階段に腰を下ろして座る二人。 もうじき学習時間が始まるせいか。 物音はしているが静まっていく雰囲気に包まれていく。
「僕、ね。幼い頃、すごく泣き虫…だったんだ。それで強くなりたくて柔道習い始めたんだ。」
そんな中で少しだけ自分の昔のことを話す。
「けど中三の夏休み。隣町の道場から道場破りの体験に来られちゃって。克也が辞めちゃった後だし、僕もいきなりで初めてだったからどう相手していいか分からなくて。」
「負けたのか?」
「ううん、負けなかったよ。でもその時ちょっとしたミスで相手の子に怪我させちゃって…。」
当時、負わせた子の怪我はそんなに大きいモノではなく大事に至らなかった。けどその時の感触が自分の中に残っていて、それが怖くなって受験勉強を機に辞めてしまった。
「強くなりたくて通ってたはずなのに。人を怪我させるほどの力までは求めてなくて・・・。」
「・・・峰岸。」
その当時のことが悔しいのか。 そう口にしながら比路は自分の服を強く服を握っていた。
「確か今日、森に物凄い技くらわしてなかったか?」
「それはそれ。これはこれ。司は別。人が気にしてることわざわざ言ってくるんだから。」
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