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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#20 青ノ葉 月下光(1)(2/3)
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男子トイレの一番奥の個室で

「ぎゃぁぁああああッ!!!」

そうして最寄の男子トイレに問答無用でズルズル連行された司と稚空。
ドカンドカンとトイレらしからぬ強暴な音と断末魔が響き、

「この・・・っ、ど変態。」

きっちりみっちりと一番奥の個室に二人を片付けた比路は、そう言葉を吐き捨てこの場から去っていく。

「アッキー・・・、生きてる?」

「なんとか。生きてるって素晴らしいね、つかポン。本も無事でよかった・・・。」

「ああ、そうだな。生きてるって素晴らしいな。あと、つかポンやめろって。」

そして腐った二人はボロボロになった身でグルグルピヨピヨグルグルピヨピヨ目を回し、しっかりとお仕置きされたのでした。



男子トイレの一番奥の個室にて

この一連を複数の生徒が見ており、聞こえていた音に怯えていた。
そしてこの男も見ていた複数の生徒のうちの一人だったようだ。

「だ、大丈夫か?すごい音聞こえたが・・・。」

「と、朋也・・・?」

その男子生徒というのは司や比路たちのクラスメイトの朋也。
比路がいなくなった隙をつき、一番奥の個室へとやってきた。

「!」

そんな彼を見た瞬間に萎縮した稚空。
驚いた声を口に出して言わなかったが、無意識に司を盾にして身を構える。

「峰岸を怒らせたのか?」

「うーん。怒らせたというか、勝手に怒ってきたというか、見るなって言ったのに見たから自業自得だったのに当たってきたというか、なんて言えばいいのか。」

「大丈夫なのか、それ。」

「あははははー。まあ、慣れてるから大丈夫だよ。」



司と朋也

「とりあえず朋也。こっち来たついでに手、貸してくんない?」

「お、おう。」

もちろん司はそれに気づいてなかった。
自分の後ろでそんなことが起きているなど思ってもないのだろう。

「最近、なんか気が付くとヒロにボコられてる気がするんだけど気のせい?どうしたらいいと思う?朋也。」

「え?それ俺に訊く?」

「うん、訊く。朋也ならいい答え返ってきそうだから。」



司と朋也+稚空

「よっ、と。」

朋也に手を借りて司が立ち上がり、ポンポンとお尻に付いた砂埃を払う。

「で、どう?」

「・・・真っ向から立ち向かってカウンター狙ってみるとか?」

「うわ。無理無理無理無理!そんなこと出来たら苦労しないって!命いくつあっても足りないよ!」

「なら、諦めるしか。」

「それじゃあ俺、完全にヒロのサンドバックいきな運命じゃん!朋也の選択肢、極端だな〜。」

「う。」

司の無茶ぶりな問いに正しい答えなんて存在しないのに、それでも朋也は一生懸命考えて自分なりの答えを出す。
そんな二人の会話を静かに聞いていた稚空だったが、

「なら極力、峰岸を怒らせないように努力するしかないな。」

「はははっ。つかポンにそれが出来たら本当に苦労いらないね。」

「な!?アッキー、つかポンやめろ!!」

あまりのアホアホぶりな話に笑ってしまい、二人の話に参加し、元から三人だったけど二人から三人になった。



司からの紹介

「とと。ついアッキーを置いてきぼりにさせてしまった。」

「いいよいいよ。そこは気にしなくていいから。」

「ほら。アッキーも手。」

「ありがとう、つかポン。」

「お礼はいいから、つかポンやめろって。」

忘れていたわけではないがようやく稚空を思い出し、手を貸して彼も立たせて砂埃を払わせた。
こうして稚空も参加したところで朋也と稚空に司が紹介。

「コイツは俺たちと一緒のクラスの朋也。後藤 朋也っていうんだ。」

「うん。三人と一緒のB組だってことだけは知ってた。前にそっちの教室前で会ったことあったから。」

「ありゃ。そうだったのか。んで朋也、こっちは鈴木 稚空でアッキー。クラスは違うけど俺とヒロの親友なんだ。」

「・・・・・・・・・。」

朋也には稚空を。
稚空には朋也を。
それぞれ初対面ではないが改めて名を交わす。

「・・・なんだ。見た目と違っていい人そうだね。」

「!?」

「うんうん。朋也おっかない顔してるけどいい奴だよ。」

「!?」

その紹介で司と稚空の言葉にグサグサと朋也のナイーブな心に突き刺さる。



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