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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#22 青ノ葉 月下光(3)(4/4)
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覚えていなかった

「は?」

犬飼は比路にやられたことを根に持っていたようだが、当の比路は犬飼のことを覚えてないどころか忘れたようだ。

「そもそもどこで会いました?」

緊迫する空気が漂いっぱなしの中、矢口に身動きを封じられていても、比路は逆らわずに動かないようにしているだけ。

「ごめんなさい、覚えてなくて。」

「マジで覚えてねえのかよ、この野郎!」

「せめて教えてくれない。僕、あんたに何しましたっけ?」

「この・・・ッ。」

怯えてなければ動じてもおらず、挑発的な生意気な態度は変わらなかった。



火種

それが犬飼の怒りの火種を悪化させたようだ。

「じゃあ遠慮なく思い出させてやるよ!てめえの体でな!!」

「ッ!?」

彼の拳が比路の腹部を強打し急所を直撃。
それが合図となったのか。フラついた比路に矢口を含めた複数の不良生徒が追い打ち、袋にしようとする。

「・・・やめろッッ!!」」

そんな状況になっていくのを隙間から見ていた朋也。
もう黙っていられなかったのか。今まで抵抗すらしてなかった彼が自分を囲っていた連中から暴れ逃れ、比路の元へ駆けつけると共に応戦し痛みつける。

「・・・ッ、朋也?」

「峰岸、こっちだ!手を伸ばせ!!」

そして隙をついて引いた比路の手を離さぬよう強く握り、この場から中庭の奥へと向かった。



遡ってきた物語

「くっそ・・・!どこ行ったアイツら!!」

学生寮の門限時刻が過ぎ、月明かりに照らされる夜の時間帯。
繋ぐ手をしっかり握って追ってから逃げていた二人。
複数いる不良生徒から目に付きにくそうな木々に身を潜め隠れる。

「アイツらについていけばって思って来たら案の定だったけど、よかった。朋也見つけられて。心配したんだ・・・ゲホゲホッ。」

「大丈夫か?峰岸。」

「・・・平気だよ、これぐらい。よかった、まだご飯食べてなくて。」

けどこのままでは学生寮へ戻ることは出来ない。
朋也は繋いでいた手を離し、比路だけでも逃がそうとする。

「後は俺が奴らを引き付ける。だから峰岸はその隙にここから逃げてくれ。」

「朋也・・・?」

だから彼に言ってやった。

「ごめん。それは出来ないよ。」



遡ってきた物語 2






「友達置いて自分だけ逃げるなんて、出来ないよ。」





と・・・。



青ノ葉 第22話をお読みいただきありがとうございます

遡らせて遡ってきた朋也エピソード
次回で完結です
(青ノ葉自体の物語はまだまだ続きますよ〜)


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