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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#21 青ノ葉 月下光(2)(2/3)
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自分の分はついで

「はい、どうぞ。ただのほうじ茶だけど。」

明人がいる家庭科室で休憩することにした朋也と永瀬。
明人はさっそく温かいお茶を三人分注ぎ、そのうちの一つは自分に。残りの二つは二人の前にそっと置く。

「・・・美味しい。」

「ありがとう。美味しいって言ってくれて凄く嬉しいよ。でもごめんね。今日はセーラー・・・んんっ。演劇部に頼まれた衣装作ってた最中だったから、お茶菓子何にも作ってなくて。」

「え・・・?」

けど出されたのはお茶のみ。
それに永瀬が不満を持ち不穏な声を上げる。

「あきと、まってまって。いももちは?いももち。」

「え?」



明人と永瀬が交わした約束

「って、ああ!この間、持ってきたジャガイモのこと!?」

「きょうつくってくれるって、あきといってた。」

「いやいやいや。確かに言ったけど今日じゃないよ?暫くセーラー服仕上げるのに忙しいからまだ無理だよって。終わってからならいいよって言ったんだよ。」

(セーラー服???)

二人が約束を交わしていたことには違いがないようだが二転三転すれ違っていた。
せっかくさっき誤魔化したセーラー服のことも朋也の前で言い、疑問を持たれる。
そんな朋也を置いてきぼりにさせて、言い合いをヒートアップさせていく三年生。

「と、とにかく今日は無理だよ。許可とってないから火使えないし。」

「・・・・・・。」

「駄目だよ、駄目。めぐだって久野くんに怒られるの嫌でしょ?」

「・・・・・・。」

けどその最後には、

「あきと。ボク、ないてもいい?」

「・・・駄目。」

明人が結局、言い負けて折れたようだ。



折れた訳(理由)

「後藤くん、申し訳ないんだけど手伝ってもらってもいい?」

永瀬の一言で負けた明人。
作っていた最中の衣装を家庭科準備室に移動させて調理台から遠ざけて、調理の準備を渋々始める。

「あの、大丈夫ですか?」

「片栗粉と醤油あるし砂糖も常備してあるから大丈夫。芋も電子レンジ使うから安心して。」

「そうではなくて。」

「あ、うん。最後はホットプレートで焼くから大丈夫だよ。・・・まあバレたら怒られることには変わりないんだけどね。」

「そうでもなくて。」

そんな明人を心配に思った朋也。
彼を手伝いながら、あっちで待ってる永瀬に聞こえないように永瀬を見て問う。

「ああ、うん。大丈夫だよ、大丈夫。ここでめぐに泣かれるよりはずっっっとマシだから。後藤くんも一緒の部活なら、めぐを泣かせないように気を付けてね。」

「・・・・・・は、はい。」

そして青ざめた顔で永瀬に折れた訳を教えてくれると共に、そう忠告されたのでした。



放課後いももちティータイム

っというわけで朋也は手伝い明人が作った芋もちをお茶菓子として食す三人。

「もっちもち!もっちもちでおいしーねっ!」

「そう・・・。それは良かった。」

約束通り(?)の芋もちを食べれて機嫌を直した永瀬は満面な笑顔で喜ぶ。
一方、明人は疲れた顔色のまま、ズズーッとお茶を飲んで自分を落ち着かせていた。

「後藤くんも手伝ってくれてありがとう。いきなりだったけど後藤くん手際良かったからあっという間に作れて助かったよ。」

「ともやくん、たよりになるね!」

「いえ、それほどでは・・・。」

そして朋也は躊躇いつつ戸惑いつつ、そんな二人とこの時間を過ごした。



休憩時間<活動時間

部活動の活動より長かった休憩時間。
家庭科室でお茶をご馳走になり、ゆっくりと程よい時間を迎える。

「あ!いけない、もうこんなじかん!」

すると永瀬が時計を目にして今の時間を知り、ガタッと席を立ち、何かの様子を思い出して慌て始めた。

「チロせんせーにシロおねがいしてたんだった!いそがないと!」

「え!?いつからこんな時間まで!?」

「ともやくんもごめんね。ぶかつ、ここでおいまいにしちゃっていいからね。」

「あ、いえ。俺はー・・・。」

「あきともきょうはありがとう。ともやくん、またね。」

ばたばたばたばた。ばたばたばたばた。
そう言って一人先、嵐のように去って行った。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

朋也と明人の二人を家庭科室に残して。



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