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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#1 腐れ縁の幼馴染み(2/2)
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春の4月

時は4月のはじまり。
寒い冬が去って春を迎えてから一ヶ月が経ったそんな季節。

「えーと明日持っていく物は、コレとソレとアレとソレとコレ。」

比路は自室で先日郵便で届いた入学案内書と睨めっこ。
大きなスポーツバックに、明日から始まる寮生活に要る荷物を整えていた。
ちなみに青ノ葉学園の入学式は明後日。明日は青ノ葉学園学生寮の入寮式。
すでに整え終えた荷物を全部出して、もう一度詰め直して忘れ物がないように、より完璧に備える。

「とうとう僕も高校生か〜。」

これからの生活を思い描き、しみじみにそう呟く比路。
明日から何もかもが新しい環境で始まるんだ。
『高校生』という言葉の響きだけでも十分新鮮な期待を、よりいっそう胸に膨らませるのも無理がないだろう。

「・・・司のやつ、ちゃんと準備してるかな?」

そんな中でも明日から同じ学校に通うことになる腐れ縁の幼馴染み。司のことを、ふと思い出す。
比路は心配性なのか。
一度気にしてしまった彼のことが頭から離れなくなり、自分の荷物を整えた後、彼の様子を見に行くことにした。



隣近所の家

司の家は、すぐお隣のご近所さん。
比路は玄関からではなく、身軽にひょいと屋根を渡って近道をし、最短ルートで窓から司の部屋に入る。

「司ー?ちゃんと明日の準備出来てる?」

「うおッ!?」

すると予想通りの案の定。
司は自身の部屋でゲームをしていたが、

「え・・・?」

なんと司部屋の液晶テレビに、男キャラと男キャラのキスシーンのCGが映し出されていたのだ。

「な・・・ッ、な・・・ッ、な・・・ッ!」

「ヒロ待った!い、い、いい、言いたいことは分かる!けどこれはその不可抗力!ヒロだってノックせずに入ってきたわけだし!そのそのその・・・。」

そう。司が遊んでいたゲームは、まさかなまさかのBLゲーム。
司の部屋に入り『それ』を真っ先に見てしまった比路は、

「いきなりなんてモノ見せるんだーーー!!!」

「いぎゃぁぁぁぁああああッッッ!!!」

言い訳なんぞ問答無用。お約束のお仕置きを。
比路は怒りに任せた威力でヒロスペシャルを、司に制裁執行したのでした。



司の趣味

「だいたい明日は寮に行く日なんだよ。なのに何も準備してないってどういうこと!?」

そのあと直ぐ比路によるお説教がグドグドグドグドと聞かされる。

「司。僕らはもう高校生なんだよ。もう少しだけ、そういう自覚持とうよ!」

「ううう。仕方ないんだってばヒロ。何度もループしてやり直した学園プリンスの隠しキャラルートにやっといけられて、これからイチャイチャするところだったんだから。」

「そんな言い訳、理由になるか!むしろもっとまともな言い訳ついてよ!」

司と比路はずーっと一緒にいる腐れ縁の幼馴染み。
けどこのごろは司の趣味に頭を悩まされ、比路は疲れた溜息を深く吐く。

「司の趣味を悪く言うつもりはないけど。男の司がそういうゲームにまでハマるのは、どうかと思うよ?」

「思いっきり悪く言ってるよな?それ。そんなに言うならヒロもやってみなって。絶対イメージ変わるから。」

「絶対やだ。そんな不思議ファンタジーすぎるゲームやりたくないから結構!」



手伝いは一線超えるとお節介

「ほら。さっさと明日の準備をやっちゃいなよ。僕も手伝うから。」

「ありがとうヒロ。荷物を詰める鞄すらまだ用意してないけど、よろしく頼みます。」

「・・・本当に何も準備してなかったんだね。」

結局、司の分まで面倒を見ることにした比路。
大きな旅行用の鞄を司に用意させて、司の入学案内書を片手にテキパキ持っていく物を揃えていく。

「筆記用具にバスタオルにフェイスタオル。歯磨きセットに、あと着替え。下着類も多めに詰めておくね。」

手伝いを超えた比路のお節介は、司の荷物を次々と鞄に詰め込む。
そんな彼に仕事を奪われ、ただ見てるだけになった司は何もすることがなくてヒマだったのか。

「あらイヤだ。ヒロさんってば俺のパンツが入ってる引き出しまで把握してるなんてやらしぃ〜。」

ニヤニヤ顔で冷やかしたのだが、

「司。グーで殴られたいの?」

「・・・ごめんなさい。」

立場上というか戦闘力というか。
自分より比路のがはるかに強いので、あっという間に負けて直ぐさま謝罪。
それなら最初からやらなければいいのにと思うところだが。
どうやら司に、そういう学習能力は持ち合わせていないようだった・・・。



準備完了!

「これでよしっと!明日の準備(司の分)完了!」

「おお!さっすがヒロ様!完璧じゃん!すっごく助かったわ、サンキュー。」

入れ忘れたものないか再度確認してから、鞄の口を閉じて、これにて司の荷造り完了!!

「それじゃあ明日の9時に迎えに来るから。寝坊しないようにだけ気をつけなよ。」

「あいあい。分かってますって。」

そう明日のことを司に言い聞かせて、比路はまた窓から自分の部屋へと戻っていった。
明日の今頃は、司も比路も青ノ葉学園の学生寮に居る頃であろう。
今はまだ予想もつかない出来事に、小さな不安と大きな期待を心に宿らせて希望を抱く。
これからはじまる高校生活が素敵なものでありますようにと願いを祈りながら・・・。



青ノ葉 第一話をお読みいただきありがとうございます!

4コマ風の小説なのでキリよくキリよく
お話を進めて書いているものの・・・
4コマ以上、5〜8コマぐらいあるんじゃないの?
と思わせるシーンが、すでに現時点でございます
駄目作者でごめんなさい・・・(逃)


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