翌朝の午前9時ちょっと前。
「司、そろそろ行くよ〜?ちゃんと起きてる?」
いつものように比路は、また窓から司の部屋へ。 昨日言っていたとおりの時間に、司のお迎えへやってきた。
「ん、おはよ〜・・・。今ちょうどエンディングだから、もうちょい待って。すぐセーブして止めるから。」
司が朝からゲームと言うのは日常茶飯事のこと。 いつも出かける寸前ギリギリまで身支度もせず、ゲームゲームなので比路に怒られるのが毎度のパターン。 けれど司も高校生になるという自覚を少しは持ってくれたのか。 世にも珍しく。すでに出かけられる服装で、比路のお迎えをゲームしながら待っていたのだ。
「へぇ、珍しいね。司がちゃんと待っててくれてたなんて。」
ゲームしてるのはいつもの彼だけど、そんないつもと違う姿に比路はホッと感心。 今までの苦労がやっと報われた気がして、そんな司をクスクスと笑う。
「あのな。俺だって日々少しずつ成長してるんです。それに今日に限ってはヒロのが来るの遅くて待ちくたびれるとこだったし。」
「遅くて悪かったね。これでも早く来たつもりだったんだけど・・・。」
そしてそういう意識が最低でも、あと2・3日は続いてほしいと。切実に思うのでした。
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