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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#23 青ノ葉 月下光(4)(1/4)
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逃げない理由

目の前で殴られて、目の前で袋にされかけたクラスメイト。
それが目に入った瞬間に走り出した衝動が自分を操り、囲まれたクラスメイトの元に突撃し手を伸ばさせて掴み、不良生徒の犬飼たちから一時的だけ逃れた朋也と比路。
けど追っての数が多く、人目につきくい茂みに隠れたが学生寮まで戻るにはこのままでは難しい。
だから朋也は自分が囮になって比路だけでも逃がそうとした。

「前に言っただろ。関係ないことに首突っ込むなって、関わってくるなって言っただろ。」

もう嫌だったから。

「クラス委員だからとか、そういうのはもういいから。頼むからここから逃げてくれ。」

自分に関わったせいで巻き込まれてしまい、そうなってほしくなかったから。これ以上巻き込んまれてほしくないから。だからあの時も今もそう言い放ったのに。

「関係なかった峰岸まで巻き込みたくない。だからー・・・。」

「ごめん。それはできないよ。」



逃げない訳

けど比路は、

「友達置いて自分だけ逃げるなんて、できないよ。」

首を横の振り、それを嫌がる。

「したくない。そんな真似・・・。」

「・・・峰岸。」



彼の背中

「彼奴らいたぞ!こっちだ!!」

「「!!」」

話し合う二人のそんな隙を突かれ、不良生徒たちに見つかった比路と朋也。

「大丈夫だよ、朋也。一発食らったし、ちょっとブランクあるけど大丈夫。」

あっという間に周辺を囲まれ逃げ道を失う。
その状況は、さっきよりも悪くなってしまったが、

「安心して。こんな奴らにやられるほど僕、弱くないから。」

「・・・・・・。」

比路は恐れるどころか余裕そうな表情をしていた。
そう言って朋也の前に立つ比路の背中は小さいのに大きく見えた。



かくかくじかじかこの現状

そうしているうちに犬飼たちも比路や朋也の元へやってきて、また周辺を囲まれてしまう。

「ついに手ぇ出しやがったな、この野郎。まさかもう忘れたわけじゃねえだろうな。こっちにはまだ生徒会長の植木鉢があるんだぜ。」

「それには手を出すな!」

犬飼の手には永瀬の植木鉢が。
それを見て朋也の顔色が変わり、下手に手を出せないことに握りこぶしを強くつくる。

「朋也。どういうこと?」

「実はー・・・。」

その事情を知らない比路は朋也から、あれは園芸部の部員。そして生徒会長の植木鉢だから壊させるわけにはいかないと、この現状をかくかくじかじかと聞いた。

「・・・悪い。」

「ううん。謝ることなんてないよ。そういうことだったんだね。」

それでも比路はこんな状況でも怖気てなけてば動じてもいなかった。



夜に響く音

するとそのとき。

「そこにいる全員、そこまで!」

こんな夜の時間に、こんな状況を引き裂くようにピーッと強く鳴らすホイッスルの音が大きく響いた。
その音が聞こえた方向を見ると、そこには生徒会のワッペンを付けた一人の男子生徒、

「連絡入って騒ぎに駆け付けてみたら、やっぱりお前らか。」

「げ、久野・・・ッ!」

「克也?」

生徒会副会長の久野がいた。
そんな久野の姿を見た途端、恐れをなしたのか。多くの不良生徒がこの場から逃げていく。

「やべ!生徒会だ、逃げろ!」

「あ!コラ、お前ら逃げんなー!!」

「無理っす!久野くんには敵わないっす!」

「俺から逃げれても、どのみち寮で蓮さんに捕まって、こっ酷く叱られることに変わりないんだけどな。」



久野と犬飼

この騒ぎに駆け付けてきた生徒会の久野。
多くの不良生徒が逃げていくが、彼らの頭である犬飼は逃げるわけにはいかない。
むしろこの時を待っていたかのようだ。

「犬飼、お前は自分を慕う連中まで道連れる気か?停学どころか退学騒ぎだ。園芸部をこんなにして・・・!」

「てめェにはカンケーねぇだろ。」

「あのな。お前らのせいで青ノ葉2年の全体がなんて言われてるのか分かってるのか?」

「知るか!いちいちうるせぇーな、生徒会様は先公の前だけでいい子に鳴いてろよ。先公のクソイヌが!」

生徒会の久野と問題児の犬飼。
同じ学年だけあって顔を見知っているようだが、険悪な雰囲気が広がるばかり。

「・・・クソイヌはどちらかと言えばお前だろ?名前に「犬」付いてるし。」

「誰がいつ名前の話した?誰もそんな話してねぇだろ!!」

その二人はどう見ても仲はよろしくない。良くないどころか、どう考えても悪い以外あり得ない。



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