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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#3 はじまる寮生活(1/2)
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夕焼け小焼け

入寮式後。持ってきた荷物の片付けを(司は比路に脅されて)始めた二人。
学校側から用意されていた制服やジャージ等の衣類は、サイズ合わせをしてからクローゼットへ。寝具は、それぞれのベッドに。
家から持ってきた必需品も、きちんと分かりやすい場所に整頓してしまう。
そして部屋まで配布されてきた教科書類には自分の名前をネームペンで書き込んだりして、テキパキテキパキ次々に終わらせた。

「ふぅ。一通りだけど、こんなものかな?」

「うへぇ〜、つっかれたぁ〜・・・。」

気が付けば時間はもう夕方。
もうじき夕食ともなれば、お腹ももちろん空いてくる時間だった。



違反な持ち物?

そんな時間を時計で見て今寝るのを諦めた司は、このまま起きてることにしたようだ。

「ほいヒロ。これヒロさんの。」

「は?」

そして持ってきた自分の鞄から携帯用のゲーム機を二つ取り出し、一つ比路に渡す。

「はァ!?ちょ・・・っと、これ僕の!?いつ入れた!?」

「昨日の夜。ヒロすけが風呂に行った隙に。」

「なんで持ってきてるの!?」

「持ってきちゃダメだって書かれてなかったから。」

「ダメだから書かれてなかったんでしょ!持ってきちゃダメだよ!!」

確か入学案内書にはゲーム機や遊戯物を持ってきてはダメなんて書かれてはいなかった。
けれど持ってきていいとも、もちろん書かれていない。
それでもこれは校則違反になってしまうのではないか。

「大丈夫だって大丈夫。最悪、バレなきゃいいんだから。」

「本当に大丈夫かなー・・・。没収されたくないんだけど。」

比路がそんな不安を覚える一方、そんな不安を微塵も抱かず、へっちゃらそうな司だった。



訪問者

「ってことで夕飯の時間まで対戦しよ対戦。」

するとその時、

「いやっほぉーい!」

「「!!」」

ガチャッと勢いよくドアを開けて、この部屋に訪れた一人の男の子。

「いたいたいたいた。やっぱり『つかポン』も『ひろピー』も同じ部屋だったんだね。」

すっごくご機嫌そうな笑顔で、ズカズカと入ってきた。

「「いらっしゃい『アッキー』。」」



鈴木 稚空

司と比路の部屋に訪れた一人の男の子。
彼の名前は鈴木 稚空(すずき ちあき)。
前髪を赤いゴムで結んでおり、ちょこっとお洒落を気にし始めた活発的な彼。
ニックネームは『アッキー』。稚空の『あき』をとって司が付けたあだ名。
彼も今年の新入生であり、二人と同じ中学出身で親友と呼べる仲の良い関係。

「いやぁ、まいったよ。ずっとつかポンもひろピーも見つけられなくて大変だった。」

ちなみに稚空は、人にあだ名を付けるのが得意。
なので司は『つかポン』。比路は『ひろピー』と呼んでいる。

「あれだけ多いと分からないよね。あとひろピーやめて。」

「唯一の連絡手段も部屋に置いてたしな。俺もつかポンやめろ。」

だがセンスは、ほぼ皆無。
毎回毎回、やめてと言われてしまうオチ。

「あのね!これはオレ流の愛情表現なの。ちゃんと毎回親しみ込めて呼んでるんだぞ。」

「そんなこと言われても毎回バカっぽく聞こえるよ。全然慣れないし・・・。」

「それは気のせいだって!何て言われようがオレは絶対やめないかんね!」

それでもめげずに呼び続けるのが鈴木 稚空という男なのだ。



類は友を呼ぶ

「つかポン隈ヒドイけど、また夜更かししてたわけ?」

「まぁね♪あとつかポンやめろ。」

「相変わらずだね・・・。」

付き合いが長い同中学出身の三人。
稚空も司の隈を一目見ただけで、彼が寝不足なのが丸わかり。

「なんのゲームしてたんよ?」

「学園プリンス。隠しも全攻略した。ブイッ!」

「あぁ〜。この間、発売されたばかりの学プリか。一般だけ?追加は買った?」

「一般だけ一般だけ。追加は制限あるから買ってない。流石に守るよ。18になったときの楽しみにとっておきたいから。」

ちなみに稚空も司のように、腐男子の部類にずっぽりきっちりちゃっかり入ってます。
けれど同じBL好きにも多少の違いがあるようだ?



友は類を呼ぶ

「それまでに廃盤ならないといいね。」

「そんなこと言うなよ!ただでさえ楽しみにしてた昔のゲームにプレミア付いてきて、簡単に手に入りづらくなってるんだから!!」

「学プリなら小説版あるから姉ちゃんのだけど貸そうか?つかポンお気にのもちゃんと最後まで執筆されてたはず。」

「いや、でも小説は眠たくなるしなぁ〜。あとつかポンやめぃ。」

司はゲームオンリー。
稚空はラノベ小説を中心に手を出しており、情報だけなら司より詳しい。
比路は三人の中、唯一腐ってないパンピー男子。
そんな二人の50歩100歩な会話に頭を痛ませる。

「・・・・・・。」

類友影響で、どうか彼までも腐りませんように。



稚空は416号室

腐った話はさておき。
稚空の寮部屋の番号を教えてもらうことに。

「オレの部屋は416号室だからさ。二人も遊びに来てよ。」

「OKOK。急に押しかけ行くから覚悟しとけよ。」

「そういえばアッキーの相方さんって、どんな人?」

青ノ葉の学生寮は二人一部屋が基本。
なので稚空の相方。ルームメイトはどういう人なのか気になったのだが、

「なんか今日は来られないんだって。入寮式前、チロ先生に訊いたら体調崩しちゃったらしくて。」

「チロ先生って?」

「柊 千尋先生。ってあれ?二人とも受付の時、保健医の先生に会わなかった?」

「会ったよ。ただ柊先生をチロ先生言うから誰なのか分からなかっただけ。」

稚空自身、まだその子と顔を合わせたことがないようだ。



稚空のルームメイト

「明日は入学式なのに大丈夫なのかな?その子。」

「オレもチロ先生も間に合ってほしいって思ってるけど、なんとも言えない現状なんだよね。とりあえずその人来るまで本格的な片付け待ってんだ。明日困らない程度の荷物出しておけば十分だしね。」

「ってことはアッキー。今日、床で寝るの?」

「まぁ、そういうことになるね・・・。」

稚空からその話を聞き、二人も心配になり不安な色を顔に染める。
そしてその子を気使う稚空も心配。

「アッキーも風邪引かないようにね。」

「まだ夜は寒いんだから気をつけろよ。」

だから自分たちが出来ることあれば協力すると手を差し伸べ、

「ああ、ありがとな。つかポン、ひろピー。」

「礼はいいいから、つかポンやめろ。」

「ひろピーもやめてね。」

稚空は二人の手をガッチリと掴んだのでした。



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