユーキとユーヤが向かった先には人が大勢いて、二人はその一部になりかけていた。

「ユーキ。その、大丈夫?二人のこといきなり改めて知って。」

「もちろんビックリしましたけど、あの二人だったからでしょうか。引く気持ちが全然なくて、そんな自分にも少しビックリしてます。」

「・・・そっか。」

夜空に咲いた大きな花を見上げながら。

「でも、なんだか少し寂しいような、切ないような・・・。複雑、です。」

「分かるよ、その気持ち。オレは時々、すごくムカつくから。」



夏が終わる花火

「オレもすごくビックリしたよ。オレが越した当初、そんな仲じゃなかったから。気づいたとき、しばらく二人と話したくなくてユーキが越したあの日。やっと話すことが出来たって感じだから。」

ひゅ〜・・・と音を立てて空へ上がっていく音。

「・・・『ヒナ落とし』。オレも挑戦したことあったから。」

バーンッ!と大きく咲いた音。

「やっぱ駄目だね、オレ。」

そして散って静かになっていく音。

「過ぎたことを、いつまでも『だった』で終わらせられないオレは、あの頃から全然ちっとも成長してなかったんだね。」

夏の最後を飾る花火は、よりこの心を憂い染めるのでした。



「サンフラワーへようこそ!」の第七話を
お読みいただきましてありがとうございます!

夏の終わりは、切ないね・・・


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