しかし、その後。 俺は愛される幸せの裏を、先に知ることとなった。
「錦くんっ!」
「ん?」
翌日の放課後。 今日も自習室で勉強しようと向かおうとしたとき、とある女子生徒に呼び止められたのだ。
「あ・・・、確か大瀬くんの。」
その女子生徒とは、大瀬の彼女。
「えっと、いつかの日曜日は誘ってくれてどうも。あの日、急に帰っちゃってごめんね。」
「ううん、いいの。あの日、錦くんが来てくれただけで、とても嬉しかったから。」
他の女子生徒と変わらず、いつもの社交辞令で接する俺。 それでも彼女は頬を赤らめさせる。
「錦くん、具合はどう?そのあと邦臣くんから倒れたって聞いて・・・私。」
「あ、うん。もう大丈夫だよ。心配かけちゃってごめんね、ありがとう。」
彼女なら分かるだろうか。 ここのところ大瀬の調子がおかしい理由。 及川に訊いても、本人に訊いても『放っとけ』の一点張りで、俺は何も分からないまま。
「えっと・・・、大瀬くんは大丈夫?最近、あまり元気ないから気になって。」
「・・・・・・。」
すると彼女は、それに心当たりがあるようで。 俺は直接、彼女の口から教わってしまう。
「・・・ごめんなさい。錦くんにも邦臣くんのこと心配かけて。でもそれ、私が原因・・・で。」
「え?」
「別れたの、私たち。他に好きな人が出来たからって・・・、私が邦臣くんに。」
「別れたって、え!?」
「錦くんこと好きだから。邦臣くんとは、これ以上お付き合い出来ないって。」
愛される幸せに隠れた、その裏をー・・・。
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