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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#28 それぞれの入部先(後編)(3/4)
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荒れ果てた後の園芸部

一方、所変わって。その頃、青ノ葉 園芸部では。

「まってまって!ともやくんもコタくんも、そんなこといわないで!」

「元を正せば俺が招いた種ですので、そういうわけには・・・。」

「犬飼さんたちがやらかしたとはいえ、そうさせてしまったのは自分が行動を誤ったからっす。責任とらせて辞めさせて下さいっす。」

例のあの騒動で荒れてしまった畑や花壇。
あれから片付けが進んで目印だったビニールハウスも骨組みだけが残りあとは何もなく、ここが園芸部とは思えないほどの殺風景となっていた。
そして園芸部をそんなことにさせてしまった責任として、部員だった二人。朋也と桃地が二人揃ってダブルで永瀬に退部を申してきたのだ。

「まってよ。またみんなでやろうよ。ね?」

そんな二人を辞めないでと説得する永瀬。
けど朋也も桃地も意地が強く、その意思を折らさせない。
「俺が」「自分が」「俺が」「自分が」と続けて主張する。

「・・・どうしましょう?チロせんせー。」

もちろんその二人の話は顧問であるチロ先生も聞いていた。

「そう・・・、ですね。」



荒れ果てた後の園芸部 2

朋也も桃地も今回の騒動を犯した原因として園芸部を辞めたいと言い出す。
その話を聞いていた顧問のチロ先生は、

「お二人の意思がそこまで固いのなら止めても、きっと無駄でしょう。」

「そんな!」

永瀬とは違い、二人の意見に頷く。

「そんなに辞めたいのであれば辞めていただいて結構です。とても残念ですが入部退部は個人の自由ですし、校則的にも咎めはありませんので。」

けど、

「それはそうとこんなに園芸部を荒らさせておいて辞めておしまいは、あまりにも無責任だと思いませんか?」

「え。」

「出て行くのは一向に構いませんが、せめてここ(園芸部)を元の状態に戻してからにして下さいね。」

「「・・・・・・・・・。」」

二人の意見に頷いたが、永瀬とは違いそんな二人を許さなかったチロ先生。
『辞めるなら園芸部を直してから出て行け』と、ニッコリとした笑顔で言いつけた。
その表情は二人の逆らいを許すことなく、とりあえず園芸部が元に戻るまで朋也も桃地も残ることとなった。



荒れ果てた後の園芸部へ

そういうわけでチロ先生も含めて、今この場にいる園芸部員の三人で進めていた片付けをさらに進める。
すると、

「うわ〜。本当に荒れちゃってたんだ園芸部。何にもないや。」

そんな園芸部の部活場所に姿を現した司。
放課後、当番だった教室の掃除も終わり、寮に帰っちゃう前に荒れた園芸部の様子を見に来たそうだ。

「へへーっ、遊びに来ちゃった。園芸部の調子はどう?朋也。」

「どうって訊かれても、チロ先生には敵わなかったというかなんていうか・・・。」

そして今日もまだ朋也に懐いているのか。
朋也と話していると、

「えんげーぶにいらっしゃい。ともやくんのおともだち?」

そんな一年二人の様子を伺ってきた永瀬。
やっていた作業を中断させて、とことことことこコッチにやってくる。



司と永瀬

そして司も永瀬もここで初めて会うもの同士だから、お互いに自分の名を名乗り明かす。

「そっか。つかさくんっていうんだね」

「よろしくお願いします永瀬先輩。」

「うんうん。いまはまだなんにもないけど、ぜひぜひゆっくりしていって。」

やっぱり永瀬は初対面の相手でも超がつくほどの歓迎モード。
ただ見てるだけの司を邪心に一切思わず、使ってなかった大きめのカゴを2つ持って来ては逆さに置き、簡易的ではあるが椅子として司のために持ってくる。

「ともやくんも、ここでゆっくりしてていいからね。」

そう言ってまた片付けの作業に戻って行く永瀬。
やっぱり今この場にいる三人の部員の中では一番、永瀬がよく働いているのが司の目から見てもよく分かった。

「永瀬先輩、働き者だね〜。」

「・・・泣かすと悍ましい人だけどな。」



司と朋也

「峰岸はどうした?今日は一緒じゃないんだな。」

「ヒロなら掃除終わった後、部活に向かったよ。昨日、柔道部に入部したから。」

「・・・そっか。結局、戻ることにしたんだなアイツ。」

永瀬がせっかく用意してくれたので、簡易的な椅子に腰をかける司。
そしてその近くで作業しながら相手をする朋也。
休みの日にゲームセンターへ一緒に遊びに行ってから、よく話すようになった二人。
司が一方的に寄ってくる感じだが、それでも昨日よりは今日。今日よりも明日と少しずつだけど二人の会話も広がっていってるようだ。

「で?」

「で???」

「森は部活大丈夫なのか?そろそろ入らないと期限まずいんじゃー・・・。」

司も朋也も同じクラス。
人から人に伝わった彼の噂。司がまだ部活に入部してない話を彼も耳にしていたようだ。

「そうなんだよね〜。そろそろ決めないとダメですよーって掃除してた時、本田先生にも言われた。」



まだ部活を決めてない彼へ

まだ部活に入部しようとしない司の理由。
大半は『そんなことよりもゲームがしたい』という遊び心が占めている。

「森は峰岸みたいに習い事とかしてなかったのか?」

「うん。ヒロが通ってる道場に遊びに行ったりはしてたけど興味なかったからな〜。アッキーたちと遊ぶ以外の休日はだいたい引き篭もってたし。部活も中学は帰宅部だったし。」

けどそこには比路のような事情はない。
特に訳もあるわけではなく、本当に何も決めてないまま今日までを過ごしていたようだ。

「ここから柔道部の道場見えたんだ・・・。お、あれ一人だけチビだからヒロかな?頑張って走りこんでるな〜。」

「森も柔道やったらどうだ?高校からやり始めたって何もおかしくない話だろ。」

すると司は園芸部の場所から柔道部の道場が見えることに気がつき、そのまま立ち上がって眺め始める。

「今は峰岸だっているわけなんだから、一緒にー・・・。」

「なあ、朋也。」

そして、



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