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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#30 風にそよぐ木々の緑(2/3)
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比路の様子

颯太が気にするほど、比路は何をしていたかというと、

「牛乳もセルフサービスでいいのに。」

と。大嫌いな牛乳を目の前にして悪戦苦闘していたのだ。
そして隣には今日も久野がいて、一緒に朝ごはんを食している。
隣りで苦い顔をしてる彼を見て放っておけなかったのか。

「比路もらおうか?その牛乳。」

「いいの?克也。」

「ああ。いつも漬け物食べてくれるお礼が出来て俺も嬉しいよ。」

比路が嫌うその牛乳を受け取ろうとしていた。

「ありがとう克也。すごく助かるよ。」

「相変わらず牛乳ダメだったんだね。今までパンの日とか、お昼とかどうしてたの?」

「司に処理してもらってた。」

そんな一部始終を見ていた颯太は、ホッと安堵の息を吐く。

「どうした?颯太。」

「ううん。朝からドキドキさせられるとこだったから安心しただけ。流石に森くん以外な人とアレやらなくてよかった。あれ?よかったのかな。でもでもでも・・・。」

「何の話だ?」



比路の様子 2

比路の牛乳が久野の手に渡ろうとした。そのとき、

「はーい。峰ぎっちゃんストープ。」

比路や久野と一緒に朝ごはんを食べていたもう一人の人物。それは二人と同じ柔道部に所属してる部長である三年の小町。
後輩二人のやり取りを真ん前で見ていて、間に入って遮る。

「なってない、なってない。自分の嫌いなモノをかっつぁんが飲んでくれるっていうのに、そんな頼みごとじゃダメだろ。礼儀一つもなってないじゃないか。」

「え。」

「別になくていいです、比路がそんなことする必要ありません。俺だって比路にそんなことしてないですし。」

「ダメダメ。それじゃあダメだって。今のままだと峰っちゃんが社会に出たとき困るだろ。ここは可愛い下級生の後輩に厳しい鞭打つのが上級生、先輩としての優しさだ。どれ、かっつぁんにも手本見せてやりたいから、オレがいっちょ揉んでやろう。」

いきなり何を企み始めたのか。
こうして小町によるご指導が突然のように始まった。

「先に言っとくがオレの実家は呉服屋だ。礼儀作法に関しては甘くしねえから、心してよーっく聞けよ。」

「よ、よろしくお願いします小町部長。」

「っというわけで。峰ぎっちゃん耳かしな。」

「・・・僕、それ苦手なんですけど。」

「いいからかしな。部長命令。」



鬼頭は小町がいるせいで久野と一緒にいません

そういうわけで比路は小町に指導されることに。
その際、近くにいる久野にも聞かれたくなかったのか。
ヒソヒソと耳打ちで指示を伝えようとしたが、

「・・・っ。」

「どうした?まだ何も言ってないだろ。」

「それくすぐったいんです。・・・出来れば息かけてほしくなくて。」

「ほう。峰ぎっちゃん耳弱いんだ〜。」

比路がビクついてしまい一時中断。
「次は気をつけるから」と小町は口にし直ぐに再開。もう一度、実行する。

「ふぅー・・・。」

「ひィッ!?!?!!?」

かと思いきや、耳打ちを裏切って、細い息を吹きかけてきたのだ。

「も・・・っ、やだ!何するんですか。」

「おー、ビクビクなった。峰ぎっちゃん本当に耳弱いんだな。どれ、次はハムってみるか。」

そんな小町による悪ふざけの悪戯が続きそうになったので、見ていた久野が怒って小町の口を手で塞いで中断させたのでした。

「悪ふざけもいい加減にして下さいね?豊先輩。」

「お、ヤキモチか?心配しなくたってオレはいつだって、かっつぁん一筋だ。」



小町のご指導

ヒソヒソヒソ、ヒソヒソヒソ。
我慢して耐えながら耳から伝えられる小町の指導。

「え。それだけでいいんですか?」

「ああ。簡単だろ?」

「でもそれって言い方変えただけじゃ?」

「いいからやってみろって。かっつぁんなら『よろこんで』くれるから。」

それはあっという間に終わったが、何を言われたんだろう。
指導されてる比路に不安を覚える久野は、嫌な予感を走らせる。

「相手の目をしっかり見てお願いするのがコツだ。」

「は・・・、はい。」

そしてその予感は予想通りに的中し、

「克也・・・。」



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