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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#2 青ノ葉学園へ(2/2)
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寮でも一緒

「そんなこと言うなよ!俺はヒロと一緒で素直に嬉しいんだからさ。」

比路の損ねた機嫌を少しでも直すため。彼が弱そうな言葉を強調して口にした司だったが、

「それ。楽できるから嬉しいんでしょ?」

「あ、バレてた?」

「どうせそんなことだと思ったよ。いきなり調子いいこと言うから。」

「だっていきなり知らない人と組まされるよりいいじゃん♪」

お調子者の司と長年付き合ってきたせいか。
その面倒を見て、しっかりと育ってきた比路は鋭いとこは鋭く勘付き、簡単に司の本音を見破った。



案内人のチロ先生

そんな二人の問題なさそうなやり取りを見て、クスクスと笑うチロ先生。

「はい。これが423号室の鍵になります。」

渡された部屋の鍵は一つだけ。
大事に管理して下さいねと続けて言葉にする。

「もし万が一、鍵を紛失してしまった際は、直ぐに私か寮長に伝えて下さいね。」

「寮長・・・?」

「柊先生は違うんですか?」

そんな話をしていた中、チロ先生は悪魔でも保健医の先生。
学生寮を監督する寮長が別にいることを教えてもらう。

「やっていた時期もありますが、ちょっと昔のお話ですね。今は別の方が寮長を勤めていらっしゃいますよ。」



どんな人?

学生寮の寮長はどんな人なんだろう?
気になった二人は、もうちょっとだけ聞き出す。

「その寮長って、どんな人なんですか?」

「え?」

すると、その答えに戸惑いを見せるチロ先生。
少し間を置いて、それも教えてくれた。

「・・・・・・。」

「柊先生?」

「あ、すみません。えぇっと、そうですね。あんな大人だけには成らないようにして下さいね。」

「ちょっと待って!それってどういう意味なんですか!?」

ここの寮長は不安要素が多い人なんだろうか。
チロ先生は彼の話をした最後に、二人に頭を下げてまでお願いするのでした。



423号室

「もうじき入寮式が始まりますので、一度部屋に行かれましたら荷物とそれから携帯電話も所持していたら一緒に置いて、オープンスペースへと向かって下さいね。寮長のことも本人に会えば分りますから、その時に。」

そうしてチロ先生に見送られ、寮内へと進む。
司と比路の部屋は4階の23個目の部屋。

「ここが423号室か。」

そこに辿り着いた二人は、さっそく渡されたばかりの鍵を使い、部屋のドアを開ける。

「おおー!結構広い!」

写真に乗っていたイメージ画像より狭くなかった室内。
白色の壁紙に木材板のフローリングに鉄格子付きの窓。
入り口のドアから見て手前右には二段式のベッド。手前左にはクローゼット。
部屋奥には勉強スペースが左右にそれぞれ。椅子に座ると背中合わせになるよう設置されていた。
ちなみにトイレや洗面台は共用なので個室部屋の中にはありません。廊下等にあります。
勉学に適した家具しか置かれてないが、不満はない殺風景な部屋だった。



一番近い関係

さっそく部屋に上がった二人。
荷物が入った重たい鞄を床に置き、一息つく。

「ヒロヒロ!ベッド、上と下どっち使いたい?」

けれど司は休むことなく。
徹夜明けの効果がまだ残っているのか、異様にテンションが高い。

「どっちでも対して変わらないから、どっちでもいいよ。」

そんな司を比路はクスクス笑いながら、彼の選びたい方を選ばせる。

「やりぃ!じゃあ俺、上ね。こういうの1回使ってみたかったんだよね。」

「だろうと思った。」

同い年で腐れ縁の幼馴染みな二人。
時には少しだけ比路がお兄さんになったり。
時には少しだけ司がお兄さんになったり・・・。
家族同然のように距離感は凄く近い関係なのでした。



入寮式

それからチロ先生の指示通り。学生寮1階のオープンスペースへと向かう。
するとそこには自分と同じ新入生の生徒がずら〜っと集結しており、その人の数に圧倒されてしまう。

「・・・ね。アッキーってもう来てるんだよね?」

「そのはず。けどこれだけ多いとドコいるか分からないな。」

同じ学校に入学した友達を見つけるのも一苦労。
結局、見つけることが出来ず、

「おー。お前ら、そこら辺でいいからテキトーに座れー!」

学生寮に集まる先生の指示で、フローリングの床に座らされ、予定していた時間通りに入寮式が始まった。



日暮 蓮

「よし。お前ら入寮式始めっぞ。話だけはちゃーんと聞いとけよー。テキトーにしてていいから。」

新入生たちが集まるオープンスペースで他の教員を差し置いて、皆の視線を集めた一人の若々しい青年。
ツンと決まった赤茶髪な髪に耳ピアス二つ。『R』文字のチョーカーを付けたおっさ・・・、お兄さん。

「まず俺は青ノ葉学生寮寮長の日暮 蓮(ひぐらし れん)だ。」

彼の名前は日暮 蓮。
この青ノ葉学園の卒業生であり、今は学生寮を監督している寮長さん。

「この俺を呼ぶときは『寮長様』。ちゃーんと『様』付けて呼ぶように。いいな?分かったな?お前ら。」

大雑把で少々(?)乱暴な言葉遣い。
しかも彼を呼ぶときは『寮長様』。それ以外は認めない。
俺様気取りもいいところな日暮寮長なのだった。



日暮寮長

果たして、あんな人が寮長勤めていて本当に大丈夫なんだろうか。

「うわぁ〜・・・。」

入寮式で日暮寮長のことを知った比路。
先にチロ先生から『あんな大人だけには成らないように』と聞いていた言葉が見事なまでに当て嵌まり、そう呆れた顔で小さく呟く。

「・・・あんな人が寮長。」

「すごい人だな。」

入寮式はそんな日暮寮長の言葉から始まり、学園長からの話、保健医チロ先生からの話と続いて、また最後には日暮寮長の言葉でしめられる。

「お前ら。悪さしたらただじゃ済ませねぇから、そのつもりでちゃーんといい子にしてろよ?つーか面倒事だけは絶対に起こすな。この俺が面倒くせぇから。」

こうして1時間弱で終わり、あっという間に解散となった。



眠気限界

持ってきた荷物を夕方までには片しておくようにと。
新入生は指示通りに動き、自分たちの寮部屋へと再び戻っていく。
司と比路の二人も入寮式後、423号室へと帰ってきた。

「んー・・・っ。」

比路はきちんと言われたとおりに、片付けをしっかりと実行。
けれど司は1時間弱続いた長話が効いたのか。徹夜明けの睡魔が今頃になって、いい感じに誘ってくる。

「ふぁ〜・・・らめぇ。・・・もうムリぽ。」

片付けは荷造りよりも面倒臭い。
荷造りすらまともにしなかった人が言えるセリフではないが、今はとにかく眠りたい。

「ヒロ・・・ちょい寝かし・・・て・・・。」

そのまま床にごろんっと寝転がり、至福の旅まで5秒前。

「ほへほふんほ・・・、ほほひ・・・ふ・・・ひほ(俺の分もよろしくヒロ)。」

夢へと堕ちる最後に、告げなければいけない言葉を言い残した。



笑顔の向こう側

「おやすみなさー・・・。」

その次の瞬間。
怒りのこもった比路の片足が、司の顔の真横にドォン!と踵から強く落下。

「ヒィッ!?」

おかげ様でバッチリと眠気が吹っ飛んだが、再び目を開いて瞳に映し出された世界には、

「片付け、さ・き。」

顔はニッコリ笑顔なのに、とてつもなく恐ろしいオーラを放って見下ろしている子(比路)が直ぐそばに。
しかもその顔から『次は顔に落とすよ?』と、メッセージが送られたのでした。

「つーかさ♪片付け先にやるよね?」

「・・・ごめんなさいでした。」



青ノ葉 第二話をお読みいただきありがとうございます!

司と比路のやり取りは、個人的に書いててすごく好きです
話に詰まったときとかも非常に助けられてます
オチを付けたい時にも非常に便利です
・・・ボコボコにされる司には悪いですが(笑)

展開速度が非常にゆっくりゆっくりな青ノ葉物語
入学式まで、まだ少し先ですが
ゆっくりゆっくりお楽しみいただければ幸いでございます


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