≪ top ≪ main

仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.8「こ・れ。錦くんと神崎先生、だよね?」(2/5)
]  [目次へ]  [



そしてあっという間に日は進んでいく。
そんなある日の朝だった。

「!」

いつものようにバスに乗っていると、後ろから自分の下半身に、妙な違和感を覚えた。
今日も車内は通勤通学で、ほぼ満員。
自分の背後に立つその誰かは、それを逆手にとっているつもりなのか。
最初は不意に触れただけだと思ってた手が、今は完全に故意で触ってきている。

(どこのバカだ。こんな朝っぱらから。)

とても気持ち悪いし、とても不快。
でもこんなことで騒ぎ立てて遅刻なんてしたくない。
その思いで平常心を続け、早く目的地に着くことを祈るしかなかった。
しかしこんな時に限って赤信号によく捕まるバス。
背後にいる奴は俺が大人しくしてることをいいことに。
それだけじゃ物足りないのか。
行為をエスカレートさせて、触れる手が股の下まで忍ばせてきた。

「・・・っ!」

その途端、

「大丈夫?キミ。具合悪い?」

(・・・え?)

「すみませーん!この人、酔ったみたいなので次で降ろさせてくださーい!」

ドンっと俺と背後にいる人の間に、強引に割って入ってきた1人の男。

「・・・もう大丈夫だからね、錦くん。」

そしてその男は今までのことを見ていたのだろうか。
そうボソッと呟き、ビーッと停止ボタンを押して次の駅でバスを停めさせられ、いつもより2駅ほど早く降ろされる。

「ふう・・・。間一髪、間一髪。偶然、同じバスに乗れててホントよかったー。」

降りてから分かったことだけど、その男は自分と同じ制服を着ていた。
でも、

「助けていただいて、ありがとうございました。・・・えっと、どちら様で?なんで俺の名まで?」

その男が誰なのか分からない。
同じ制服ということは、同じ学校の生徒。
そこまでは格好だけで、なんとなく把握。

「ウチの学校で錦くんを。学園長のお孫さんを知らない人なんて、そうはいないでしょ。むしろ学園長のお孫さんなら、ボクのこと知っててほしかったんだけどー。」

するとその男は「仕方ないなー」と続けて口にして、改めて自分の名を名乗った。

「ボクの名は、福原 蒼士(ふくはら そうし)。いちお生徒会の会長を勤めさせていただいてまーす。」

「生徒会の・・・、福原・・・、蒼士・・・。」

「どう?ボクのこと思い出せた?」

「いえ。全くもって・・・。」

「ガーン!こっちは錦くんが入学してきた頃から錦くんのこと知ってたのにー。不公平、不公平!」

彼の名は、福原 蒼士。
本人も申した通り、生徒会長をお勤めな男子生徒。
しかし生徒会に興味ない俺は、自分の記憶を探ってみても、なんとなくそんな人いたなってぐらいの認識しかなく、名乗られても顔見知り以下の他人でしかなかった。

「それより福原さん、急ぎましょ?早く行かないと遅刻してしまいます。」

むしろ今はそんなことに構ってる暇じゃない。
いつもより2駅分、学校から遠い場所で降ろされたんだ。
あんなことが原因で、遅刻だけはしたくない。
だから急かせたのだが、

「待って錦くん。」

「なんですか?」

「なんですか?は、なくない?せっかく痴漢から助けてあげたのに、礼の一つもないなんて。」

「は?」

さっきのことで何を根に持ったいるのか。
それとも人の話を聞いていなかったのか。
福原は俺の腕を掴み、急ぐ足を止めさせる。

(どんだけありがとう言われたいんだ、コイツは。もう礼なら言っただろ。)

そしてー・・・、

「だからありがとうございましたって、さっきー・・・!?」

その一瞬、何が起きたのか。
理解するのに数秒かかった。
掴まれた腕をグイッと強引に引かれ、気づいた時にはコイツと。こんな奴と俺はキスをしていたのだ。

「んんっ!」

いきなりで。
突然で。
訳が分からない展開。
奪われた唇は隙を狙われて、奴の舌をぬるっと中まで侵入を許してしまう。

「・・・っ・・・ん。」

ぶつかったきた舌から、逃げても逃げても直ぐに絡まれる俺の舌。
なんでこんな奴と、こんなキスをしてんだ。
訳が分からなくてもようやく理解が追いついて、剥がそうと身体を押しても退かない福原。
だから俺は目には目を。歯には歯を。口には口を。
いつまでも好き勝手やられてたまるかと言わんばかりに、奴の唇を思いっきり噛んで撃退してやった。

「痛っつー・・・、何も噛むことないでしょ!あぁぁ、血ィまで出てきた。これ絶対あとで口内炎出来るヤツだ。」

「知るか!」

しかし福原は、それですらあまり動じてないのか。
離れた後、口から溢れた血を指で拭いながらも、俺に噛まれたことを少し嬉しそうにしていた。

「でもこれでボクがどんな奴が。その身を持って、賢い錦くんならご理解出来たでしょ?」

(いったい、なんなんだコイツ・・・。)

そんな奴の行為により、第二印象は第一印象よりも駄々下がり。
関わらない方がいいと、本能的に危険信号が俺に灯される。

「・・・俺、急ぎますので。」

「あらららら?フラれちゃったかな、ボク。また学校でね錦くん。」

だからもう俺は奴に構うことなく、置き去りにしてまで1人先、学校に急いだ。
福原にバイバイと手を振られ、にっこり笑顔で見送られながら。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む


BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -