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サンフラワーへようこそ

同じアパートに住む大学生たちのお話
完結][大学生][季節柄][コメディ]



EP.7 夏のハプニング祭り(1/3)
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夏なのでお祭り回もやってみた

「今週末でしたっけ?お祭り。」

お盆を過ぎた8月後半。
この地域で行われる夏祭りの話を、ユーキは商店街の掲示板に貼られていた広告を見て知ったようで、明るい口調でズバッと発する。

「もうそんな時期か。せっかくだからヒナたちも誘って一緒に行く?」

「はい!都合悪くなければ、ぜひぜひ一緒に行きたいです!」

「OKOK。ならオレから声掛けておくからさ。」

ユーキの部屋で一緒にいたユーヤ。

「現実逃避してないで、この課題。頑張って終わらせようか。」

「う。・・・も、もうちょっとだけ逃避させてて下さい。」

「ダメ。ただでさえユーキ、夏の課題遅れ気味なんだから逃げちゃダメだって。絶対に逃がさないよ。」

その話題に乗っかりながら、手伝っていたユーキの夏の課題をしっかりと終わらせてから年上二人にも声を掛けた。



一人以外、継続日焼け肌

そうして訪れた週末の夕暮れ時。
夏祭りへ向かうことになった四人。

「レイ先輩、あれからまた焼けましたね。」

「レイの真っ黒くろすけ〜。」

「ユーヤは煩い。そういう二人も焼けたな。」

ヒナが準備を手こずらせているようで集まりに遅れているので、彼の部屋の前で三人大集合。

「そういえばレイ。今日、バイトは?」

「今日は夜勤だから遅くても俺は8時に帰る。二人は気にしなくていいから気が済むまで遊んでな。」

「うん。最初からその予定だから、言われなくても心配ないない。」



煽り煽られる心境

「心配しなくても、ユーキとヒナの三人で気が済むまで遊ぶから大丈夫。」

レイの本日の予定を知り、ユーヤはいきなり何を企んだのか。
わざわざ彼の癇に触れて挑発。

「・・・好きにしろ。」

「あれ?いいんだ。そんなこと言うと本気で好きにしちゃうよ。」

「・・・・・・。」

ユーヤはレイを煽って、レイはユーヤに煽られて。
なんだろう?この雰囲気。
一触即発な空気を感じ取ったユーキ。

「ダメですダメ!喧嘩はダメですよ!」

「あはははッ。冗談だよ冗談。レイが冗談を本気にしすぎてるだ〜け。喧嘩の『け』の字もないから安心してユーキ。」

「・・・っ、この野郎。」

これから楽しくなるはずのお祭りが、なぜいきなりこんなことになるんだろう?



浴衣一人に私服三人

そんな気まずい中、ガチャッと開いた101号室の扉。
中から住人のヒナがご登場。

「お待たせ。遅くなっちゃってごめんね。」

「わぁ!ヒナ先輩、浴衣なんですね。すごく素敵ですごく似合ってますよ!」

「ありがとう。去年買ったやつなんだけど、せっかくのお祭りだから着てみたんだ。こういうときしか着る機会ないし、クリーニング間に合ってよかった。」

レトロなモダンチック柄の浴衣姿な彼。
信玄袋に扇子や下駄など。しっかりと一式整えおり、いつもより増したお洒落さん。

「そしてありがとうございました。ヒナ先輩来なかったら、なんか危なくなりそうでな感じがしてて・・・。」

「え?何かあったの?」

「なんでもないよヒナ。それより浴衣ちゃんと着付けた?はだけないように気を付けてね。」

「それどんな注意?ちゃんと着付けえてるから大丈夫だよユーヤ。」

そんな彼のおかげで淀んでいた空気が澄んでいく。
こうして揃った四人は夏祭りの会場へと向かう。



お祭りマジック

ボンボンピーヒャラ聞こえる祭囃子。
タコ焼きに焼きそばに焼きイカ。かき氷にリンゴ飴にわたあめ。じゃがバターにポテトフライに唐揚げ。
金魚すくいにヨーヨー釣りに輪投げ。射的に型抜き胡散臭そうな籤引き屋。
夏祭りが行われてる会場は子供から大人まで、大勢の人盛りが出来上がっており大変賑やかになっていた。

「わたあめ、ふわふわで大好きです♪」

「鼻にくっつけるほど?」

「え!?ついてます!?」

「取ってあげるから、ジッとしてて。」

ユーキはユーヤの言動に慣れすぎたせいか、一緒になって大はしゃぎ。
一つのわたあめを男二人で食べて食べさせて食べ合いっこ。

「レイも何か食べる?」

「・・・いらん。」

いつもは厳しくしてる財布の紐も、ついつい緩めてしまう。



作者は0〜1が限界でした

「一年ぶりだから、どれぐらい釣れるかな〜?」

ヨーヨー釣りで遊ぶことにしたユーヤ。
ひょいひょいひょいひょいと次々にヨーヨーの水風船を釣り、8個目突入でゲームセット。

「ユーヤすごい取れましたね。」

「でも、やっぱちょい鈍ったよ?去年取れたの12だったからさ。」

「12!?それは取りすぎですよ!出店の人、涙目ですよ!?」

色とりどりの水風船がユーヤの手に。

「ユーキにもヒナにもあげるね。」

「わぁっ。ありがとうございますユーヤ。」

「ありがとうユーヤ。」

「レイにも・・・「いらん。」

そして戦利品を皆で分け合ったのでした。



二人と二人へ

「よし!次は射的行ってみよう!」

「ボクも射的やってみたいです。」

「お?だったら一緒にやる?二人一緒なら大当たり撃ち落せるかもよ。」

お祭りではしゃぐ二人は、どんどん人混みを掻き分けて奥へ奥へと進んでいく。

「ちょっと待って二人とも!二人とも待って!ストップ!」

止めるヒナの声が、もう先に行った二人には届いていなかった。
あまり距離を離されると、逸れてしまう。
それはこれだけ人盛りがあれば分かることなのに。

「ん!?あ、ヤバイ!」

「どうしたヒナ?」

「鼻緒、取れちゃった・・・。」

「げ。」

下駄の鼻緒が取れて動けなくなったヒナ。
レイと一緒にその場に立ち止り、二人からどんどん距離を離されてしまう。



二人と一人と一人へ

ユーヤの後を追っていたユーキ。

「あ、あれ?」

ふと後ろを振り向き、ヒナとレイの姿がいなくなっていたことに気が付く。

「ヒナ先輩?レイ先輩?あれ、どうしたんだろう?」

こういう所で逸れると、どうしてこんなにも不安が心を煽るのだろう。
あの二人だから大丈夫という思いもあるが、今日は自分の誘いで始まった集まりだから気になって仕方がない。

「ユーヤどうしましょう。ヒナ先輩とレイ先輩、来てないみたいでー・・・。」

だから戻ろうとして、また振り向いたのだが、

「あ、あれ?ユーヤ!?」

ついさっきまで追っていたユーヤの姿さえ、忽然と消えてしまっていたのだった。

(ひぃぃぃッ!?ユーヤまでいなくなっちゃったーーー!?)



一緒にいた二人

二人で一緒にいたヒナとレイ。

「ん、出来た。ハンカチでも何とかなるもんなんだな。」

人通りの多い通路から外れ、取れた鼻緒を緊急補修。
レイは持ってた自分のハンカチを犠牲にして器用に直す。

「緩かったり、キツかったりしてないか?」

「平気。ありがとうレイ。必ずハンカチ弁償するから。」

「いや、いい。」

「・・・・・・。」

これでもう一先ずは大丈夫。
下駄が直り、再び歩けるようになったヒナ。

「・・・レイ。」

カタッと足音を鳴らして、レイに近づき自ら距離を寄せてー・・・。

「ーーーッ!」



機嫌がナナメな彼へ




人の目がなかった隙を見て、レイの唇を一瞬だけ奪った。






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