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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#16 放課後の一悶着(1/4)
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夕暮れの放課後

「午後からの部活も頑張って下さいね。」

昇降口にて。
そこに保健医のチロ先生がおり、部活動へ向かう生徒や学生寮に帰る生徒をそれぞれ見送っていた。

「森くんたちも気を付けて帰って下さいね。」

「はーいっ!」

そしてそれは司、比路、梅ちゃんの三人にも。
みんながチロ先生のことをチロ先生って呼ぶから、つられた彼らも自然にチロ先生呼び。
最初こそは戸惑ったけれど呼び慣れればなんてことなく、しっくりしてくる呼び名。

「梅ちゃん。そういやジョブってもう決まった?」

「昨日の夜、稚空くんにヒーラー推しされて少し試したんですけど、あまりピンとこなくて・・・。」

「あら?意外。」

「他にどんな職業や武器があるんですか?」

「色々あるから色々触ってみるといいよ。自分にピッタリなモノきっと見つかると思うからさ。」

そんなチロ先生に見送られながら校舎を後にする。



一緒のクラスの彼の行方

「あ・・・。」

その時、

「森くんたち、ちょっと待ってください!」

「ん?」

見送られたばかりのチロ先生に呼び止められる三人。
昇降口から後を追ってきた彼にあることを。

「皆さんB組のクラスでしたよね?」

「はい。そうですけど?」

「教室に後藤くんって、まだ残ってましたか?」

「「「え???」」」

朋也のことを尋ねられた。



一緒のクラスの彼の行方 2

「朋也、ですか?」

朋也と一緒のクラスの三人。
けど三人とも顔を見知った程度なので、詳しいことは何一つ分からない。

「どうだったっけ?」

「ごめんなさい。ボクも気づいてなかったので・・・。」

「そう・・・、ですか。」

彼に何かあったのだろうか。

「朋也に何か?」

「あ、いえ。心配することは何もありませんよ。心配はないんですけどー・・・。」

チロ先生は、ずっと昇降口で彼を待っていたのだが全然姿が見えないので。と、心配そうに続けて口にした。



探してきましょうか?

「それなら僕、朋也を探してきます。」

そんなチロ先生を見て放っておけなかった比路は自らそう名乗る。

「どこかの部活動に行っちゃってても、チロ先生呼んでるって伝えれば連れて来れるだろうし。」

「俺も行こうか?」

「ううん、大丈夫。司は梅ちゃんと先に寮に帰ってて。」

そして司、梅ちゃんの二人と別れ、比路一人で朋也の行方を探すことに。

「ありがとうございます峰岸くん。でももし何かありましたら、そのまま引き返してきて下さいね。」



朋也の行方

一方、その当人はというと。

「・・・・・・。」

クラスメートの誰よりも先に教室を出て、入部した部活動先に向かっていたのだが、

「よぉ。久しぶりだな。」

「・・・・・・。」

「暫くクソ寮長と保健医に見張られててウザかったけどよかったわ〜、ここで待ち伏せてて。」

通ろうとした渡り廊下で、二年の不良軍団・犬飼たちと遭遇し囲まれてしまう。

「ちょいツラかせや。」

「・・・・・・。」

けど朋也は抵抗を見せることなく、大人しく彼らに連行されて行く。
まるでそれが当たり前かのように。



慣れた日常

人気のない裏庭に連れて行かれた朋也。
犬飼たちは目を付けた下級生を己の憂さ晴らしに使うだけ。目的という主な目的は特にない。

「おらァッ!!」

四方からとんでくる拳を躱しては反撃、躱しては反撃。
それは望んでなくても、望まなくても必ず訪れてくる慣れた日常の一部にすぎなかった。
けど、

「・・・・・・。」

彼は何を思ったのか。

「・・・お?ようやく大人しくなったか?」

反撃するために使っていたその拳を下ろしてしまう・・・。



朋也の迷い

「・・・・・・。」

慣れた日常に慣れた光景。
なのにいちいちズキズキ構う心。
それは痛くないのに苦しくて、それでも諦めたくなかったから抵抗して反撃して朋也なりに立ち向かっていた。
なのに、

「・・・・・・っ。」

諦めたくなかったことを諦めれば。
抵抗していたことに大人しく従っていれば。
もう、こんな思いすることなくなるんじゃないか。

「へッ!こねぇならそのまま大人しく殴られてな!!」

「・・・・・・。」

彼は慣れたはずの自分の日常にいい加減、疲れてしまっていた。



修羅場に訪れる者

避けることすらやめた彼に向かってくる犬飼の拳。
朋也は目を閉じて、自身に当たるのをただ待つ。

「あ、いた。」

その時。

「朋也!」

「!?」

自分を呼ぶ声に驚き、その拍子に諦めたはずの反撃を犬飼に喰らわす。

「峰・・・岸・・・?」

朋也の行方を捜していた比路が、この場にやって来たのだ。

「やっと見つけた。こんなところにいたんだ〜。ずっと朋也のこと捜してたんだよ。」

「え?」

「チロ先生が朋也のこと呼んでたよ。昇降口で先生待ってるから行こうよ。」

「・・・・・・。」

この緊迫する雰囲気の中、諸共せずに。



急いでいるので

「く・・・!」

結局、朋也の反撃を喰らった犬飼。
彼の怒りのパラメーターもマックス値へ上昇。

「おいッ!そいつは今、オレらと取り込み中だ!ジャマすんなッ!」

横やりに入ってきた比路へ怒鳴り声を浴びさす。

「ごめんなさい。先生待たせていて急いでいるので失礼させて下さい。」

それでも比路は怯むことなければ顔色一つ変えることはなかった。
そのまま朋也を連れて、この場を去ろうとする。

「あぁ゛ッ!?ジャマだって言ってんだろうが!!痛い目合わねぇと分かんねぇのか!?」

けど、やはり簡単に済ませられる話というわけにはいかず、

「どけ!そこのチビ!!」

犬飼の拳が今度は比路に目掛けられた。



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