比路も近づいてくる犬飼の気配に気づかなかったようだ。
「・・・わッ!?」
ドンっと背中を押された比路は、そのまま中へ。
「え、なに!?」
抑えていた保管庫のドアがガチャッと閉められ、外からガチャガチャガチャッと頑丈に細工をされてしまう。
「ん?どうした、峰岸ー・・・って!ドア閉めんな!!」
「違っ、僕じゃない!今、誰かに背中押されて!」
目の前の警戒に気を取られて油断していたせいもあるが、武道習ってるはずなのに背後を取られるなんて・・・!今までサボっていた分の恥が極まる。
「くっそ・・・!開かない!」
そして引いても押してもドアノブをガチャガチャしても、うんともすんともしなくなった扉。 開かなくなってしまった保管庫の中で、比路も日暮寮長も閉じ込められてしまう。 しかもあと少しで学習時間が始まるから、みんな自分の部屋へ戻って行ったバッドなタイミングで・・・。
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