時は4月のはじまり。 寒い冬が去って春を迎えてから一ヶ月が経ったそんな季節。
「えーと明日持っていく物は、コレとソレとアレとソレとコレ。」
比路は自室で先日郵便で届いた入学案内書と睨めっこ。 大きなスポーツバックに、明日から始まる寮生活に要る荷物を整えていた。 ちなみに青ノ葉学園の入学式は明後日。明日は青ノ葉学園学生寮の入寮式。 すでに整え終えた荷物を全部出して、もう一度詰め直して忘れ物がないように、より完璧に備える。
「とうとう僕も高校生か〜。」
これからの生活を思い描き、しみじみにそう呟く比路。 明日から何もかもが新しい環境で始まるんだ。 『高校生』という言葉の響きだけでも十分新鮮な期待を、よりいっそう胸に膨らませるのも無理がないだろう。
「・・・司のやつ、ちゃんと準備してるかな?」
そんな中でも明日から同じ学校に通うことになる腐れ縁の幼馴染み。司のことを、ふと思い出す。 比路は心配性なのか。 一度気にしてしまった彼のことが頭から離れなくなり、自分の荷物を整えた後、彼の様子を見に行くことにした。
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