≪ top ≪ main


青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#31 猪突猛進な火属性編入生(1/4)
]  [目次へ]  [

一年A組に訪れた編入生

いつもの時間に予鈴が鳴った朝。

「おはようございます。」

「はい、おはよう。」

今日は編入生がくるおかげで、一年A組の空気は何だかソワソワしていた。
そしてクラス委員の圭が号令かけると、担任の藤堂先生がいつものようにホームルームを始める。

「それでは昨日伝えていたとおり、今日は編入生を紹介します。澤村くん中にどうぞ。」

すると指示どおりに、ガラッと自ら教室のドアを開けて、ズカズカと入ってきた編入生。
そのまま教卓の前まで来て何も語らず、左から右、右から左へと。ギロギロとした目で教室を見渡す。

「それでは澤村くん、自己紹介お願いします。」

「ーーー・・・っ。」

「澤村くん?」

その時、だった。

「峰岸比路、どこだーーー!!!」

っと。やってきた編入生は自分の名を言う前に、比路の名前を大きい声で呼び響かせ、騒ぎを大きくさせたのでした。



澤村 恭

新緑のこんな時期に一年A組にやってきた彼。

「オレの名前は澤村 恭(さわむら きょう)。」

編入生の名前は澤村 恭(さわむら きょう)。
身長は176cm。彼も体を鍛えているようで、そこそこムキムキした筋肉をお持ちの体質。

「訳あって峰岸比路を追って知った情報を頼りに、この学校に編入した。奴の居場所を知ってる奴いたら今すぐこの場で教えろ。」

ぶっきらぼうな口調で自分の名前を早々に語り終えると、また比路の話にもっていく。
自分のことよりも、彼のことが気になって気になって仕方がない模様?そのせいで思いっきり周りは引いていた。

「峰岸比路、どこだーーー!!!」

ちなみに恭は猪突猛進タイプのおバカ。真っ直ぐ前にしか突き進めない火属性なおバカ。
己の目的の為なら、どこまでもどストレートに突っ走ります。



峰岸比路はどこ

そんなこんなで恭がちゃんと自己紹介しないまま、時間を迎えてしまったので、ホームルームが強制終了。
藤堂先生も自分が担当する授業がある為、教室から出て行ってしまう。

「お前は峰岸比路を知ってるか?」

「ヒッ!」

「お前は峰岸比路を知ってるか?」

「し、知らねーよ!」

すると恭はさっそく自分の周りにいる生徒の胸ぐらを強引に掴み、比路の情報を聞き出すことから始める。
けどそのやり方に問題ありまくり。
恐らく中には知ってる奴いたかもしれないが、彼の勢いに押されて負けてしまう。

「っかしーな。何で誰も知らねーんだ?聞いた情報が誤ってたのか。いや、でもそんなまさか・・・。」

その時、

「ねえ転入生。『ひろピー』に何か用?」

そんな彼に自ら話しかけて歩み寄る稚空。
とりあえずどうして比路を探しているのか。もっと情報を揃えたい。

「なんだ?お前。お前は峰岸比路を知っているのか?」

「知ってるも何も同じ中学出身だからね。」



稚空と恭

「あー・・・、よかった。知ってる奴いて。日暮っていう寮長に訊いても先公に訊いても、みんなしてはぐらかしてくるから参ってたんだ。」

比路に関する情報をやっと手に入れた恭。
ホッと安堵の息を吐き、心底ホッとした。

「師匠の情報が誤ってなくてよかった。あんた、名前は?」

「鈴木 稚空。同じA組のクラスメイトとしてよろしく。」

「初めて聞く名だな。」

「当たり前でしょ、初対面なんだから。」

「で?峰岸比路は何処だ?」

が、

「ちょっとちょっと、オレの質問を二回も質問で返さないでくれない?『キョン』くん。」

「な・・・ッ!?」

さっそく稚空のお得意なあだ名付けの餌食になってしまう。

「なな、なんだ!?その力が抜ける呼び名は!?」

「澤村 恭だから『キョン』。何にも間違ってないでしょ?キョンくん。」

「うがーーーッ!キョンって呼ぶのやめろーーー!!」



稚空と恭 2

「それで?ひろピ・・・っと。その峰岸比路に何の用があるのさ。」

「よく訊いてくれた鈴木稚空。実はこれには深い訳があるんだ。」

これで少し和んだところで(?)、話を本題へ。
恭は何故、比路を探しているのだろう。

「時を遡れば約46億年前。それは地球と共にこの因縁も生まれた瞬間だった。」

「あの。真面目に言う気ないなら、こっちも答える気ないけどいい?」

「何言ってんだ?オレはいつだってマジだ。そっちから訊いたんだから最後まで黙って聞けよ。途中で水差してくんな。」

「・・・マジで?嘘でしょ!?」

自信満々に堂々と。それを交換条件として稚空に最後まで語り尽くそうとした。
すると、

「B組の委員長。」

「ん?」

「峰岸比路はB組のクラス委員。隣のクラスの奴。」

そんな二人の話を聞いていたのか。
今、稚空と恭の近くにいた瑛が比路のことを暴露してしまう。



稚空と瑛と恭

またB組の委員長が騒動の中心にいる。
瑛は恭の騒がしさをそっちに結び付けたのか。不機嫌な表情でため息まじりに、その情報を教えた。

「その情報は確かか!?えっとー、あんたは?」

「古河 瑛。」

「初めて聞く名だな。」

「当たり前だろ、初対面なんだから。何言ってんだ?」

「とにかく有力な情報ありがとう。恩をきる。」

その情報を頼りに、さっそく恭は「待ってろ!峰岸比路ー!!」と騒ぎながら隣の教室へと向かう。
あともう少し?の所で彼の訳を聞けれたのに、瑛に邪魔にされてしまった稚空。当然、ブーブーと文句を口にする。

「ちょっと『てるリン』。何で邪魔するのさ。」

「だったらもう少し別の場所でやれ。あんなぶっ飛んだバカげた話、黙ったまま聞いてたら頭おかしくなる。あと『てるリン』止めろって前にも言っただろ。」

けど、それはどっちもどっち。
恭が語ろうとしていた話に、近くにいた瑛まで巻き込まれるところだったのだから。



稚空と瑛と恭 2

「一先ず、つかポンにキョンのこと知らせておくか。」

「・・・アイツ出てったけど鈴木、追わなくていいのか?」

「うん?別にいいんじゃない。」

そしてB組に向かった恭はというと、

「だってあっちのクラス、今日一限目から生物の移動教室。今向かったって、もう教室空っぽでしょ。」

「うがーーーッ!峰岸比路どこだーーー!!!」

せっかく得た情報だったのに、隣のB組はものの空っぽ。司や比路どころかB組の生徒が誰一人いなくて、結局見つけられなかったことに悔しく吠えていた。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む




BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×