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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#27 それぞれの入部先(前編)(1/3)
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火曜日の朝

休日が明けて月曜日が終わり、日付も変わって火曜日が始まった今日。
カチ、カチと刻々と進む時計が午前6時を迎えると、朝から部活動に参加する朝練組の生徒が起き出してきた。

「おはようございます蓮さん。」

「おう。相変わらず早ぇな。」

そして今日もいの一番に姿を現した久野。
食堂でホットコーヒー飲みながら新聞紙を読んでた日暮寮長に挨拶を交わす。
ここまでは普段どおり。いつも通りの彼だったが、そこからはいつもと変わっていた。

「ん?克也、メシは?取って来なくていいのか。」

「あ、いえ・・・。今日はもう少し後にしようかと。」

一番乗りで来たのだから一番乗りで朝ごはんを食べるのに、今日は受け取りにも行かずそのままおとなしく席に着く。
そんな彼が珍し過ぎたのか。

「ん!?どうした、具合でも悪くしたか?」

「違います違います。俺は何も悪くありません!いたって元気です!」

日暮寮長に心配された始末だったが、特に問題はない様子。

「ただ知り合いを待っていたいだけですので。」

「びっくりさせんなよ。まあクソ真面目な克也でも、そういうときあるか。けどこんな朝っぱらから待ち合わすとか本当に珍しいもんだな。」

「いえ。俺が勝手に待ってるなので、気にしないでいただけると・・・。あとクソ真面目は余計です。」

いつも通りの行動をズラしてまで、久野はそこで誰かを待っているようだった。



いつもといつもと違う朝風景

一方その頃、423号室にて。

「ん・・・っ!」

入寮式の日に家から持って来ていた私物の目覚まし時計に叩き起こされた比路。
いつもより一時間早い起床に、眠たい目を擦りながらゆっくりと体を起こす。すると、

「・・・また司いるし。」

自分の隣には今日も司の姿があり。
ゲーム機を没収されていた期間は上下それぞれ自分たちのベッドで寝ていた二人。しかし返してもらったその日から司はまた夜遅くまで遊ぶようになり、睡魔に負け力尽きてこっちにやってきていたようだ。
けどそれも繰り返しているうちに慣れていって(文句言っても無駄だったので)、ほぼいつもになった朝の風景だった。

「よいしょっと。」

なるべく彼を起こさないようにそーっと、そーっと。
物音を静かに静かに立てながらベッドから降りたが、

「ん・・・?あれ、もう起きる時間???」

小さくしていてもその時の音と動きで、やっぱり司を起こしてしまう。



行ってらっしゃい

「ごめん、起こしちゃった?」

「・・・そっか。朝練、今日からだっけ?」

「うん。だから司はまだ寝てて大丈夫だよ。」

司は昨晩、何時まで起きてて何時に寝たのだろう。
起きたはずのに、目はとろんっとぼんやり寝惚けたまま。

「寝てて大丈夫なんだけど、ちゃんと7時には起きてね。遅刻だけはしないようにしてよ。」

「分かってるよぉ〜。ヒロさんはお節介だなぁ。そーじもやっておくから大丈夫。心配ないよぉ。」

ごろんと寝返って、制服に着替えてる比路を眺めながら、ほわほわふわふわぽけぽけ口調で話す。

「いってらっしゃいヒロ。稽古、頑張ってね。」

「うん、いってきます。」

そして比路が部屋を出て行くまで目だけで見送り、そのままもう一度眠りについたのでした。



早朝・食堂にて

司はまだどこの部にも入部してないから論外として。
朋也は園芸部、稚空と梅ちゃんは文芸部。
みんなして揃って文化系で朝練が特にない部活動ばかりなので、親しい友達の中で運動部に入ってるのは比路一人だけ。

「ふぁ〜…。」

この時間で食堂に来るのは今日が初めて。吹奏楽部は朝練あるので所属してる圭がいるかもしれないと思ったが、知ってる生徒は同級生どころか上級生の姿もいなかった。
そんないつもと違う朝の風景にソワソワなりながら、隅の方の席に着いて朝ごはんを食べる。

「いただきます。」

今日のメニューは卵2のハムエッグに青菜の胡麻和え物。ご飯に漬物になめことワカメの味噌汁。
いつも誰かと一緒だったから、一人で食べる朝ごはんがとても静かに感じた。

(この浅漬け、すごく美味しい…!)



待っていたのは・・・

そのとき、

「隣、いい?」

「ん?」

一人でいた比路に近づいて、話しかけてきた一人の男子生徒。
その生徒の名は、

「わ!?びっくりした。誰かと思ったら克也か。」

「そんなにびっくりさせた?」

「うん。だって誰もいないって思ってたから。」

久野 克也。
いの一番に食堂に来ていた彼は比路がここの来るのを待っていたようだが、気づいてなかった比路は久野を見て驚いた拍子に漬物をポロッと箸から落とした。

「克也いつもこの時間に起きてたんだ?」

「ん?んー・・・今日は別かな。いつもはもう少し早いから。」

そして空いてた隣の席に座り、彼もここでようやく朝ごはんを。比路と一緒に食す。



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