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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#25  一緒に遊ぼう!(4/4)
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視線の先に

「朋也?どうしたの?」

「・・・・・・。」

いきなり黙り込んでしまった朋也。
三人がいくら彼を呼んでも応答がないどころか、どこかを凝視しており瞬きもあまりしてない様子。

「???」

その視線の先を追ってみると、そこにはプライズコーナーのクレーンゲームが一台。
中には30センチほどの割と大きな猫のぬいぐるみが陳列していたのだ。

「・・・・・・・・・。」

それを目に入れてしまった猫好きの彼。そりゃあもうっていうぐらい釘付けになっていた。

「ともぴょん、ずっとそれ見たまま動かなくなった?」

「欲しいのかな?朋也。」



限らない戦法

そういうわけでやって来ました朋也が凝視していたクレーンゲーム。

「しょうがないな〜、俺がとってやるか。茶色と鯖色のホワイトさん、どっちでもいいよね?」

「・・・え、あ。」

「お。今度はちゃんと反応した。どっちも誰かが止めたあと臭いし、動かしてみて取りやすい位置にきたやつにするね。」

朋也の代わりに司がやることとなり、朋也のために司ソロプレイの挑戦が始まった。
今回は前回と違いハイエナプレイとなったので、店員呼ばずにコインを投入。
お得意のようにクレーンを器用に動かして、今度はズラす戦法ではなく掴む戦法を実行した。

「ってあれ?司、掴むやり方はお財布に優しくないんじゃ?」

「何事にも事によって違うよ。この筐体、出口囲まれちゃってるから掴んでやらないと落とせないし。」

「あ、ホントだ。出口までちゃんと見てなかった。」



ゲーム運、全振り?

あと少し。あと少し。
何度も何度もクレーンに掴まれて落ちるぬいぐるみ。

「ああ!おしい!」

「あともうちょっとだったのに!」

周りのブイングがうるさいが一度も司は集中を切らさなかった。
そして次の瞬間。

「ん!キター!」

クレーンがぬいぐるみをガショッと掴んだ途端、ちょうどピッタリと収まり、そのままゴールの出口に運ばれ…。

「とったどー!!!」

見事、挑戦者・司の手に渡り、短くて長い戦いを制したのだった。

「さすがつかポン。運も味方にする男だねぇ。」

「ゲーム以外の運は全然だけどな。あとつかポンおやめなされ。」



司から朋也へ

「はい、朋也。鯖色の方取れたからやるよ。」

「いいのか?」

「いいよいいよ、貰ってよ。朋也のために取ったヤツなんだから。」

そうして取れた猫のぬいぐるみが司の手から朋也の手に渡る。

「・・・・・・。」

猫がとっても大好きな朋也くん。
だけどいっつもフラれてしまって切ない思いをし続けてきた。
それでもやっぱり生な猫派のようだが、ぬいぐるみは引っ掻いてこないし、その愛くるしいデザインにすっかり魅了されたようだ。

「・・・・・・・・・・・・。」

その証拠に恐る恐るギュッと縫いぐるみを抱きしめた彼は、顔を緩めさせて幸せの絶頂を噛み締めている。

「うわぁ。そのおっかない顔つきで猫のぬいぐるみ抱きしめるとか軽いホラーだな朋也。」

「本人すごく幸せそうだけどね。」

「ともぴょんより、ともにゃんのがよかったかな?」

そんな自分を三人にボロクソ言われたが、気に構わずこの幸せをずっとずっと感じていたのでした。



日暮寮長vs後藤朋也

そうして頃合いもよくなった時間にゲームセンターを出て、寮に帰ってきた四人。
きちんと門限前に戻ってきたはずなのに、やっぱり玄関先で日暮寮長に取っ捕まった。

「だから前にも限度があるって言っただろ。そういうのは持って帰ってくるなって。邪魔にしかならないだろ。」

前回同様、またぬいぐるみ没収の危機に陥ってしまう。

「っというわけで没収な没収。これで二回目だから変な言い訳しても今度ばかりは許さないからな。」

「あ!」

そして朋也の腕から猫のぬいぐるみが奪われた途端、

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

朋也はどんな顔をしてたのだろう。
そんな朋也を目の当たりにして、心を鬼にして説教したはずなのに、日暮寮長の顔がどんどん心苦しそうになっていく。

「〜〜〜・・・っ、分かったから!返してやるから!俺が悪かったからそんな顔するな後藤!」

仕舞いには結局、寮長の方から折れ、無事に没収危機を回避したのでした。

「よかったね朋也。」

「やっぱりともぴょんより、ともにゃんのがよかったかも。」



青ノ葉 第25話をお読みいただきありがとうございます

前回で個人エピソードが終わったので、今回は
リハビリついでに書きたかったことを書きまくりました
そしたら思った以上に長くなり、一部省くハメに・・・(汗)
やっぱり何も考えないで書ける話は書いてて凄く楽しいです

ちなみに話に出てきた茶色と鯖色のホワイトさん
例のアレをモデルにして書いたわけですが
10月発売なのにコイツの世界はまだ4月
若干どころではないズレがありますが、
あまり気にしない方向でお願いしたいです・・・


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