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青ノ葉 恋文乱

一通の手紙から始まった4月最初の出来事
完結][青ノ葉外伝][恋愛]


EP.4 4月1日のラブレター(4/5)
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「・・・鳴。」

俺が待ってからそこまで時間が経ってないうちに、向こうから空がやってきた。
返信はなかったままだけど、信じてたとおりに来てくれた。

「来てくれたんだな。」

「うん・・・。僕も鳴に直接、言いたいことあったから。」

でもそれは俺のためではない。
空はあれから自分で考えていたことを伝えてくる。

「俺に言いたいこと?」

「・・・暫くの間、僕ともう話さないで。」

「は?」

俺は近くにいるのに。
またそんな遠い目をして。
自分が言いたかったことを、そのまま俺に言う。

「ちゃんと友だちに戻るから。ちゃんと・・・、ちゃんと鳴のこと応援出来るようになりたいから。だから暫くの間、僕と話さないで。僕も鳴に近づかないって約束、するから。」

今まで築いてきた俺との関係を壊したくせに。
都合よくも戻そうと。戻させようとしてくる。
けど、そんな空の都合なんてお断り。

「待てよ空。俺が呼び出したんだから、俺に言わせろよ。」

ここで距離置かれたら、俺はもう2度と手紙の返事が言えなくなる。
呼び出したのは空じゃなくて、俺なんだから。
俺にも言いたいことを言わせてほしい。
けれど空は、

「・・・もういいよ。それはもう知ってる、から。」

「いいから聞けよ。」

俺の答えに怯えていた。

「もういいってば。」

「いいから聞けって。逃げんな。俺、差出人に返事ちゃんとしたい言ってただろうが。ちゃんと言わせてくれ。」

そうだよな。
1通目のとき、好きな人いるから断るって、知らない間に差出人をフってたんだもんな。
2度も同じ答えなんて聞きたくないよな。
でも俺は言う。
呼吸を深く吸って吐いて自分を落ち着かせて、きっとこう答えるのがベストだと思って。
1通目の返事も、2通目の返事も。
ちゃんと差出人に返事がしたかったから、怯える空に言ってやった。
やっと俺は差出人に返事が出来た。
頭を下げて、俺の答えを。

「ー・・・こちらこそ、よろしくお願いします。」

俺の想いごと伝える。

「え?」

「『え?』じゃねえだろ、そこ。」

「だって、鳴。だって・・・っ。」

当然だけど言ってた答えと違う答えに、やっぱり空は驚いていた。
『だって』と繰り返して、信じられない。信じてない様子。

「鳴・・・、好きな人いるって。」

「だからそれが空。俺が好き、俺の好きな人は空だから。」

「・・・だって。」

「仕方ないだろ。最初は誰か分かってなかったし、空じゃないって思ってたし。けど差出人が空だって分かれば俺だってー・・・。」

「・・・・・・・・・っ。」

「空?」

けど伝わってくれたのだろうか。
ぽろっと流れた涙を拭ってたけど、止まらなくて次々に溢れさせていく。

「これは違・・・っ・・・。」

俺は結局、空を泣かせた。
でもその姿が見るに耐えれないほど愛しくて。愛しすぎて・・・。

「ごめん。ごめんなさい、鳴。ごめんなさい。・・・ごめんなさい。」

抱き締めたくなったから、この腕の中で空を抱き締める。
この告白が。
この想いが。
嘘じゃないことを、より思い知らせる為に。
『だって』の次は『ごめんなさい』を繰り返し始めていたから、発言の元を。俺の口で塞いでやった。

「ん・・・。」

温かくて。
柔らかくて。
ちょっと涙の味がして。
知らなかった空の一部を初めて知って、もっと味わいたくて。
一度目は軽く離して、直ぐに二度目を。今度は気が済むまで奪う。
その時間は長くて短くて、愛しいという言葉を本当の意味で知った瞬間。

「・・・もういいから。謝んなくていいから、さ。それよりももっと大事なこと、答えてくれ。」

それでも空の気持ちが、もう1回知りたいから。
離した空の口から、迫った関係の答えを聞いた。

「空は俺と付き合ってくれますか?」

「・・・はい。」



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