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青ノ葉 恋文乱

一通の手紙から始まった4月最初の出来事
完結][青ノ葉外伝][恋愛]


EP.4 4月1日のラブレター(3/5)
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まさか陸哉が、そんなことを想っていただんて微塵も思わなかった。
いつだってケラケラ笑って人をからかう奴が、こんなときに限って俺の目を見て、マジな顔をして言うから本気だって直ぐに分かった。

「だからなんだ。」

でもな、いくら相手が陸哉でも譲れないモノが俺にだってある。

「陸哉の賭けなんて俺には関係ない。そんな理由で空を奪われてたまるか!!」

「・・・・・・。」

だから、そう強く言い放った。
まだ誰にも伝えてない俺の気持ちと一緒に。
すると陸哉は、

「・・・そっちじゃないんだけど、このバカ。」

「は?今、何て言った?」

「鳴はつくづくバカだって言ったんだ。」

「こんなときにもバカって言うなよ。」

「バカだからバカだって言って何が悪い。むしろバカだと言ってくれることに感謝して、有りがたく思えよバーカ。」

「ひとセリフで何回もバカバカ言うなって。」

はぁーっと失礼承知な長い溜め息を吐く。
さっきまでマジだった奴がやれやれと呆れて、いつもの調子にすっかり元通り。
けど何かをそこで吹っ切ったようだ。

「・・・まぁ、最初から分かってたからハメたんだけどな。」

「何が?」

「教えてやるよ。バカな鳴はまだ気付いてないだろうから。」

そして陸哉が知っていて、俺が気付いてないことを教えてくれた。
最初の手紙の本当の意味を。

「オレらは前の日。野球部と陸上部の練習が終わった夜、鳴の下駄箱に置いたんだ。」

「エイプリルフールに俺を騙す為にだろ。」

「そうそう♪鳴を確かめるのにタイミングがちょうど良かったから。」

「何がちょうどいいだ、この野郎。」

「怒んなって鳴。そこが重要なんだから。」

俺が手紙に気付いたのは4月最初の1日の朝。
けど陸哉は目撃者が証言したとおり、空とはその前日にやったと供述。

「もう1回言ってやる。お前が気付いたのは4月1日の朝、けどオレらがやったのは3月31日の夜。」

「・・・それって?」

「つまり手紙の中身には、始めから嘘なんてないってこと。それでも騙したことには変わりないし、今さら言ったって言い訳にしかなんないけど空の為に、それは言わせてくれ。」

「!!」

最初の手紙も気付いたのは4月1日の朝。出されたのは3月31日の夜。
書かれたその内容に嘘なんてこれっぽっちもない。
エイプリルフールを利用して嘘と見せ掛けた本当のお話だと、教えてくれた。
っということは・・・。

「・・・2通目は?」

「2通目?」

「また2人でやったことじゃないのか?」

「知らね。あのあとオレはずっと先輩と打ち込んでたし。まあ謝った方がいいとは空に言われたけど。」

「・・・・・・・。」

しっかり騙された俺は、すっかり2人に裏切られた気分になっていた。
けど1通目も2通目も空が書いた文にはエイプリルフールじゃない。嘘なんてなかったということ。
始めから正真正銘のラブレターだったのだ。そこに陸哉の悪戯が加わったから乱れてしまったけれど。

「鳴があまりにも空を頼っていたから、空も本当のことを明かせれずにいたんだ。手紙の件も、お前への気持ちも。」

「え。」

「行ってやれ。・・・行けよ、空のところに。ちゃんと行って鳴は鳴で、鳴の気持ちを空に伝えてこい。」

そんな差出人に俺が出来ることは、ただひとつ。
手紙の返事をきちんと返すこと。
それが出された側の礼儀だ。
だから俺は学習時間終了間際に、手紙とか古典的な方法ではなく。今時の子らしくメッセージを送って一方的に空と待ち合わす。

『明日の朝、渡り廊下のとこに来い。待ってるから来てください。』

・・・と。
返事がこなかったけど既読はついていたから読んでるはず。
だから来てくれると信じて。
空なら来ると信じて。
翌日。俺は送った通り、差出人が待ち合わせた場所と同じ場所。朝から渡り廊下の所で、空が来るのを待った。
そして全てのことに決着を。
終止符をそこでつけさせよう・・・ー。



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