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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#24 青ノ葉 月下光(Epilogue)(2/3)
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何でもいいから泣き止んで

とりあえずこの場を鎮められるのなら、なんでもいい。形だけでもいいからと、犬飼たちは桃地が言うとおりに永瀬に謝った。

「永瀬会長、すみませんでした。」

気絶してない不良生徒全員で頭を下げて、ごめんなさい。
すると永瀬はヒックヒックしゃっくりを繰り返しているが、ゆっくり落ち着いていく。

「もう、ともやくんたちとケンカしない?」

「え。」

けど、それだけではダメだった。彼らだけではダメだった。
形だけだとバレると、あっという間に元どおり。また永瀬はギャンギャン泣きさけび始める。

「うわあああーん。」

「あああああ!早くキミら自分らと一緒にも謝るっす!」

「なんで僕らまで!?」

「いいから早く!じゃないとずっとこのままっす!」



みんなで一緒に

比路や朋也も、ずっとこのままはキツイ。
だから桃地の言い分におとなしく従い、みんなで一緒に永瀬に謝る。

「「永瀬会長、すみませんでした。」」

すると永瀬はヒックヒックしゃっくりを繰り返しているが、またゆっくり落ち着いていく。

「ちゃんと・・・っく。なかなおりした?」

「え。」

けど、やっぱりそれだけでもダメだった。
謝れば済むというそのものの考えが甘かったようだ。
一瞬で漂った空気が永瀬の問いを否定させ、また彼を泣かせてしまう。

「うわあああーん。」

「しました、しました。仲直りしたから。ほら、見てください。」

ので、今度は肩組んで仲直りアピール。
イヤイヤなのがバレないようにみんな顔が引きつっていたが、どうかバレませんようにと強く祈った。



永瀬の涙

それを信じたのか。
やっとの思いで泣き止んだ永瀬。

「もう、ケンカしちゃ・・・ヒクヒクッ。だめだよ。」

「は、はい・・・。」

「ぜったい!ぜったいだよ。」

「は、はい・・・。」

「やくそく、だからね。」

「はい・・・。」

「やぶったら、またなくからね?」

「はいッ!」

そして半ば強制的に?いや半ば脅迫的に。
永瀬にまた泣かれた方が嫌だからと。
比路も朋也も犬飼も桃地もその他不良生徒たちも、もう喧嘩はしないと約束を交わさせられた。

「・・・やっと終わったか。」

「耳栓しててもキーンときましたね・・・。」

そんな彼らとようやく落ち着いた永瀬の様子を見て、やっと終わったことを把握した寮長と久野。
使い捨ての耳栓をポンポンと外し、心の底からホッと息を吐く。
どうやらその永瀬の涙には、この二人も敵わないようだ。



比路と朋也

それからその部屋で反省文の続きを書かされた寮即違反者全員。
先に比路と朋也は寮長の指示で今度はチロ先生がいる医務室に向かい、負った怪我に手当てを受けるとようやく解放される。
そして二人は自分たちの部屋へ帰っていく。

「あー・・・、もうこんな時間なんだ。さっさと部屋に戻って司に携帯返さなくちゃ。」

その途中、

「峰岸、さ。」

気になったことがあったのか。先に階段を上がっていた比路を途中で朋也を呼び止めた。
そこで、もう少しだけ二人で話す。

「武道やってたんだな。」

「うん・・・。」

朋也も比路と同じクラス。
人から人に伝わった彼の噂。比路がまだ部活に入部してない話を彼も耳にしていたようだ。

「武道って言っても、ちゃんと習っていたのは柔道だけだけど。」

「やらないのか?柔道。」

「・・・・・・。」

「他にやりたいことがあるなら別だが。」

司に比路スペシャルを喰らわしたり、犬飼を二度もぶん投げたり。
朋也は今日を含めて今までのことを思い出しながら、そう話す。
すると比路は、

「・・・なくはないんだけど、ちょっと悩んじゃって。」

と。素直に答えた。



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