「はい。これで今日の授業はおしまいです。部活動がある子は部活動場所に、寮に帰る子は気を付けて帰って下さいね。」
空がオレンジ色に染まり始めた夕方の放課後。 今日一日の授業が終わり、部活動がある生徒は部活動へ。部活にまだ入部してない生徒は学生寮へと帰って行く。
「・・・・・・。」
そんな中、誰よりも先に教室を出て行った朋也。 「さよなら」を言わずに交わさずに。 「またねー」も言わずに交わさずに。 誰かが誰かに言った言葉を耳にしながら、一人静かに廊下を歩く。
「・・・・・・。」
その時、ふと窓に向けた目が空を眺める。 今日はいい天気だったから綺麗なオレンジ色に染まっていて心が奪われると共に構い、この気持ちを言葉として気づかせようと朋也の足を止めさせた。
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