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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#23 青ノ葉 月下光(4)(3/4)
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お約束な台詞

「冴。生徒会にも敵わなかった以上、ここらで引き上げろ。これ以上は見っともなくなるだけだ。」

「純、平?」

比路の短くて長かった説教がやっと終えたのか。
犬飼に寄ってきた矢口が、そう言葉をかける。

「悪いけど冴。俺、先に寮帰るな・・・。」

「純平!?ちょ、まッ!?どうした?お前!?」

矢口は相棒のナイフが蹴り折られたことが相当のショックだったのか。
表情も暗く、口調も暗く、何もかもが暗く落ち込んでおり、トボトボとした歩きで寮に帰っていく。
そんば矢口に見兼ねた犬飼は慌てて彼に駆け寄り、

「くそ・・・!お前ら覚えてろよー!次はただじゃおかねえからな!!」

と。まるで悪役のようにお約束な台詞を吐き捨て、二人揃って寮に戻っていった。



再び会った比路と久野

「犬飼たちの騒ぎに比路がいてビックリしたよ。大丈夫だった?」

「うん、克也こそありがとう。でもどうしてここに?」

こうして去って行った危機(?)。
今ここに残ったのは比路と朋也と久野の三人。
特に比路と久野は、こんなとことで会うとは思ってもなかったようだ。

「蓮さんから連絡あったから。門限すぎても帰ってこない連中と門限過ぎてるのに寮から抜け出した誰かさんを捕まえてこいって言われて。」

「こっそり抜け出したのにバレてたんだ。」

「あまり甘く見ない方がいいよ。あの人こそ本当に、本当の意味で常識通じない人だから。」

けど直ぐに久野のお説教が始まり始まり。

「で?比路。寮帰る前にちょっとここ座って。」

「え?」

「え?じゃなくて。さっさと座って、いいから座って。お説教してあげるから早く座りな。正座じゃなくていいから。」

「は・・・、はい。」

生徒会副会長としてだけではなく、元道場仲間としてでも怒られる比路だった。



久野から比路へのお説教

久野から比路に始まったお説教。
比路は言われるがままに従ってそのまま地面に座り、厳しくも優しい久野の言葉を受ける。

「あの道場に通ってた時。俺、喧嘩で武道を使うなって言ったよね?忘れちゃった?喧嘩に使う為に教わったわけじゃないのに。」

久野は優しい性格だから彼のお説教は決して怖くない。
怖くないけど、その優しさからただならぬオーラを感じるのか。
何故か久野のお説教に怯える素振りを見せる比路。

「忘れてないです。ごめんなさい。でもあれはどうしようもなかったっていうか・・・。」

「しかもあんなヤツら相手に・・・。そういえば前の会議の時にも俺言ったよね?アイツらに手を出すなって。」

「ごめんなさいってば。それに最終的には克也だってアイツ投げたし。理由だいたい同じ、だいたい一緒。」

けど、その最後には。

「でも一年近く会わなかった間に、また強くなったね比路。」

「本当!?僕、克也に勝てそう?」

「うん。それはまだ無理だな。」

昔懐かしいこの感じが、また懐かしくて笑顔になる二人だった。

「・・・克也って上げて落とすの上手だね。」



久野から朋也へ

比路に言いたいこと言った久野は満足するとこの手を差し伸べて掴ませ、座らせた体勢を戻させる。
そして今度は朋也へ。

「怪我酷いけど大丈夫?骨とか折れてたりしてない?気持ち悪くなってたりしてない?」

「平気です。慣れてますから。」

「名前は後藤だっけ?後藤 朋也。君のことも蓮さんから聞いてるよ。」

お互いにして今が初対面のはずなのに、久野は朋也の顔も名前もどこかで覚えて既に知っていた。
そんなことに驚きながらも、伺ってきた自分の調子に大丈夫と答える朋也。
けど、

「噂色々聞いてるから言うけど。君の都合も、ここで懲りてくれないかな?」

「え?」

「今回の件、どうしてこんな騒ぎまで発展したか分かる?犬飼だけじゃないよね?ここまで引き起こしてしまった原因。」

ここでも生徒会副会長として久野からのお説教が始まった。



久野から朋也へ 2

「犬飼たちのぬるい連中が絡んでくる理由、あるとしてもたまたま目についた生徒を自分の胡散ばらしに使いたかっただけ。それ以外の目的は特になく珍しい話でもないんだ。後藤以外にも被害にあった生徒も過去にいて、生徒会や学校の中でも問題になってるから。」

久野らしい優しい口調だけど、朋也に聞かす説教は優しいだけではなく厳しいだけでもなかった。

「けど今回はそうじゃなかった。・・・チロ先生からも聞いた。犬飼たちが始めに絡んできた時、簡単に奴らについて行ったって。」

朋也と犬飼たちが起こした今回の騒動。
それは犬飼たちだけではなく、朋也自身にも原因があった。

「答えたくなかったら答えなくてもいいけど、どうして?」

「・・・・・・・・・。」

朋也が慣れてしまった彼の日常に。



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