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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#27 それぞれの入部先(前編)(2/3)
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一人から二人の朝ごはん

「でも一人でいるなんて珍しいね。誰かと一緒に来るのかなって思ってた。」

「そうでもないよ。誰かと一緒っていうとき確かに多いけど、常に誰かといるわけじゃないもん。」

一人から二人へ。
結局、誰かと一緒に朝ごはんを食べることとなった比路。
相手はいつもと違うけど、おかげでいつもの調子を取り戻す。

「今日から比路も朝練だけど大丈夫?眠たくない?」

「実はすごく眠い。司とか友達はまだ寝てるから、ちょっと羨ましくなっちゃった。」

その時、

「克也もー・・・じゃなかった。久野先輩は眠たくないの?」

「・・・・・・・・・。」

いつもの癖で久野を呼び捨てていたことにようやく気づき、改めて呼び直して話を続けた。



気になっていたこと

「比路。前から気になってたんだけど・・・。」

そんな比路を見て箸を止めた久野。

「俺のこと普通に呼び捨てでいいよ?」

彼もそのことが気になっていた模様。
自分の下の名を呼ばれる度に上の名に直されて、ずっと不満に思っていたようだ。

「え、それは出来ないよ。だって年上だし先輩だし生徒会だし。とにかくそんな久野先輩を呼び捨てるなんて、もう出来ないよ。」

「いくらなんでも昔馴染みに他人行儀されたら、さすがに俺も寂しくなるんだけど。」

「ご、ごめんない。でもちゃんと気をつけるから・・・。」

下級生が上級生に向かってタメ口っていうのも、あまり良くはない。
比路自身それは分かっているが、なかなか癖が抜けれない。だから気がついた時に無理矢理でも言い直していたと続けて話した。

「比路・・・。」



今まで通り

そんな比路の事情を聞いた久野。

「俺がいいって言ってるのに、俺より周りをとるの?」

「へっ。」

それはそれ。これはこれ。
そんな理由如きで納得が出来なかったようだ。
彼はニッコリとした顔で。笑ってるのに笑ってない顔で強くゴリ押す。

「普通でいいんだってば比路。そんなことでいちいち咎めてくる人いないし。」

「え?え、え!?でもー・・・。」

「二年は犬飼たちがアレだけど、三年生がそんなことするなんてこと絶対にないから。」

そして強く強く説得した結果、

「そう、なの?」

「今まで通りでいていいよ。っていうか今まで通りでいていいって比路。」

「うん・・・。じゃあ克也がいいならそうする。」

比路は呼び直すことを止めて、克也を呼び捨てて今まで通りに接することにしたようだ。



やってくる一つの影

「克也の浅漬け食べてもいい?」

「いいよ、持ってって。食べてくれると助かるよ。」

「漬物まだ苦手?」

「うん。食べられなくはないんだけどね。」

そうして比路と久野は再び仲良く朝ごはんを食べ進める。
その途中、味噌汁やお茶を飲むタイミングが何度かシンクロして、ほのぼのと仲睦まじい二人だった。
するとそんな二人に近づく一人の影。

「なんだ克也?俺より先に出たくせに、今日は随分とのんびりだな。」

「!?」

「あ。冥おはよー。」

その男子生徒は久野の知り合いだったようで話しかけてきたが、比路は初対面。
いったい誰なんだろう?



鬼頭 冥

比路と久野、二人のところにやってきて前の席に座ったその男子生徒。
日焼けた肌は色黒くて久野よりも背が大きく、朋也に負けないぐらい強面な顔付きの男の子。

「あ、紹介するね。彼は二年の鬼頭 冥(きとう めい)。俺のルームメイト。」

名前は鬼頭 冥。
189もある長身で筋肉がアスリート並にしっかりとした体つき。
彼はスポーツ特待で青ノ葉に入学した特待生。部活も陸上部に所属しており、種目はスプリンター。

「・・・今日は雪が降って名残ってきそうだな。」

「ごめん冥。人のこと、そんなに珍しがるのやめろ。」

そして久野のルームメイトであり、クラスも一緒。仲もいいようだ。



久野と鬼頭

「そっちの一年。克也の知り合い?」

「ああ、昔馴染みの子。前に話しただろ?昔一緒の道場に通ってた子が青ノ葉に入学してたって。それがこの子のこと。」

「ふーん。」

そういうわけで比路には鬼頭を。
鬼頭には比路を紹介した久野。
そのまま二人から三人で朝ごはんを食べることとなった。
けど比路は鬼頭(知らない上級生)が前にいるせいで、あまり人見知りではない方なのに静かに縮こまってしまう。

(・・・おっきいい。)

でも自分よりはるかに身長が高いものだから、彼を羨ましく思えていた。

「話変えるけど俺、今年の夏やっぱ普通二輪取り行ってくるわ。あの人のバイク見せてもらったけどモデルがカッコ良すぎで、くっそ羨ましくなった。」

「分かる分かる。この間、蓮さんに買い出し付き合わされた時に乗せてもらったけど、颯爽感凄くて俺ずっと後ろでドキドキしてた。」

「まじか。いいな〜、俺も乗せてもらえねぇかな。」

鬼頭も鬼頭であまり比路を気に求めてない様子。
ご飯を食べながら久野と趣味になりつつあるバイクの話で、二人だけで盛り上がる。



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