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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#26 その日の夜のお話(3/3)
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上級生が一人でも来ると・・・

日暮寮長からの伝言を聞いて、やってきた久野。
それを耳にしたときから彼も気になっていたようで明日以降に回さず、この時間を使って訪れたそうだ。

「克也・・・。」

けどここは一年生が使ってる寮の階。
そこに上級生の二年生が来れば下級生の一年は緊張させた空気を漂わさせて、またそれが生徒会の久野先輩と分かれば余計に注目の的となった。

「わ〜!克也先輩だ。どうしたの?」

「蓮さんから比路が話したいことあるって聞いて、それで・・・。」

「え?ヒロが?」

「・・・・・・・・・。」

それを気にして、居たたまれなくなった比路。

「ここじゃダメだから。克・・・じゃなかった久野先輩、こっち来て。こっち。」

「え?え?え?」

持ってた歯磨きセットを司に預けて、顔を赤く染めながら久野の背中を押して、とりあえず場所を移動させる。



大丈夫

「ひろピー大丈夫?さっきの久野先輩でしょ?」

「ん?」

そんな二人を稚空も見ていたようで、心配だったのか。一人先に自室に戻ろうとしていた司に声をかけて捕まえた。

「え、何が?」

「いやだってひろピーなんか深刻そうじゃなかった?追わなくていいの?つかポン。」

「いいも何も大丈夫でしょ。克也先輩なら大丈夫だよ。あとつかポンやめい。」

稚空は行ってしまった二人を異様に気にしていたが、司はそうでもない様子。

「大丈夫だってば大丈夫。」

「けど・・・!」

「ヒロは元の道に戻っただけだから、何も心配ないよ。」

ついて行かなくても全て分かっていたのか。
大丈夫と繰り返して、不安そうだった稚空をニッコリ笑顔で落ち着かせた。



比路と克也

そして比路は久野を連れ、この時間なら人の気があまりない一階のロビーまでやってくる。
設けられているソファーに二人並んで座って、久野に話したかったことを全部話す。

「そっか・・・。俺が辞めた後に道場で、そんなことがあったのか。」

「ごめんなさい。伝えるの遅くなっちゃって。」

「ううん、いいよ。比路こそありがとう、あの道場を守ってくれて。」

その話は全て比路と久野が通ってたあの道場の話。
久野のが辞めた後に道場破りの体験が隣町から来てしまった話。
その時に自分がトラウマを抱えてしまった話。
その全部を、全てを久野に打ち明けた。

「でも本当にこんな中途半端なこと言って、克也にも迷惑かけそうで…。」

「そんなことないって。比路が一生懸命考えて導いた答えなら尊重するし、俺だって歓迎するよ。いや、ちゃんとこう言うべきなのかな。」



おかえりなさい

「おかえりなさい比路。そして柔道部へようこそ。」

「・・・克也。」

「っと言っても俺は部長じゃないから、俺からも部長に伝えておくよ。明日、入部届け出してくれたら、それで決まりだから。」

「うん。ありがとう克也。」

そしてその最後。久野に手を差し伸べられー・・・、

「でも本当によかった、比路が戻ってきてくれて。何の話かと思ったけどホッとしたよ。本気で辞めちゃうんじゃないかって心配してたから。」

「・・・うん。友達にも話したら背中押してもらって。」

「同じ部員として、これからもよろしくな比路。」

「うんっ!こちらこそよろしくね克也。」

その手を握り返して交わした比路は、青ノ葉柔道部に入部する意志を示す。
青ノ葉の道場で再び柔道を習うことを決めたのでした。




「ー・・・ここが青ノ葉学園。」

新たな騒ぎも一緒に巻き込みながら・・・。



青ノ葉 第26話をお読みいただきありがとうございます

前回から少し続いた話なので微妙な始まりとなりましたが
今回より新しい章に突入です
久しぶりに新キャラも出てきますので
お楽しみにしていただけると嬉しいです


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