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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#16 放課後の一悶着(2/4)
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目撃の一瞬

「・・・ッ、峰岸!」

一人の生徒は、そんな彼を庇おうとした瞬間。

「ッ!?」

もう一人の生徒は、そんな彼を殴りかかった瞬間。

「犬飼さん!!」

そしてこの場にいる多数の生徒が、その瞬間の目撃者となった。

「だからー・・・。」



禁句ワード

比路に殴りかかったはずのその腕をとられた犬飼。
自分の頭が地に、足が空に向いてると気付いた時にはすでに遅く、

「−−−ッ!!!」

そのまま肩を超えて地面へと思いっきり叩きつけられた。

「急いでるって言ったじゃないですか。それと。」

彼の後ろから照らされる夕日の光は眩しいのに。
生意気な面と冷たい目で蔑む比路の姿が、投げつけられた犬飼の目にハッキリと映っていた。

「人のこと『チビ』呼ばわりしないで下さいね。」



隣りで歩く強暴系男子

「く・・・っ、そ。」

けどそれを見ていられたのは一瞬。
叩きつけられた犬飼はグフッと撃沈。
戦意を絶たされるどころか、意識まで絶たされてしまう。

「ああああああ、犬飼さんしっかりー!しっかりして下さいっす!」

「行こっか、朋也。」

「あ、あぁ・・・。」

その隙をついて不良軍団たちから比路に改めて連れ出された朋也。

「朋也を見つけた途端、今の人たちに朋也が囲まれててビックリしたよ。」

自分に絡んでやられた犬飼たちも気になったが、今はそれ以上に自分を連れて歩く比路のことが気になる。

「知り合いだった?」

「いや・・・、知らない人。」

「そっか。ムカついたから、ついぶん投げちゃったけど朋也の知り合いじゃないならいっか。」

「・・・・・・。」

というより、予想以上の強暴さに萎縮していた。



生まれた不安

「なんで?」

「なにが?」

「・・・なんで俺、捜してたんだ?」

裏庭から離れてチロ先生が待つ昇降口に向かう二人。

「さっきも言ったけどチロ先生が朋也を呼んでたからだよ。僕らが校舎出る前から昇降口のところで朋也のこと待ってたみたいだったから。」

朋也を助けたというより、比路は犬飼たちの邪魔に入っただけ。
それでも結果的に助けられた朋也。

「頼まれたのか?」

「うん?頼まれてはないけどチロ先生困ってたぽかったから、クラス委員としても呼びにいかないとって思って。」

けど、そこから生まれ始めた一つの不安。

「そう・・・、か。」

胸騒ぎまでも感じたので、そうならないようにと比路に忠告を残した。

「なら次から関係ないことに首を突っ込むな。」

自ら見えないこの壁を作り上げながら。

「余計なことに巻き込まれてほしくない。・・・だからもう関わらないでくれ。」



二人と一匹と

するとその時、

「ナァーゴ。」

「!」

どこからか現れた一匹のふくよかな白猫。
ボテボテとした独特な歩き方で二人の横を通り過ぎる。

「え?なにあれ?猫???」

そんな白猫のシロのおかげで気まずい雰囲気だった二人の空気が少し緩和。
どころか片方はシロに釘付け状態で見ており目を逸らさない。

「・・・・・・。」

もう片方はシロを見るのは今日が初めて。
なので、

「うわぁ・・・。なにこの『デブ猫』。」

っと。思ったことを思ったまま口にした。



朋也とシロ

校内を徘徊していたシロと遭遇した比路と朋也。
朋也は両膝を屈ませて手を差し出し、また下手くそに舌を鳴らした。

「ナァーゴ。」

ぼて。ぼて。ぼて。ぼて。

「・・・・・・。」

するとその音に反応して呼び寄せられるシロは、ぼてぼてとした歩きでゆっくりゆっくりこちらにやってくる。
そしてー、

「ニ゛ャ゛ァ゛ッ゛!!」

「!!」

やっぱり今回も引っ掻かれてしまう。

「わ!?大丈夫、朋也?」

「へ・・・、平気。」

「本当に大丈夫?全然平気そうに見えないよ!?」

「大丈夫。大丈夫だから、ほっといてくれ。」



比路とシロ

そんな一人と一匹の一連を見ていた比路。

「そうやって下っ手くそに舌鳴らすから引っ掻かれるんだよ。」

「下手くそ!?」

あはははっと笑いながら、自分も朋也と同じようにシロを引き寄せる。

「おいでおいで。」

するとー、

「ニ゛ャ゛ァ゛ッ゛!!」

「!?」

それでも結果は同じ。

「大丈夫か!?俺より強くやられてなかったか!?」

「・・・・・・。」

比路もシロに引っ掻かれてしまう。



二人と一匹と 2

朋也もシロに引っ掻かれ、比路もシロに引っ掻かれた同じ結末。

「・・・・・・。」

「峰岸?」

でも反応はそれぞれ異なっており、朋也はどよんどよんに落ち込んでいたが、比路はシロを見つめたまま黙りっぱ。

「・・・・・・。」

そしてやっと口を開かせたかと思えば、

「朋也。」

「ん?」

「三味線って、何で出来てるか知ってる?」

「!?」

シロの目の前で、とんでもないことを口走る。

「それだけは・・・。それだけは、止めてくれ。」

もちろん猫好きな朋也にとって、それはタブーなワード。
顔を青くしながら、朋也なりに比路を宥めた。



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