比路は明人の情報を頼りに、まずは校舎の渡り廊下を目指す。 寮の門限は過ぎていても、まだ数名が残っているようで校舎から漏れる照明が道に光を照らしてくれている。 そのおかげもあり迷いなくそこに辿り着けたが、
「どうしたんすか?こんな時間に。」
ちょうど渡り廊下にいた二年の男子生徒、桃地 小太郎が向こうから話しかけてきた。
「もう遅いっすから寮に帰った方がいいっすよ。」
比路と桃地。二人は初対面ではないがこうして改めて顔を合わせるのは今が初めて。 以前の悶着で桃地は比路をよく覚えているが、比路は犬飼の下っ端の一部だった桃地を覚えていないようだ。
「寮に帰らないと、もっと大変なことになるっすよ。」
「すみません。今、友達探してるので・・・。おっかなそうな一年生見ませんでした?」
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