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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#29  4月が終わる頃に・・・(4/4)
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結局、修理費UP

「ん・・・。やべ!寝てた。」

そうしてまた何分の時間が経ったのだろう。
気がつくと比路からの睡魔に日暮寮長もつられて、少しだけ寝ていたようだ。

「お?」

外から聞こえる音がうるさくなっていて、それで目を覚ましたようで、やっと助けが来たことを知る。

「峰岸、起きろー。助けが来たぞー。」

「・・・たすけ?」

ドン!ドンッ!ドンッ!!
外からの音は次第に激しさを増していき、抉じ開けるレベルを超えていく。

「ん!?誰だ?おい、待て!そんなにしたら壊れー・・・!?」

その音に異変を感じて顔を青く染めた寮長は止めようとしたが、向こうには声が聞こえてないようで届かない。
寮長の止める声も虚しく、次の強い一撃でドォンッと保管庫の扉が思いっきり壊れたのだ。

「あーぁー・・・、やっちまったな。」

「何の音?」

寮長が読んでいたとおり、二人を捜していた人物がそこから姿を見せた。



ようやくきた助け

「大丈夫でしたか?蓮さん!」

「ヒロもこっちにいる!?」

壊した扉から姿を見せたのは、司に久野に鬼頭にチロ先生。

「お。克也、寮長そっちにいた?」

「うん、比路もいた。一緒に捜してくれてありがとう冥。助かった。」

「無事でよかったな。」

四人に救出された比路と日暮寮長は、やっとの思いで保管庫から外に出る。
あれだけのことがあったのに閉じ込められてから出られるまでにかかったのは一時間も経ってないと言うんだから、時間の流れは本当に驚き。
何はともあれ無事で良かった。

「ヒロ?大丈夫?」

「・・・つか、さ?」

それで締めたかったのに、比路が眠気のせいであまりにもフラフラしてるから、余計な疑いが日暮寮長に集まる。

「え?ちょっと待て。なんで俺が何を疑われてんだ?」



怒られ寮長

そんな比路を見て何を思ったのか。

「日暮寮長、ダメじゃないですか。峰岸くんを危険な目に遭わせちゃ。」

「いや、だって・・・。」

「だってもクソもないです。峰岸くんの無事を第一に思えば修理費なんてどれだけ増えても構わないはずでしょ?」

「いや・・・。まあ、確かにそうだったな。軽率だったわ。」

チロ先生にグドグドと怒られ説教される日暮寮長。
やっぱり寮長はチロ先生に弱いのか。急に弱々しくなっていく。

「しかも蓮さん。備品の在庫確認は明日、俺とやる話を朝してましたよね?」

「あ?そうだっけ?」

「そうするって一方的に言ってきたのに、忘れないで下さいよ・・・。」

「あああ、ごめんって克也。悪かったって、うっかりしてたわ。」

そして久野にも怒られる始末。
そればかりは忘れていた寮長が悪いので平謝り。
けどそんな二人よりも酷かったのが、フラフラだった比路を抱えていた司だった。



司と寮長

比路をここにいる誰よりも心配していたものだから、寮長の口からも無事を伝えようとした途端、

「大丈夫だって。峰岸には何もー・・・。」

「・・・・・・・・・・・・。」

司方向から、鋭い目で睨まれたのだ。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

それはたったの一瞬。すぐに司から逸らしたから他のみんなには気づかれなかったが、寮長とは確かに目が合っていた。
だからこそもう一度。ちゃんと無事を伝える。

「・・・安心しろ森。峰岸には何も手ぇ出してねえから。」

「そう・・・、ですか。」

念には念を。誠実には誠実を。無実には無実を。



犯人特定出来ました

「っと言うわけで後は頼んだ。」

「え?どこへ行くつもりですか蓮さん?」

「犯人取っ捕まえに行く。峰岸はそんな状態じゃ無理臭いから、そのまま寝かしといてやってくれ。」

この場に居た堪れなくなったのか。
それとも落ちてたオレンジ色の髪の毛を拾って特定出来たのか。
日暮寮長はそう言って一人先に去ってしまう。

「・・・えっと、俺らはどうする?克也。」

「冥は部屋に戻ってていいよ。俺は蓮さんを追う。蓮さんにこんなことするのは犬飼しかいないしな。付き合ってくれてありがとう。」

「また何かあったら言えよ。いつでも付き合うから。」

「森くん。そういうわけですから部屋に戻ったら峰岸くんをそのまま休ませて大丈夫ですからね。森くんも一緒にお休みしちゃっても今日は多目に見ますから。」

「・・・ありがとうございます。」

なのでその場で現地解散となり、司が比路を背負い二人は二人の寮部屋へ戻っていった。



戻ってきた二人

「・・・司。ありがとう、来てくれて。」

「本当に大丈夫だった?怖い思いとかしてない?」

そうして自分たちの部屋に戻ってきた二人。

「平気だよ。まさか背後取られてるなんて思わなかったからヘコんで焦ったけど、寮長に言われて・・・。司なら来てくれるって、ちゃんと信じてたから大丈夫だった。」

「そっか・・・。助けに行くの遅くなって本当ゴメン。」

「ううん、いいよ。僕だって途中から寝ちゃってたし、そんなに危険っていうほどの目には遭ってないから平気、平気。」

そして学習時間に。みんながまだ勉強してる時間だけど、言われた通りに比路をベッドに寝かしつける。

「でも寝ていた時、すごく懐かしい夢見てた気がするんだ。・・・なんだっけな?」

「・・・ヒロ。もういいから寝なよ。俺は勉強に戻るからさ。」

「うん。おやすみ、司。」

「おやすみヒロ。」

そんな比路の口から語られる夢見の話。
それを聞いてて司は何を思ったのか。それに対して何も言葉を返さず、比路が寝たのを見届けてから自分は勉強に戻っていった。



お仕置きスパーキング

そして日暮寮長はと言うと、

「やめろおおおお!!」

「はい。いーち、にー、さん、しー。」

自分を閉じ込めた犯人・犬飼を取っ捕まえていた。
悪いことをしたので、それなりの制裁を。

「離せクソ寮長!こんな醜態晒しておいてタダで済むと思うなよ!」

「タダで済まなくていいから少しは懲りてくれ。何回も罰されてドMか、お前は。せっかく人が上の連中に頭下げて停学免いてやったのによ。」

「うるせー!だからこんなことなら素直に停学になったほうがマシだーーー!!!」

「あああ寮長やめて下さいっす!」

犬飼は罰として『ケツ叩きスパーキングの刑』を。学習時間だろうがなんだろうが構わず受けさせられたのでした。

「本当に犬飼は少し学びなよ。お前が蓮さんに敵うわけないだろ。」

「うるせー!てか見てないで助けろよ!生徒会だろ久野!!」

「寮長!犬飼さんのお尻を叩くなら、ぜひ自分のお尻を!」

「小太郎やめろ。それはいくらなんでもオレも引く・・・。」

めでたし、めでたし。

「どこもめでたくねえー!締めに困ったからって、無理矢理めでたしで締めんな作者ー!!!」



青ノ葉 第29話をお読みいただきありがとうございます!

第一回目の人気投票の1位が日暮寮長でしたので、
今年の締めは彼と2位の比路メインで書きました
その結果、司にちょっとだけ妬かせちゃったかな?
でも個人的にはそれも書けて楽しかったです

2016年、青ノ葉の更新はこれにて終了です
今年も色々とありましたがありがとうございました!
2017年には、また長編となる個人エピソードと
青ノ葉学生寮レクリレーションがメインとなる予定なので
ちょっと一話完結が少なめになりそうです
やっと4月が終わる・・・っ!

それでは来年も青ノ葉をよろしくお願い致します!



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