(・・・・・え!?)
その間も驚きっぱなしで、ただ立ち尽くしていた俺。 怒っていたはずの感情も、混乱に導かれてそのまま消沈。 ただただ告白してきた差出人、空に驚いていた。 1度目は悪戯。 2度目は本気だったというのか。 こんな嘘つき狼みたいな展開、何をどこまで信じていいのか分からない。 けど空は謝ってた。
『・・・ごめんなさい。』
と、最後に置き土産を残していった。 でもそれは何に対して謝っていたんだ? 陸哉と一緒になって俺を弄んだこと? 1度ならず2度までも同じ手を使ったこと? それとも・・・。 空がどれに対して言っていたのか分からない。 けどどれに対しても今まで築いていた俺との関係を、ぶち壊したことに代わりなかった。
「空のバカ野郎・・・。」
それから夕暮れだった時刻は夜となり、自由時間も過ぎて学習時間を迎えていた。 その時間は皆と同じように俺も自分の部屋にいて、勉強机で春休みの課題を進める。 けど真後ろにはもう1人の差出人、陸哉もいて、ずっしりと空気が重いまま。 寮長の点呼が終わったタイミングを見計らって、今回の騒動の真相を。
「なあ?何であんなこと、空としたんだ?」
「いきなりなんだよ。オレらと暫く口ききたくないんじゃなかったっけ?」
「いいから答えろよ。どうせ発端は陸哉だろ?」
全貌を改めて明らかにさせようとした。
「ご名答。4月バカなくせに、そこは気付くんだ。」
「あんな最低なこと、空がやりたいなんて言い出すはずないから。」
「相変わらず随分と空を信頼してんのな。」
「中学からの付き合い、だから。」
空からの告白はともかく、今は全てが知りたいから。 だから全部を知るこの男と向き合って、向き合わせて求めた答えを述べさせる。
「まあ正しく言えば、オレが空を煽ったんだけどね。」
「な!?」
「悩んでいたのが丸分かりだったのに、いつまでもどっち付かずにいたからムカついて。」
けど語られた内容が、知らなかったことばかりで俺は驚くしかなかった。
「だから空と賭けてやったの。」
「賭け!?」
「そ♪鳴が自分で気付いたら空の勝ち、気づかなかったらオレの勝ちってね。」
全ては陸哉による企みから。 それにまんまとハマったのは俺だけではなく、空もハメられていたのだ。
「陸哉のことだから、どうせ俺をからかうのが目的だったんだろ?けど空まで何で!?」
「・・・じゃないと、オレがいつまでも口説けないだろ。」
「は?」
「さっさと空をふれよ鳴。」
その動機は、あまりにも勝手。
「賭けはオレが勝ったんだ。オレはもう空に遠慮しない。」
「な・・・っ!?」
自分の都合に俺らを合わせた理由と共に、陸哉の気持ちを知る。
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