そしてそっちに夢中になっていたせいで比路は、もう一つ気付いてなかったことにようやく気付く。
「!?」
「ん?どうした?」
いつの間にか寮長が自分の隣に座っており、置かせたはずの距離がなくなってて、肩をビクつかせるほどまた驚いた。
「ほら。峰岸も寒いだろ?毛布やっから、もうちょいこっち来い。」
(なんでこっちに来るの!?)
ビックリにビックリが続いたせいで、元から高かった警戒レベルがマックスへ。 その気持ちは、声色にも態度にも素直に出すぎて丸わかり。
「僕はいいです。そこまで寒くないので要りません。」
「峰岸がよくても、これで風邪引かれたら周りにうるさく言われて俺が責任取らされんの。いいからこいって。」
「ヤですってば!」
そんな様子を一度も二度も三度も見てきたせいで、日暮寮長もいい加減痺れを切らしたようだ。
「・・・本当に面倒臭いヤツだな。」
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