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サンフラワーへようこそ

同じアパートに住む大学生たちのお話
完結][大学生][季節柄][コメディ]



EP.5 夜空の七夕(2/3)
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先に向かったユーヤとヒナ

「おーっ!食べ物もいっぱい種類ある!ヒナ何か食べていい?」

「いいけど僕が奢るのは部屋代とドリンクバーまでだからね。それ以外は自分の財布から払ってね。」

「えーッ!」

「『えー』じゃないの。」

ユーキがレイのクリームソーダに夢中になっている間、先に部屋へ向かっていたユーヤとヒナ。

「ほら。先に歌っていいから。」

「ヒナ、採点やろ採点。どっち高いか競おう?」

「いいけど。僕、そこまで上手くないよ?」

ユーヤは日ごろから学校の友達と、よくカラオケに訪れているようで。
デンモクの操作もなんのその。手慣れた手使いでピコピコと設定していく。



保護者一名追加

「ほら。ここが9号室だ。」

「ありがとうございますレイ先輩。案内までしていただいて。」

「ん。」

レイに連れられて、ユーキはようやくユーヤとヒナがいる個室に到着。
ノックを三回。コンコンコンと鳴らしてから、レイはその部屋の扉を開ける。

「遅かったねユーキ。先にユーヤ歌わせちゃってたけど、よかったかな?」

「はい。全然よかったですよ。お待たせしました。」

そしてユーキを引き取ったヒナ。

「それじゃあ後はここで大人しくさせてろよ。」

「うん。突然お邪魔しちゃってごめんね。レイもお仕事、頑張ってね。」

「・・・ん。ヒナも二人の面倒ばっか見てないで、ちゃんと楽しんでけよ。」

それを歌いながら見ていたユーヤが、マイクを持ったままで、

「なんかパパとママみたい。」

「「!?」」

なーんて裏表のないことを口にしたものだから、保護者二人の顔を真っ赤に染めさせたのでした。



作者も採点ゲームは辛い

「ほ、ほら。余計なこと言ってないで、ちゃんと歌ってないと点数下がるよ。」

『特にユーヤは部屋から出るな!』と、最後に強く言い聞かせたレイは、この場から逃げるようにバイト業務へと戻っていく。

「おっといけない!ヒナに勝ってアイス奢ってもらうんだった!」

「コラ、ユーヤ!いつそんな賭けした!?」

そして設定した精密すぎる採点ゲームにユーキも強制参加。
でも競っているのはユーヤとヒナの二人のみ。

「ユーヤ。ソフトクリームならドリンクバーのところにありましたよ。」

「マジで!?ユーキ、食べさせて食べさせて。」

「いいですよ。はい、あーん。」

「あーん。」

ユーキに競わせなかった理由は・・・、察してあげて下さいませ。



バイト中のレイ

慣れない身内の接客対応は、やはり疲れたのか。
小さな溜め息を吐いたレイ。

「はぁ・・・。」

そして掃除道具のロッカーから箒とチリトリを取り出す。
今は客の姿があまりないので、空いた手を清掃に回した。
その時、

「・・・・・・。」

っというよりも。ユーキとユーヤが離れた辺りから、ずっとずっと気になっていた二人の願い事。
レイは清掃を理由にキッズスペースに飾ってる笹に近づき、チラ見を超えたじっくり見レベルで、二人の短冊をカンニング。



二人の願い事

笹に飾られた複数の短冊。
ほぼ幼い子供が利用しているので、大きな子供の字はとてもとても見つけやすかった。

(あったあった。)

まずはユーヤのを発見。

『オレを幸せにして下さい』

(プロポーズ!?)

アバウトすぎるというか、単刀直入すぎるというか。なんともまぁ裏表がない正直な短冊。
ユーヤらしいといえば、ユーヤらしい願い事だ。

(ユーキは、これか?)

そして次はユーキのを発見。

『大人っぽく見えますように大人っぽく見えますように大人っぽく見えますように大人っぽく見えますように大人っぽく見えますように(以下、同文エンドレス)』

「!?!?」

紙にいっぱいいっぱい書かれた短冊。
あまりのギッシリ具合に、レイも思わず引くほど言葉になってない驚いた声を上げる。

(気にしてたんだな、アイツ・・・。)

怨念に近いがユーキらしいといえば、ユーキらしい願い事だった。



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